最適集約化や労働者の不足などの要因から、工場や倉庫の大規模化、ロボティクス化が進んでいる。広い敷地内をより少人数で正確に管理するためには、ICTの効率的な運用が、より一層欠かせないものとなるだろう。そこで今注目されているのが「sXGP」というプライベートLTE規格だ。

このsXGPのメリットに目を付け、いち早く普及に取り組んでいるのが富士通コネクテッドテクノロジーズ。同社はビジネス向けスマートフォン「arrows BZ」シリーズの新製品「arrows BZ01」を展開し、工場や倉庫などに向けて生産性向上と働き方改革を提案している。

プライベートLTE規格「sXGP」とは

sXGPは、電波法における免許を取得していなくても設営できる、1.9GHz帯の周波数を使った自営通信(プライベートLTE)向けの規格。日本ではデジタルコードレス電話で使用されている1.9GHz帯が、中国の携帯電話会社「チャイナ・モバイル」などのLTEサービスで使用している「バンド39」に含まれていることに着目。仕様を共通化することで、既存のバンド39対応端末を子機として利用できるプライベートLTEシステムとして整備されたものだ。
そのLTE方式の特性から、構内PHSや、Wi-Fiを使ったVoIPシステムの代替として注目されており、病院や工場などの安定性が求められるネットワークを必要とする環境での活用が期待されている。

  • プライベートLTE規格「sXGP」に対応

    プライベートLTE規格「sXGP」に対応

広域をカバーでき安定性の高いsXGP

  • こちらは工場内の設備監視と通話にWi-FiとVoIPを利用してきた、とある工場。工場への設備投資が決まり、敷地が広がり産業用ロボットも増える。しかし、現在のWi-Fi環境と人員で敷地全体をカバーするのが難しいため、代わりの通信方法を模索中

    こちらは工場内の設備監視と通話にWi-FiとVoIPを利用してきた、とある工場。工場への設備投資が決まり、敷地が広がり産業用ロボットも増える。しかし、現在のWi-Fi環境と人員で敷地全体をカバーするのが難しいため、代わりの通信方法を模索中

近年、大規模化が進む工場や倉庫は、非常に広大な敷地面積を誇ることが多い。通信環境としてすでにWi-Fiを整備し、端末を通してVoIPによる通話や設備の監視・管理に利用している施設は多いだろう。

だが、Wi-Fiで広い施設内をカバーするためには、数多くのアクセスポイントを設置し、それらを切り替えなければならないため、安定した通信を行うのが難しい。当然、工場内でWi-Fiを利用するさまざまな機器との干渉も懸念され、Wi-Fiが途切れてしまい、必要な通知や信号が届かないことも考えられる。さらに、不正アクセスをはじめとしたセキュリティ面の心配も残る。

こういった広域施設において安定した通信環境を提供できるのが、プライベートLTEであるsXGPの大きな利点だ。日本では内線通話やデジタルコードレス電話で使われ、公衆LTEサービスで使用されていない1.9GHz帯を活用し、自営通信として利用できる。

1つの基地局でWi-Fiよりも広いエリアをカバーできるだけでなく、SIM認証システムを採用しているため、強固なセキュリティを備えている。音声品質は折り紙付きで、Wi-Fi上でのVoIP内線に比べて安定した通話が可能。工場内の内線通話もスムーズに行えるだろう。

1.9GHz帯で繋がるIoT機器の開発も進んでおり、sXGPはこれからのロボット産業においても重要な規格になっていくと考えられる。

工場でも壊れにくい堅牢な設計仕様

富士通コネクテッドテクノロジーズは、sXGP用の端末としてAndroid™スマートフォンarrows BZ01を提供している。もし現在、内線端末と設備監視端末を分けているのであれば、スマートフォンに一元化することで、より利便性を向上させることができるだろう。

工場や倉庫内の厳しい環境でも安定した運用を可能とするため、arrows BZ01には堅牢な設計が施されている。

まずは、アメリカ軍が必要とするさまざまな物資の調達に使われる、MIL規格23項目に準拠した堅牢性の高さ。1.5mの高さから26方向でコンクリートに落としても画面が割れにくい耐落下性能や、IPX5/IPX8準拠の防水性能、IP6Xの防塵性能を備え、60度の高温環境下、マイナス20度の低温環境下での動作試験を実施している(*)。

  • MIL規格23項目

    MIL規格23項目

薬品に対する耐性も高く、アルコール除菌シートなどでのふき取り試験を検証済み。泡タイプのハンドソープや液体食器用洗剤で洗うこともできるため、作業現場での油汚れなどもしっかり落とすことができる。

  • LTEを使ったsXGPは産業用ロボットなどの設備監視も安定して行えるため、少ない人員で効率的な運用が期待できる。さらに、arrows BZ01はMIL規格23項目に準拠しており、工場のような厳しい環境にも対応可能だ

    LTEを使ったsXGPは産業用ロボットなどの設備監視も安定して行えるため、少ない人員で効率的な運用が期待できる。さらに、arrows BZ01はMIL規格23項目に準拠しており、工場のような厳しい環境にも対応可能だ

手厚いサポートとカスタマイズサービス

運用面のサポートも手厚い。arrows BZ01は販売開始から2年以上、同一モデルを継続的に供給しており、またOSのバージョンアップを行わずにセキュリティパッチのみ適用が可能なため、利用しているシステムの再評価が必要なく、安定した環境で使い続けることができる。さらに、メーカー保証の期間を通常の1年から3年に有償で延長するサービスも提供。また、リチウムイオンバッテリーは満充電や電池切れ状態で放置することで劣化が早くなることが知られているが、これを防ぐために充電量の上限を85%や50%に変更し劣化を抑える機能も備えている。

万が一に備え、診断サポートアプリがプリインストールされているのも心強い。技術トラブル発生時にはアプリのログから問題を解析し、専門技術者から的確な技術支援サービスが提供される。

カスタマイズ性の高さもポイント。メーカーならではのアプリの追加や削除、カメラやスクリーンキャプチャ、リムーバブルメディアの利用抑止などのカスタマイズができ、そのカスタマイズ情報を本体のメモリに書き込んで出荷できるため、初期化してもカスタマイズ内容が消えない。指紋センサーと合わせることで機密情報の漏えいをしっかり防ぎ、セキュアな運用が行える。

sXGPに対応したarrows BZ01は、SIMフリー端末として提供され、NTTドコモやau、ソフトバンク各社、そしてMVNOの周波数にも対応し、幅広いキャリアの回線が利用可能だ。

外勤の多い営業や内勤のエンジニアなど、業種によって従来は別の端末を使用していたところが統一できるため、システム管理者や調達部門の手間を削減し、より円滑な管理が可能となるだろう。

既存のWi-Fi環境との共存が可能

arrows BZ01は、Wi-Fiの2.4GHz帯、5GHz帯に対応しているため、すでにWi-Fi環境を構築しているところへの導入も行いやすい。Wi-Fiハンドオーバーに対応し、アクセスポイント切り替えのしきい値を調整できるため、さまざまな利用環境でも通信が途切れにくいという特徴を備えている。

さらに、スマートフォンがスリープ状態の間にWi-Fiが切断されても、すぐに再接続を行う「接続性優先設定」が可能なため、気づかないうちにWi-Fiが切断されたままになり電話の着信ができなかった、というトラブルを回避できる。

  • 通話が途切れにくいWi-Fiハンドオーバー

    通話が途切れにくいWi-Fiハンドオーバー

海外では油田、鉱山などでの利用例も

本稿では、工場や倉庫を想定しsXGPを利用したスマートフォンarrows BZ01のメリットを紹介した。sXGPを含むプライベートLTEという仕組み自体に目を向ければ、海外ではネットワークがなくWi-Fi環境を構築するのが難しい油田や鉱山、ネットワークの独立性が求められる刑務所や駐屯地での利用例もあるという。

sXGPは、広域をカバーできる電波の強さと安定した動作、高いセキュリティを兼ね備えた規格だ。国内での実績はまだ少ないが、将来に向けた設備投資を考えているなら、ぜひ検討することをオススメしたい。sXGPという規格に興味を持った方は一度、富士通コネクテッドテクノロジーズに問い合わせてみてはどうだろうか。

法人向けスマートフォン arrows BZシリーズ

*無故障、無破損を保証するものではありません。

[PR]提供:富士通コネクテッドテクノロジーズ