6月20日から22日にかけて、東京ビッグサイトで開催された「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」。CAD、CAE、ERP、生産管理システムといった製造業向けのITソリューションが並ぶこの専門展に、シーメンスが出展した。6月5日に3D CADソフトの新バージョン「Solid Edge 2019」を発表した同社のブースをチェックしていこう。

設計から解析まで一貫した製造過程をデモ展示で公開

シーメンスは、設計、設計解析、最適化、解析、そして製造まで行えることをブースでアピール。「Solid Edge 2019」を中心として、電気系CAD「Solid Edge Electrical」、「FloEFD for Solid Edge」(設計者向け解析)、「HEEDS」(設計探査/最適化)、「STAR CCM+」(複合領域解析)、やCADMACの板金加工支援ソフト「MACSheet SEG5」、ロボットシミュレーション「GoRoBo」などの展示が行われた。

  • 設計、設計解析、最適化、解析、そして製造まで行える統合的ソリューションを紹介するシーメンスブース

6月に発表されたばかりの「Solid Edge 2019」は、メッシュデータのハンドリング性向上や位相最適化など、新時代の設計を現実的にする点が注目を浴びていた。また秋ごろにリリースを予定している、電気系CAD「Solid Edge Electrical」も大きく紹介。Solid Edgeが備える新たな可能性を示す機能として注目を浴びていた。

  • 6月5日に発表されたばかりの「Solid Edge 2019」は、とくに重点的にデモが行われた

シーメンスのデモ・プレゼンでは、「Solid Edge 2019」の新機能のうち、機械設計、電気設計、解析、Solid Edge portalの4つに焦点を合わせて紹介した。機械設計では、履歴を意識せずに行えるシンクロナス・テクノロジーを中心に解説。後付けした寸法からパラメトリック編集を行えることや、板金の専用コマンドやコストデザイン機能をアピールした。

  • さまざまな機能の中から、機械設計、電気設計、解析、Solid Edgeポータルを紹介

電気設計用のCADとして紹介されたのが、「Solid Edge Electrical」だ。メカCADである「Solid Edge」とデータベース連携を行うことで、エレ&メカ連携を実現しているのが最大の特徴だ。シーメンス傘下になったMentorのワイヤ・ハーネス設計ソリューション「Capital」を取り込んだ「本格派」という点も見逃せない。なお「Solid Edge Electrical」には、追ってプリント基板設計も追加される予定となっている。

  • メカ設計とエレキ設計の協調開発が行えることが「Solid Edge Electrical」の魅力

さらに、Solid Edge内で設計者が手軽にトライ&エラーを繰り返せる熱流体解析機能「FloEFD for Solid Edge」の解説が行われた。こちらでは構造的な問題があった製品のCADデータをもとに実演。CADで構成変更を行う前と後で熱流体解析を行い、シームレスな解析が行えることを伝えた。また、液体と気体との界面を含む解析に対応したことなども詳しく解説されていた。

  • 熱流体解析を行える「FloEFD for Solid Edge」も進化。2つの流体混合物が扱えるようになった

最後に紹介されたのは、クラウドベースのセキュアなコラボレーションが行える「Solid Edge Portal」。無償で5GBのスペースを誰でも利用できること、他社製フォーマットを含め多彩なファイルが扱えること、Windows、iOS、Androidなどさまざまなデバイスからアクセスできることをアピール。来場者の関心を集めていた。

  • 無償で5GBもの容量を誰でも利用できるコラボレーションツール「Solid Edge Portal」

VRデモに人が集まったSTAR CCM+による「解析」

熱流体解析ソフトは「FloEFD for Solid Edge」のほかに「STAR CCM+」が展示されていた。「FloEFD for Solid Edge」はSolid Edgeの環境の中で設計者が手軽に試せる「設計者解析」というコンセプトだが、「STAR CCM+」は解析専任者がより高度な領域にまで踏み込んで検討できる「解析のプロ向け」という位置づけのソフトだ。豊富な物理モデルを標準搭載し、1ライセンスで乱流モデル、混相流モデル、粒子モデルをはじめとしたさまざまな物理モデルを使用可能。さらに、複数のモデルを組み合わせた連成解析も可能だ。

  • 複数の物理モデルをシミュレーションする「STAR CCM+」

なお「STAR CCM+」はVRにも対応。会場ではVR空間で流体解析を体験できるコーナーも用意され、順番待ちができるほど人気を博していた。

  • 流体解析中の構造物に入り込むような自由な視点で観察できる「STAR CCM+」のVRデモ

両ソフトは、ここ数年でシーメンスが傘下に収めた「Mentor Graphics」と「CD-adapco」に由来する技術を用いたもの。これはシーメンスが優れた技術を吸収し、ユーザーにとってより良い開発環境を提供しようとしている姿勢とみることができそうだ。

その他、設計と解析のつなぎという位置づけの設計探査/最適化ソフトウェア「HEEDS」も展示。幅広い応用範囲を具体的に紹介し、設計パフォーマンスの改善をアピールしていた。

  • 設計と解析のつなぐ設計探査/最適化ソフトウェア「HEEDS」も展示された

板金加工やロボット操作のデモを実施

シーメンスのソリューションパートナーであるCADMACは、Solid Edgeをプラットフォームとした板金加工支援ソフトウェア「MACSheet SEG5」を展示。Solid Edgeで作成した板金モデルに加工要件を加え、製造可能なデータにする様子を紹介していた。長年に渡って板金用CADを開発してきたノウハウが詰まったソフトに、製造現場で働く人の注目が集まっていた。

  • 製造現場に向け、「MACSheet SEG5」と「GoRoBo」を展示したCADMACのスペース

さらに、Solid Edgeアドオンとして使えるロボット・シミュレーション「GoRoBo」も展示。Solid Edgeの画面内でロボットの動きをシミュレーションするこちらのアドオンでは、シミュレーションだけでなく、実際のロボットに動きの指令を与えることもできる。ロボットへのティーチングに伴う工数を削減できるのが最大のメリットだ。こちらは実際に産業用ロボットを動かすというデモも行っており、周囲にはひとだかりができていた。

  • 産業用ロボットアームを実際に動かす様子も展示。多くの来場者がその動きに足を止めていた

Solid Edgeを中心に製造工程を網羅するソリューションへ

Solid Edgeを中心に据え、設計、設計解析、最適化、解析、製造という工程をカバーする統合的ソリューションを目指し、機能の追加とソフトウェアの連携を進めるシーメンス。 今回のDMS2018では、「Solid Edge 2019」を中心に、小・中規模クラスの製造業向けのソリューションがさらに強化されたことが伺えた。

なお、同社のWebページには「Solid Edge」が試せるトライアル版も用意されている。今回紹介したすべてのアドオンが使えるわけではないが、「Solid Edge」の全機能が45日のあいだ試用可能。興味をお持ちの設計者は、ぜひ一度お試しいただきたい。

[PR]提供:シーメンス