北米中心に企業利用も広がる「Zoho」
Zohoは、日本ではまだそれほど知られていないサービスだが、実は北米を中心にすでに400万以上のユーザーが存在する。日本法人の設立も2001年と古く、新興サービスではない。
サービスの開発はインドで行われている。現在、世界的にIT開発の最先端の現場と言われるインドでの開発に早くから取り組んでおり、現在も高性能なサービスをスピーディーにリリースし続けている。
インド開発センターの風景 |
多彩なサービスが用意されており、その利用料金は基本的に無料だが、複数ユーザーで利用するタイプのサービスは連携させるアカウント数によって、また、データを蓄積するタイプのサービスは利用可能な容量によって有料となる。ただし、基本的に個人または少人数のグループで使っている分には、全機能を無料で利用することが可能だ。企業で導入する場合も、事前に全機能をしっかりと試用してから導入できるというのは嬉しいところだ。
個人でも業務でも気軽に使えるメールやドキュメント作成
Zohoが提供するサービスは、2011年10月現在で27種類ある。これはインドで開発されたものが世界公開されるのに合わせて追加されている。なかには、日本語化されていないサービスもあるが、日本語化のためにサービス公開が遅れるということはなく、常に最新のサービスを利用できる。
27サービスの内訳を見てみよう。まず一般的なのは、メールやチャット、カレンダーだ。この辺りのサービスは提供しているベンダーも多い。文書作成のできる「ライター」、表計算をする「シート」、プレゼンテーションのための「ショー」、それらで作ったものを含めてドキュメント管理を行う「ドキュメント」や閲覧用の「ビューアー」に共有を行う「シェア」などもそれほど目新しくはないが、基本となる部分が十分押さえられているのは好印象だ。
そして、それらに続くサービスの数に注目したい。Wikiや掲示板の作成、アンケートなどの実施、デスクトップを共有してのミーティング、スクラップブックの作成と、細かな機能が盛りだくさんだ。大量のデータを入力しても、Zoho内を検索するサーチ機能を利用すれば使いづらくなることもない。
CRMやデータベースなど企業を支える充実のサービス群
さらに、Zohoの大きな特徴である業務向けサービスがある。CRMや請求情報管理の「インボイス」、DB作成のできる「クリエーター」、プロジェクト管理を行う「プロジェクト」、タスク管理をする「プランナー」など、企業が利用したいサービスが数多くラインアップされている。また、デスクトップ共有によって遠隔地ユーザーをサポートする「アシスト」や、eラーニングや試験を行える「チャレンジ」といった、人材育成に役立つサービスまで豊富だ。
これらに加えて現段階では英語版となっているが、顧客サポートを行うための「Support」、データ分析とレポート出力をする「Reports」、人事情報管理の「People」、採用情報管理の「Recruit」、会計情報を管理する「Books」といったサービスもラインアップされている。
この大量のサービスがすべて1アカウントで利用できるシングルサインオンであることも忘れてはならない。メールはこちら、カレンダーはあちらと、複数のサービスを使い分け、さらに企業で導入している各種サービスまで使うとなると、管理しなければならないIDとパスワードが増えすぎてしまう。1度ログオンしてしまえば、各種サービスを自由に移動しながら利用できるというのは魅力的だ。
特に業務系サービスを活用できれば、快適さは増す。家庭でもオフィスでも、モバイル環境からも利用できるサービスがすぐに手に入るのだ。特に中小企業やSOHOなどで、システム導入や管理に費用や人員を割けない場合にメリットは高いだろう。
有料アカウントも格安
さて、これだけの機能をどこまで無料で使えるのかが気になるところだ。先にも述べたが、個人がプライベートで使っている分にはまず有料プランが必要となるとなることはないだろう。ライター、シート、ショーなどは有料プランが存在しない。メールの容量は1ユーザー当たり1GBまで、3ユーザー以内ならば無料だから、大容量ファイルを添付したメールを溜め込むような使い方をしなければ問題ないだろう。
有料で利用することになりそうなのは、企業ユーザーだ。例えば、CRMは3ユーザーを超えると、インボイスは請求書と見積書の発行枚数が1ヵ月当たり5枚を超えると有料アカウントとなる。データベースを利用できるクリエーターは2ユーザーまでで、3アプリケーション以内の利用ならば無料で済む。
とはいえ、以下の価格表を見ると、かなり安価であることをおわかりいただけるだろう。業務系クラウドサービスを提供する大手ベンダーと比べると、5分の1程度の価格だ。無料範囲でも個人で営業している場合などは十分使えるだろう。サービスは個別に課金されるため、必要なものを必要なだけ購入すればよい。
すでにGoogleAppsを導入している場合は、連携させて活用することもできる。GoogleアカウントやGoogleAppsアカウントでもZohoにログインできるから、ID管理の簡便性を保ったまま連携させることも可能だ。