前回は、ヤマハ製のシンプルL2スイッチ「SWX2100-5PoE」の特徴を説明しましたが、今回はさらに、この「SWX2100-5PoE」とルータ「RTX830」を組み合わせたネットワークでは、どのようなことが実現できるのかを紹介しましょう。

SWX2100-5PoEの最大の特徴は、IPカメラネットワークに最適なPoEスイッチを搭載していることです。PoEとは、Power over Ethernetの略で、1本のLANケーブルにより通信と電力を供給するものです。電力供給のための電源ケーブルやACアダプターが不要になるので、天井などの電源ケーブルが届きにくい場所にもデバイスを設定しやすくなります。IPカメラのような機器を接続するのに最適な仕組みと言えます。

IPカメラネットワークの構築

SWX2100-5PoEにIPカメラを接続し、さらに、ヤマハ製ルータを組み合わせると、次のようなネットワークを構築することができます。

このネットワークの特徴は以下の通りです。

  • スイッチに接続されたIPカメラは、PoEにより給電が可能。SWX2100-5PoEの装置全体の最大給電量は70Wであるため、PoE給電可能ポート4台すべてにIPカメラを接続することもできる。ちなみに、SWX2100-5PoEはファンレスで、最大40℃の動作環境条件温度に対応している。

  • 「ルータに搭載されているWebGUIにアクセス」または「無償PCソフトウェの「Yamaha LAN Monitor」の利用」により、LANネットワーク全体を可視化することが可能。遠隔地からのネットワーク監視や給電状態の見える化、リアルタイムによるLANネットワーク全体の確認に加えて、登録されている機器の異常もリアルタイムで検出することができる。また、接続されているIPカメラのPoE給電操作をLANマップから行えるので、遠隔地から電力復旧させるようなことも可能。

  • IPカメラが接続されているスイッチを遠隔地に設置する場合、拠点ルータとはインターネットを使い接続することになる。この場合、IPsecによるVPN接続を使うことで、IPカメラの映像を第三者に覗き見されることなく、安全に閲覧することができる。

運用監視ツール「Yamaha LAN Monitor」の活用

これまで、LANマップなどを使ったLANネットワークの保守と言えば、ブラウザからルータに搭載されているWebGUIにアクセスする方法を紹介してきましたが、スイッチや無線LANアクセスポイントの情報、接続機器を監視、制御することができるソフトウェア「Yamaha LAN Monitor」がヤマハから無償提供されているので、使ってみてもよいでしょう。対象はWindowsのみです。

基本的な機能はLANマップと同じで、以下の通りです。

  • ネットワークトポロジーを把握し、ネットワーク全体を可視化
  • ヤマハスイッチ、ヤマハ無線LANアクセスポイントのポートの状態、帯域使用量、PoE給電状態などを確認
  • ネットワークカメラなどの端末の生存確認(死活監視)
  • ヤマハPoEスイッチのPoE給電を停止または開始
  • ヤマハPoEスイッチのPoE給電を停止してから再開することで、ヤマハPoEスイッチに接続されている機器の再起動を自動/手動で実行
  • ネットワーク内のヤマハスイッチ、ヤマハ無線LANアクセスポイントのWeb GUIを呼び出して、設定を表示/変更
  • ネットワーク異常の自動検知やトラブル発生時の原因究明に役立つスナップショット機能
  • 各機器へのラベル付加

IPカメラネットワークを構築してみよう

ここからは、前述したSWX2100-5PoEを使ったIPカメラネットワークを構築してみましょう。拠点ルータからVPNを経由してスイッチに接続するようなネットワークですが、まずは、スイッチとルータをLANケーブルで接続してみます。なお、ここでは、ルータにRTX830を利用します。

ちなみに、シンプルL2スイッチSWX2100単独ではLANマップを表示することはできず、RTX830などの監視装置となる機器が必要です。一方、同じL2スイッチでも、インテリジェントL2スイッチSWX2310シリーズには「LANマップLight」という機能が搭載されており、監視装置を用意しないでもLANマップ機能をスイッチ単独で利用することができます。

ルータとスイッチをLANケーブルで接続したら、いつものように、ルータのWebGUIにアクセスし、LANマップを選択します。すると、次のように表示されます。

接続されているスイッチを選択すると、「スイッチの設定表示と保守」「ポートの給電操作」のボタンが表示され、さらに、「スイッチの設定表示と保守」を押すと、次のように表示されます。機器の再起動などの保守ができることが分かると思います。

今回は、ヤマハのシンプルL2スイッチSWX2100-5PoEとルータRTX830をVPN経由で接続するようなネットワークを構築するため、その概要を説明しました。

次回は実際にSWX2100-5PoEとRTX830をVPN経由で接続してみて、RTX830からSWX2100-5PoEを操作できるのかを確認してみましょう。