本連載では、Twitter Japan(以下、Twitter)の協力のもと、季節や特定のイベントに関するツイート内容と、その盛り上がり状況の解析に基づき、Twitterのトレンドを活用したマーケティング手法について考えていきたいと思います。第2回のテーマは「恋愛・美容」です。

2本で1セットとし、前編では、Twitterでリサーチャーを務める櫻井氏に監修を依頼し、特定テーマに関してTwitterのトレンドを分析してもらい、インフォグラフィックで分かりやすく解説していくほか、このインサイトを活かしたプロモーションプランを提案していく。一方、後半では、マイナビニュース編集部が実際に当該テーマに関してTwitterを積極的に活用する企業に取材を行い、その事例をインタビュー形式にて紹介していく予定です。

第二回となる本稿では、2月14日のバレンタインデーに向けて「恋愛・美容」に関連したツイートを分析。どんなインサイトがあり、マーケターがそれをどのようにプロモーションに役立てることができるのか、提案していきます。

「悲喜こもごも」Twitterユーザーの恋愛模様とは?

「意外ですが、Twitterでは恋愛模様も赤裸々にツイートされているのはご存知でしたか?」と話を切り出したTwitterのリサーチャー 櫻井氏。例えば、恋愛に関係するキーワード、「デート」「ハグ」や「キス」といったツイートが多くなるタイミングを分析すると、見えてくる恋愛模様があるようです。

「例えば、「デート」が多くなるのは平日よりも週末の二日間。これは理解できると思います。ただ、「ハグ」は日曜日に急増しています。内容を見ると、週末を一緒に過ごした人が別れる夕方以降のタイミングに多くツイートされていることがわかりました。一方で「キス」は週末に多少盛り上がるものの、平日も多くのツイートが見られます。一度付き合ってしまえば、恋人たちにとって愛しあうタイミングなど関係ないのかもしれませんね。」(櫻井氏)

恋愛模様にまつわるツイートを曜日別に数えるだけでも、感情や行動の移り変わりが見えてくるのは面白いですね。

もう一つ、恋愛に関して面白い発見があったとのこと。どうやら告白が成功する可能性が高くなるタイミングがあるようなのです。「告白」に関するものと、「彼氏できた・彼女できた」などの「恋愛成就」に関するものがツイートされたタイミングを分析すると、午前0時台に「恋愛成就」ツイートが比較的多くなる傾向が見られたようです。

「人恋しくなる時間帯である深夜というのがポイントでしょう。この時間帯であれば、友人とのメッセージのやりとりなども一段落しているような、いわゆる独りの時間帯です。一方、夜9時から11時は告白ツイートが多いものの、成功したというツイートはそれに比例した盛り上がりがありません。まだ外出先で友人と一緒だったり、家にいたとしてもテレビや家族の干渉があったりするような時間帯ですので、告白するタイミングとしては賢明ではないのかもしれませんね」(櫻井氏)

ツイートの内容を分析すると、Twitterユーザーがどのような手段で告白するのかも見えてきます。「告白」に関するツイートと一緒にツイートされている内容を分析すると、告白方法としては、LINE、電話、メールがトップ3となりました。意外だったのはTwitterを使って告白しているケース。個別にツイートを見ていくと、堂々としていて好感が持てる、というような反応が。ひと昔前であれば、教室でみんなの前で堂々と告白する、というような感覚に近いのでしょうか。また、手紙で告白という手段は、古風でありながら誠実さが伝わる、と言う点で評価が高いようです。

恋愛を成功に導く要素の一つ、美容を味方にする方法

恋愛対象に少しでも良く思われたいのは世の常。Twitter上においても美容に関する話題は事欠きません。そこで、恋愛に関するヒントをもうひとつ、美容関連アイテムのツイートの分析から紹介します。

まずは、よくツイートされる美容アイテムのランキングです。日々使うアイテムであることから、シャンプーが1位になるのは納得の結果ですが、香水、ヘアカラーなどのアイテムが続いているのはどんな理由があるのでしょうか。

「ツイートを見ていると、Twitterユーザーの人たちは、使った、買った、というような自分の体験だけではなく、その体験を製品の評価とともにツイートすることがあります。例えば、香水については匂いについての評価、ヘアカラーに関しては、仕上がりの髪の色の評価などのツイートがよく見られます」(櫻井氏)

次に、男性にもツイートされている美容アイテムを見てみたところ、意外な結果が。まず、2~3割が男性からのツイートだったのは、リップケア、ゴマージュ、乳液、そしてネイルケアなどのケア系アイテム。いわゆる「美容男子」からの注目度が高いアイテムといえるかもしれません。一方、女性専用と思われるものであっても男性からツイートされているアイテムもありました。

「男性がツイートしているアイテムから、いろいろなヒントが見えてきます。口紅、チーク、マニキュアといったツイートから、男性が女性のどこを気にしているのかがわかります。マニキュアは合計ツイート数は全体で6位ですが、ほとんどが女性のツイート。対して口紅は男性のツイート比率がより大きいことがわかっており、世の男性は、女性の手先よりも口元が気になる、という心理が見えてきます。また、ケア系アイテムで男性のツイート比率が大きいものは、男性からのニーズも見込めるアイテムという考え方もできるでしょう。このようにツイートを分析すると、恋愛のヒントだけではなく、美容業界にとってのマーケティングのヒントも見えてきます」(櫻井氏)

では次回、実際に"美容会社"のプロモーションとしてTwitterがどう活用されたのかをご紹介します。

執筆者紹介

Twitter Japan

米Twitter社は2006年に創立され、その役割は、アイデアや情報を生み出したり、それをすぐにほかの方々と共有するパワーを世界中の方々に提供すること。毎月3億2,000万人以上に利用され、毎日5億件以上のツイートが行われている。Twitter Japanはその日本法人となる。

監修者 : 櫻井 泰斗 (さくらい たいと)

Twitter Japan リサーチマネージャー (Twitter ID : @SakuraiTaito)
Twitter広告の効果測定やツイート分析、マーケティング施策立案を担当する。