ドローンのポテンシャル - メーカーやキャリア、ユーザー企業はこう見る

「ドローンを活用しよう」という話題が聞かれる昨今、波に乗り遅れまいと、さまざまな企業が活用を目指して実証実験を行っています。しかし、「波に乗る」ことが目的になっていないでしょうか?

法規制や現在のドローンのスペック、将来的な可能性、自社事業へのインパクトなど、本当にその事業にドローンが必要なのか、精査できているのでしょうか?

実際にドローンをサービス内で活用しているセコムとコマツ、LTEを活用したセルラードローンの実現を目指す携帯キャリア3社、実際にドローンを提供するDJIとACSL、業界団体のJUIDA、担当官庁の一つである国土交通省に、石川 温氏と中山 智氏が話を伺いました。

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日本におけるドローン活用は、課題がまだまだ多いとされる。そうした中、無人飛行機の新たな産業・市場の創造支援と発展を目的として設立されたのが、日本UAS産業振興協議会「JUIDA」だ。

JUIDAは2014年7月末に設立された。日本におけるドローンの産業利用を後押し、健全な発展を支援するために生まれた中立で非営利な団体として誕生した。設立の背景には、日本のドローン産業に対する強い危機感があったという。JUIDA 副理事長の千田 泰弘氏はドローンの世界は技術進化が本当に速いと語る。

「1990年始めにインターネットが民間に開放された途端に一気に発展したように、ドローンのスピード感もそれに近いものがある。このままでは日本は世界に遅れ、取り戻せない状況になりかねない。ドローンビジネスにおいて、そうした出遅れは許されない」(千田氏)

JUIDA 副理事長 千田 泰弘氏

そこでまず、JUIDAが手がけたのが人材育成だ。「ドローン産業発展の原動力はまず人を育てなくてはならない」(千田氏)として、2015年10月に日本で初めてとなるドローンの操縦士と安全運航管理者養成スクールの認定制度をスタート。6つの団体に協力を仰ぎ、教材を半年で準備するなどして、開校にこぎ着けた。現在では60を超える法人がスクールを開設済みだという。

「卒業生はすでに1000人を超えた。JUIDA認定スクールでは、『操縦技能コース」と『安全運航管理者』の2つのコースを設けていることが大きな特徴。特に安全運航管理者コースは、ドローンを活用する現場において、法令を遵守し、いかに安全を確保できるかの知識を有した人材の育成を図るプログラムで、JUIDA独自の取り組みである。航空機の考え方から来ており、単に飛ばすのではなく、安全に飛ばすという安全管理を最初からしっかりと教え込むのが狙いで、この考え方は海外からも興味を持たれている」(千田氏)

また、JUIDAでは、茨城県つくば市の研究学園都市と、京都府相楽郡のけいはんな学研都市にドローンの飛行場も設立し、開発機のテスト飛行や操縦者のトレーニングを行えるようにしている。