調達計画の策定

まずは、誰が何をいつからいつまで実施するのかという作業ネットワークを組み立て、ゴールすなわち契約成立までの道順を明らかにしなければならない(図1)。調達するモノ、IT環境、ユーザーのITリテラシー/レベルなどによって調達プロセスの組み立ては変わってくる。

図1 RFPによるIT調達で用いるネットワークの例

また、調達しようとする案件の要求要件があまり明確ではなく、事前の情報収集を必要とするような場合には、RFI(Request For Information:情報提供依頼)を実施することになり、プロセスやスケジュールに影響が生じる点に注意されたい。

調達運営ルールの作成

冒頭で、調達は一種のプロジェクトであると述べた。社内の様々な部門から必要に応じてメンバーが離合集散を繰り返すのであるから、すべての関係者が適切なタイミングで必要な情報を入手したり、意思決定のための会議に参集したりできなければならない。これらを配慮しておかないと、調達プロセス全体の進捗にボディブローのようなダメージが加わる。

そうした事態に陥らないためには、調達を運営するにあたってのルールを定め、各メンバーの理解を求めておくことが大切である。定めておくべきルールとしては以下の3点が挙げられる。

コミュニケーション・ルール メールの配布先に誰を含めておかなければならないかなど、調達で用いるコミュニケーションの詳細について、メンバーの行動サイクルを踏まえた上で決めておく。特に、メンバーが同一のロケーションで仕事に従事していない場合は重要である。

会議/ミーティング・ルール RFPによる調達は、基幹システム開発や全社基盤などの大規模調達の場合、3ヵ月~6ヵ月程度かかる場合がある。意思決定を下す過程や各メンバーのスケジュールをあらかじめ押さえておくことは、効率性・納期に影響する。

情報の保管・参照ルール 情報が保管される媒体は様々であり、またその更新頻度もマチマチである。メンバーが場所と時間に制限されることなく、関連情報を参照できるよう環境に配慮するほか、アクセス権限についても取り決めておく。

調達費用の見積り

調達自体にかかる費用ではなく、社内工数やコンサルティングに要する費用など、調達プロセスを実行するためにかかる費用を見積もっておく。是非は別として、社内でかかる工数は内製(社内の通常業務に含めてしまう)として、あえて別立てにしないことがある。 調達に要する費用は数字として明確には出さない場合もあるが、次のような場合はきちんと見積もっておく必要がある。

・調達プロセスの全体/一部を外部へ委託する(例:RFP作成の支援)
・RFIを実施して企業訪問や視察を行う
・調達期間中、機器類や設備などを利用する

これらの費用は、後で調達自体の費用に含める場合もある。いずれにしても見積りの要・不要を確認しておかないと、後で算出するのは難しいので、注意していただきたい。

執筆者プロフィール

石森敦子(Atsuko Ishimori)
株式会社プライド システム・コンサルタント

『出典:システム開発ジャーナル Vol.2(2008年1月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。