Hinemosを使いこなすための3つのプラスα機能

前述した基本機能以外にも、実際の運用管理作業に有効な機能をHinemosは備えています。そうした機能のうち、監視管理機能とジョブ管理機能の連携、クライアント画面のカスタマイズ、そしてメンテナンス機能を紹介しましょう。

監視管理機能とジョブ管理機能の連携

監視管理機能でのイベント通知を、ジョブ実行の条件に指定できます。これによって、運用管理者に確実に異常を知らせることが可能になります。

筆者らは、この機能を活用して監視管理機能でログ監視を行いつつ、該当するログが書き出されたタイミングで画面上にイベント表示するとともに、別途用意したrshコマンドでコントロール可能な警告用ライトを光らせるというジョブを実行しています。 クライアント画面のカスタマイズ

Hinemosのクライアント画面は表示構成を自由にカスタマイズできます。例えば、ログとCPU使用率を1度に確認するために、監視管理機能のイベント監視画面と性能管理機能のリアルタイム性能グラフ表示画面を同時に表示できます。こうすることで、運用管理業務の効率化が図れます。

クライアント画面のカスタマイズ例

メンテナンス機能

Hinemosでは、監視管理機能のイベント情報、ジョブ管理機能の実行履歴などをマネージャのデータベース上に蓄積しています。そのため、運用管理の期間が長期に渡る場合は、増え続けるこれらの履歴情報をあるタイミングでデータベース上から削除する必要性が生じます。このメンテナンス機能を用いると、実行日時を基準として、指定した一定の期間より以前の情報を削除することができます。

エージェントが不要だから段階的な導入も可能

以上が、Hinemosの概要と主要機能に関する説明です。運用管理ツールの導入検討時には、運用対象ノードに手を加える必要性があるかどうかが懸案事項となるのではないでしょうか。前述した通り、Hinemosの監視機能の多くはエージェントをインストールすることなく、つまり運用対象ノードに手を加えることなく利用することが可能です。ですから、pingによる死活監視といった最低限の監視から始めて、徐々に高度な運用管理形態へ移行するといった段階的な導入を検討してみることをお勧めします。

また、企業でOSSを導入する際には、サポートの有無が懸念事項となるでしょう。開発元のNTTデータは2007年4月より、Hinemosのパートナー制度を展開しています。同制度では、Hinemosを商用システム上で安全に活用するためのサポートを提供し、Hinemosに独自機能を付加してビジネスを行うパートナーを支援します。基幹システムの運用管理業務にHinemosを利用したい企業のIT部門の方、Hinemosを利用したビジネスを展開したい方はこのパートナー制度を活用いただければと思います。

なお、誌面の都合により詳細なインストール方法や利用法は割愛しましたが、これらについては前述したSourceForge.jpのHinemosサイトよりダウンロードできる各種マニュアルをご覧ください。

執筆者プロフィール

中西康貴(Koki Nakanishi)
株式会社NTTデータ 基盤システム事業本部 オープンソース開発センタ 技術開発担当。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.1(2007年11月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。