本連載では、今まさに日本市場進出を目指しているスタートアップ企業たちを紹介している。今回は、自動運転ソリューションの開発・組み込みを専門とするTuring Driveだ。
工場やリゾート地、港などの制限エリアに特化
世界各国で実用化に向けた取り組みが進む自動運転だが、台湾もその例外ではない。各地の工場やゴルフ場や遊園地といった施設では自動運転システムの導入が進み、桃園MRT青埔車庫、台北信義路バス専用道路、桃園市青埔地区の公道、台北港などでは実証運転も行われているという。そんな台湾で2018年に設立されたTuring Driveは、自動運転ソリューションの開発・組み込みを専門とする企業だ。
同社 co-founderのフーベルト・チェン(Hubert Chen)氏は自動運転システムを開発した経緯について、「元々、交通サービスに関する事業を展開していたが、その中で顧客ニーズが高まってきていることを感じたため」 だと話す。
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Turing Drive co-founderのフーベルト・チェン氏
Turing Driveの特長は、制限エリアに特化している点にある。
「米国や中国の自動運転システムは乗用車や一般道をターゲットにしています。一方我々は、工場やリゾート地、港など、人の出入りなどに制限のあるエリアに特化しています。この半年で一番多かった要請は、工場への導入でした」(チェン氏)
同氏によると、台湾では労働安全の意識が高まっており、労災を防ぐために自動運転システムを導入したいという企業が増えているそうだ。また、人手不足も自動運転システム導入の理由になっているという。工場内という制限のあるエリアであれば、法律面もクリアしやすい。
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道路を走行する自動運転バス
5年以内に日本でIPOを
Turing Driveは2019年から日本企業からの投資を受けており、「日本とのつながりが強い」とチェン氏は言う。すでに日本企業のクライアントもおり、「日本で販売を開始するタイミングが来ている」(チェン氏)そうだ。
さらに、日本で自動運転サービスを開発・提供するスタートアップ企業、TIER IVとの協業も進めている。
「台湾と日本の、自動運転業界のスタートアップとして、一緒に自動運転サービスを発展させていきたいと考えています。また、技術開発だけでなく、共に海外に進出できたら良いですね」(チェン氏)
同氏は今後の展望について、「今はまだ損失が多いが、2年以内には収益と損失のバランスがとれるようにしたい。収益の1/3を日本市場から得ることが目標」だと語る。最終的には「5年以内に日本でIPOを目指す」と力を込めた。