ニューノーマルな時代が本格化しようとしています。そこで、起業を促す動く動きが出始めました。日本の新陳代謝のためにも起業数が増えることは重要であり、多くの企業が設立されて軌道に乗ってほしいと思っています。

一方、企業の生存率は10年で5%前後だそうです。20社起業して、10年で1社しか残らないという計算になります。そこで、自分の起業時を振り返って、なぜ筆者が軌道に乗ったのかを考えてみました。大きく分けると、ポイントは以下の2点です。

  • 国内最初のマーケティングアウトソーシング専門の会社だった(と思う)

  • 品質を維持して、社員やスタッフの給与を犠牲にせずに低コストで運営できる仕組みができた(他のマーケティングアウトソーシング会社の半分から3分の1の料金で提供できています)

国内最初のマーケティングアウトソーシング専門の会社

起業した12年前の当時を調べないと明確には言及できないのですが、当時はサブスクリプションという言葉もマーケティングアウトソーシングという言葉もなかったと記憶しています。起業したときに思ったことは「マーケティングもアウトソーシングするニーズがあって、サービスにすればいいじゃん!」であり、画期的な思い付きと思っていました。

他の会社もマーケティングアウトソーシングを実施していた可能性はもちろんあるのですが、マーケティングアウトソーシング一本で展開していた専門会社は当社だけだったのではないかと思います。

前段が長くなりましたが、筆者の会社は「マーケティングアウトソーシング」という差別化できるサービス内容があったということです。おそらく、起業時に多くの経営陣が「サービスの差別化」や「ユニークなサービスモデル」を考えているはずです。本稿で強調したいのは次のポイントです。

品質を維持しつつ給与を犠牲にせず低コストで運営できる仕組み

企業が軌道に乗り継続的に成長を続けるうえで、ここが重要だと思っています。最初の段階で、サービスは高品質ながら、給与はそれなりに高い仕組みがないと、社員は安い賃金で労働をしなければならなくなり、その結果、社員が疲弊・退職し、そもそも優秀な人材が入社してくれません。

企業にとって人は基盤であるので、良い人材に恵まれたいですよね。しかし、魅力が少ない起業したばかりの会社に入ってくれる人は微妙なことが多いですよね。人に恵まれない会社は良い人材が根付かないのでやがてしぼんでいきます。

そこで、起業にあたってまず手を付けるべきことは「低コスト・高品質・それなりに高給な仕組み」を立ち上げることだと考えられます。これができると、社員の給与を犠牲にせずに高品質な生産体制ができます。

ちなみに、驚く方もいると思うのですが、「経営とはいかに従業員を安く使うことだ」と言い切る書籍や起業講座もあります。どんなに不景気な時代でもいい人材は選択肢をたくさん持っているので、そんな会社に良い人材は来ません。来たとしても、すぐにやめて他の会社で活躍しますよね。

会社が低コストで生産できる高利益体質を社員の高給で実現するには、仕組みの効率化が重要です。生産と品質を維持するための仕組みの効率化です。今の時代はテレワーク環境が発達しているので、新しい仕組みを作りやすいです。起業する際は内部の仕組みを考えてみてはいかがでしょうか?

ちなみに、筆者の会社は以下を実施しています。

  • 100%テレワークでオフィス代など固定費を圧縮
  • 完全分業制で仕事をレシピ化しているので、まじめな人ならだれでも高品質な仕事ができるようにしている
  • 社内会議はほぼゼロ(社員同士が会話をしなくても仕事ができるような仕組みを作っています)
  • 作業出来高制の賃金にした(時間出来高や成果出来高ではなく、作業出来高にすることで、短時間で高品質な仕事ができると給与が上がる仕組みにしました。その結果、自ずと社員が自分の作業の高速化と効率化をするようになるので、まじめな人は高給になりやすいのです)

何らかのヒントになれば幸いです。 それでは今日はこの辺で

著者プロフィール


吉政忠志

業界を代表するトップベンチャー企業でマーケティング責任者を歴任。30代前半で同年代国内トップクラスの年収を獲得し、伝説的な給与所得者と呼ばれるようになる。現在は、吉政創成株式会社 代表取締役、DoctorWeb Pacific マーケティングアドバイザーを兼任。