試作を行う目的は、その製品が量産可能かを確認するため、あるいは設計上の問題がないかを確認するために実施されるのが一般的です。何か問題が見つかれば、その問題を修正して新しいパーツを発注するというフローになるのではないでしょうか。その場合、新しい金型が必要になる場合もありますし、既存の金型の修正で済む場合もあります。後者であれば時間とコストを節約できます。

設計変更に伴って金型の修正が見込まれる場合、金型を追加工可能なパーツ設計にすることがコストの節約に貢献します。形状によっては、追加工ではなく肉を盛る方向でも対応できますが、追加工よりはコストがかかります。そのため、あらかじめ修正を考慮してパーツを設計するにあたっては、穴などのような空間は大きめに、リブや壁面、ガセットなどは小さめにしておく必要があります。覚え方としては、金型を修正することで樹脂を足すことはやり易いが、除くことは比較的難しいということです。また、すべての設計変更に対して金型を修正することで対応できるわけではないことも覚えておいてください。

金型の修正を考えた場合、忘れてはならない重要なポイントがいくつかあります。

製品外形寸法の変更

製品の外形寸法を大きくする場合、金型の機能に影響があるゲートやベントと干渉し、新たに金型を起こしたり、入れ子にて対応したりする場合があります。

キャビティに樹脂を注入するためのゲートは多くの場合、製品外形にタブゲートとして設けられます。又、ベントは樹脂の注入に伴って金型内で圧縮されたガスを金型外へ逃がすためのもので、パーツの外周付近に配置されます。これらと製品形状が干渉すると金型の修正が難しくなることがあります。

パーティングラインの変更

パーティングラインが変更になる場合は、金型を作り替えるケースが多くなります。パーティングラインの変更により、金型の固定側、可動側どちらか一方は追加工で済みますが、もう一方は肉盛り方向となるため、新たに金型を作り替える部分が増えたり、入れ子対応が必要になるケースが多くなります。

アンダーカット

Protomold射出成形のプロセスは、スピードとコストに重点をおいて最適化しています。そのため、例えば、既存の金型に新たにスライドを加えるなどの、大がかりな金型の修正に対応する場合も、金型を作り替えるケースが多くなります。

樹脂の選定

樹脂は冷却とともに収縮します。金型はその収縮率を考慮に入れて、最終形状が設計の寸法値に合うように若干大きめに製作します。樹脂が異なれば、収縮率も異なります。試作を複数の樹脂で実施する必要がある場合、収縮率の変化に合わせて金型を修正していくことは時間もかかり、現実的ではありません。もし1台の金型で製品の最外形寸法のみ合わせたいということであれば、最初は収縮率の小さい樹脂に合わせて金型を製作し(金型寸法小さめ)、次に収縮率の大きい樹脂に合わせて金型を追加工する(金型寸法大きめ)という前提で設計を調整していただくことをお勧めします。使用する樹脂が決定したら、その収縮率に合わせた金型を必要に応じて再度製作する可能性もありますが、時間とコストを節約できる方法の一つとなります。

事前に要件をお知らせください

金型の修正が必要になる可能性がある場合は、ぜひ事前にお知らせください。ご相談にも応じますので、遠慮なくカスタマーサービス宛てにご連絡ください。 設計変更にともなって、新規に金型を起こす必要がある場合も、あるいは既存の金型の修正で済む場合も、変更内容によりますが、金型の片側だけで済む場合もあります。そうすれば、時間とコストも削減できます。事前に計画をお知らせいただければ、後の変更まで考慮した金型を製作して対応できるわけです。

金型修正の見積り

形状の変更に伴って金型を修正するだけで成形できるかどうかを検証する最速で確実な方法は、既存の金型または見積りに対して、改訂したパーツのデータをアップロードして、弊社のシステムで解析をさせていただくことです。

改訂対象の金型や見積りを手間なく見つける最良の方法は、 My Account(マイアカウント)サービスを利用することです。2013年6月14日に開始したMy Accountは、既存の金型、お見積り、発注の履歴をまとめたサービスで、見積りを依頼したことのある方はいつでもすぐにアカウントを開設できます。

My Account の「見積り履歴」メニューに一覧表示されている見積りから改訂に該当する見積りを簡単に見つけることができ、その見積りに対して[改訂したモデルをアップロード]することで、迅速に金型修正の見積り回答を得ることができます。

該当する金型や見積りが見つからない場合は、モデルをアップロードする際に、 サイトの[コメント]欄にその旨を入力していただくとスムーズです。金型修正で対応できる場合はそのお見積り、修正できない場合は新たな金型を製作する場合のお見積りをお送りします。

アンダーカットやパーティングライン、あるいはそれ以外の修正についてご質問があればいつでもご相談ください。

= カスタマー サービスへのご連絡 =
本件に限らず、ご質問やご不明な点につきまして、気軽にお問い合わせください。
電 話: 0120-2610-25 または 046-259-9821
Email: customerservice@protolabs.co.jp

ご参考:

プロトラブズ樹脂部品設計ガイド
ProtoQuote®無料解析&見積り

本コラムは、プロトラブズ合同会社から毎月配信されているメールマガジン「Protomold Design Tips」より転載したものです。