ファッションデザイナーや写真家など、自分の作品を作り続けているクリエイターにとって、作品をネット上に公開することは次のステップへ進むために必要なプロモーションです。サイトを作るのはそれほど難しくないのですが、メンテナンスが大変だったり、技術的なところで時間がかかってしまう場合があります。ブログシステムを使うのもひとつの手段ですが、作品を公開するという目的には多機能な部分や不十分なところもあります。ほかにも、作品をなんとかWeb上に公開したまではいいものの、どのようにプロモーションをしたら良いか分からないこともあります。今回紹介する「Dripbook」は、こうしたアーティスト達のもつ課題や疑問を一挙に引き受けて解決しているサービスです。

ホームページを見ただけでもDripbookがホストしているアーティストの質の高さが伺えます

Dripbookは30日間の無料体験ができますが、その後は安いプランでも月々10ドルと有料サービスになっています。登録方法もオープンではなく、他の会員から招待メールをもらうか、運営側に入会の申し込みをするかのいずれかでしか参加できないようになっています。こうしたアプローチをとっているのも、投資をしてきちんと作品を掲載したいというアーティストに使ってもらいたいというDripbook側の意向でしょう。結果的にサイトには高いクオリティの作品ばかり掲載されています。

Dripbookの会員登録は、名前だけでなく在住している場所や作品のジャンルなど、登録しなければならない情報が多くあります。作品を観覧するためのオプションが多いサイトなので、こうした情報をきちんと登録すればするほどリーチの数も増えていきます

有料サービスだけあり、高い機能と安定性をもった管理画面で作品の操作を行うことができます。作品は「Book」と呼ばれるコンテナに分類することが可能で、作品を見せる順番の並べ替えやBookの表紙に持っていきたい画像の選択といった一連の作業をドラッグ&ドロップで直感的に行うことができます。作成されたBookは「Public」、「In Progress」、「Private」の三段階のステータスが用意されており、まだ公開したくない場合は「In Progress」、クライアントや特定の人に向けて作品を公開したい場合は「Private」と使い分けることができます。

作ったBookには3つのステータスが用意されており、用途や場合に応じていつでも切り替えることができます

作品の順番切り替えもドラッグ&ドロップで可能。左上にあるアイコンに表示される画像も、アイコンにしたい画像をエリアにドラッグ&ドロップすれば変更することができます

通常はStandardでも十分ですが、自分のサイトに作品を公開したり、広告がないページにしたい場合はさらに上のプランを考慮したほうが良いでしょう

コントロールパネルでは、自分のプロフィール設定やネットワークの状況を確認できるようになっています

Bookの見せ方もサムネイル形式かスライダーを使った横スクロールで見せるやり方のふたつが用意されています。表示されるギャラリーページもRSSの書き出しやソーシャルサービスへのリンクが設置されており、今時のWebユーザーとの親和性が高く、作品を認知してもらうための窓口が広いのも特徴です。コメントを付けたり、メッセージを送るといったコミュニケーション機能もありますが、これらも管理画面でコントロールすることが可能です。

一度に複数のファイルをアップロードして、その場でBookを選択することもできます

派手な動きや装飾はありませんが、作品がサイトデザインによって相殺することもありませんし、必要充分な機能が揃っています。もちろん、見た目にこだわりたい方は三段階用意されている有料プランの最上級であるプレミアムをお勧めします。自分が作ったWebサイト用にデータを書き出す機能があるので、サイト管理をDripbookで行いつつ、表示させるのは自分のドメインで作ったFlashサイトにすることも可能です。

Bookの作成の際には必ずタグ(キーワード)を入れておくと効果的です。似たような作品やタグ検索の際に表示されやすくなります。作ったBookにドラッグ&ドロップで作品を追加できます

アーティストが作品を掲載する場所としてではなく、エージェンシーやアートディレクターが新しいタレントを探す場所にも最適です。ジャンルやタグで探すことができるだけでなく、アーティストが在住している地域でも探すことができます。Google Maps 地上に表示されるインタフェースを採用しているので、打ち合わせをして詳細を決めたいといった場合に便利です。会員になれば、サムネイルと名前付きで最近見たページも保管できるだけでなく、「Shortlist」というお気に入り追加機能を使うこともできます。他のソーシャルサービスのようにメッセージを送ったり、アーティストのネットワーク(知り合い)を辿って似たようなアーティストを捜すこともできます。

アーティストのトップページには大きな画像を使ったスプラッシュページが用意されており、こちらも管理画面で変更できます

マップ機能を使えば、アーティストの在住場所からタレントを捜すことができます

アーティストがWeb上でプロモーションをしていくには、今や作品を単に見せるだけではなく、口コミしてもらうために窓口を増やす工夫が必要になります。サイトにも様々な演出を施したくなる場合がありますが、サイトより重要なのは作品です。少しでも早く多くの方に見てもらい、見た方が他の方にも伝えるようなネットワークを作るにはDripbookは最適です。有料サービスではありますが、質の高い作品を作り続けているアーティストばかりのコミュニティなので安心ですし、仕事に繋がった方も少なくありません。少ない投資で世界デビューを考えている方はDripbookは最適なネットワークといえるでしょう。