最近ではGoogle Docsのように、デスクトップアプリケーションと変わりない機能を持ったワープロをオンラインで使えるようになってきました。オンラインで使えるワープロの特徴は、文章を書くときに欠かせない機能がオンラインでも扱えるという点だけでなく、作成した文書を他の誰かと共有できるという点にもあります。

複数人がひとつの文書に関わる場合があると思いますが、それが単なる共有ではなく、携わる人、ひとりひとりが違う役割を持っているときがあります。例えば、全員が文章を書く作家ではなく、確認をする人、編集をする人といった役割に分かれていて、同じ文書に対してそれぞれが異なる作業をする場合などです。つまり、オンラインワープロを提供している多くのサービスのように、単に共有できるだけでは満たされないワークフローがある場合です。今回紹介するCoventiは、そういった校正作業に注目した便利なオンラインワープロです。

Coventiの会員登録は他のWebサービスと同様、最小限の情報を入力するだけですぐに利用することができます。まずはチュートリアルビデオを見て、実際どんなことができるのか確認してみると良いかもしれません

Coventiのワープロ機能に関して言えば、Google Docsをはじめとした様々なオンラインワープロと同等なものなので、戸惑うことなく文書を書くことができます。文書の読み込みはMicrosoft WordもしくはOpen Document Textをサポートしており、日本語でも文字化けは発生しません。書き出しはというと、複数のフォーマットをサポートしているものの、残念ながら日本語だと文字化けしてしまうものがほとんど。ただし、Rich Text Formatなら文字化けの心配もないし、Coventiで書いた文章をコピー&ペーストするといった方法で別アプリケーションでもデータを扱うことが可能です。

校正モード。この状態にコメントや編集の提案を送ることができます。Ownerステータスのある方は「Revise」ボタンをクリックして自由に編集することができます

編集モード。校正モードのときに送られたコメントや編集の提案を参考にしながら、実際の編集作業を行うことができます。「Submit Revision」をクリックすると新しい版が追加され、校正モード時に異なる版を比較できるようになります

個々の文書に異なるユーザーを招待することができます。ここではメールアドレスや、役割が分かるだけでなく、いつログインしたのかも確認が可能。ユーザーの役割もワンクリックで変更可能です

参加したユーザーは2つの方法で校正作業に参加することができます。ひとつは文書にコメントを残す方法で、提案や意見を書き込めるようになっています。書き込まれた個々のコメントには返信ができ、ちょうど掲示板のような作りになっています。ディスカッションが終わったものは「Close」を選択することによってアーカイブすることが可能です。もうひとつの参加方法は、文書に直接校正を加える作業で、文書を自由に編集することができます。Wikiと同様、保存する度に版を残していくので、異なる版を比較することが可能なだけでなく、前の版に戻すということもできます。

校正モードのときに、テキストを選択するとコメントを入れるか編集を加えるかの2つのオプションが表示されます。コメントは簡易掲示板のように扱うことができ、校正も単に編集するだけでなく、編集した理由を書き込める欄があります

共有すると会員/非会員関係なく招待メールが送信されます。招待メールは残念ながら日本語のサポートがされていないので、英語で手短に書いておくと良いかもしれません。非会員の方も登録後すぐに校正作業に参加することができます

共有できるユーザーは3種類の役割に振り分けられます。「Owner」はユーザーを招待できるだけでなく、文書の書き込みや校正などすべての権限を持っています。「Author」はドラフトモードのときに文書にコメントを加えたり校正を加えることが可能で、「Reviewer」はコメントのみ加えることができます。また、コラボレーションプロセスを円滑に行うために、校正作業の〆切を設定することができ、〆切当日には参加者にメールが届くようになっています。その他、最終版が校了かどうかを共有メンバーにチェックしてもらうための機能もあります。設定のチェックボックスをクリックするだけで、認可確認のメールが参加者に送信され、参加者がチェックインできるようになっています。全員がチェックインしたらOwnerの元に完了メールが送信され、文書が晴れて完成となります。

[Review Option]では校正の〆切を設定したり、校了かどうかを参加者に確認してもらうためのメールを送信できるようになっています

Coventiの特徴は校正がある度にメールが送信されるようになっていたり、メンバーパネルで何日前にメンバーがログインしたのかなどが分かるようになっているので、メンバーに校正作業を積極的に働きかけるような仕組みになっています。

文書を共有するだけであれば、他のサービスでも十分利用できますが、校正プロセスを考慮しながら文書を作成したい方にとって、Coventiは最適なサービスといえるでしょう。校正作業ができるアプリケーションはデスクトップ用でもいくつかありますが、複製がたくさんできてしまいますし、関係者全員でのディスカッションもし難いです。文書の校正作業こそ、オンラインで行うタスクとしてふさわしいのかもしれません。