皆様は、今年のお月見を楽しみましたか? こねたものたちも、澄んだ風が吹き月が綺麗なこの季節をまた迎えられたことに感謝しながら旅を続けているようです。
そんな季節にぴったりな「誰家無明月清風(たがいえにかめいげつせいふうなからん)」という言葉があります。
月が光で照らすものを選んだり、風が通る道を選んだりすることがないように「どのような人にも仏性(真理にたどり着く可能性)が備わっている。大切なのはそれに気づくこと」という意味が込められた言葉です。
これまでも、月を真理にたとえて「真理は特別な人にしか見つけられないものではない(第50回)」「誰もが自分の中に可能性を持っている(第94回)」という意味が込められた言葉をご紹介してきましたが、もう1つ、これらの教えからメッセージが読み取れないでしょうか。
それは「誰もが同じ人間(生物)なのだ」ということです。
失敗を責めたり、他人を傷つけるようなことを言ったりすることの根底に「あの人は自分とは違う(関係のない)何かだ」という思いが働いている場合があります。
また、第77回でお話ししたように、他人に対してあれこれと言っている時は、自分自身のことは見えなくなるものです。
相手が組織(集団)であるなど個人の存在がぼやけていたり、ネットを介したコミュニケーションのように相手の顔が見えない、相手との距離感が遠かったりする場合においては、そうした傾向がより強くなるのではないでしょうか。
どんなやりとりの先にも、自分と同じように傷つきたくないと思っている人間がいます。「自分も同じように失敗する(した)ことがあるのだから」「同じ人間なのだから」という考えを忘れないようにすることで、強い言葉で相手を非難しそうになった時も落ち着くことができたり、寛容になれたりするかもしれません。
■こむぎこをこねたもの、とは?
■著者紹介
Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。その後、「こむぎこをこねたもの その2」、「こむぎこをこねたもの その3」、「こむぎこをこねたもの その4」をリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。
「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。