すっかり梅雨に入り、雨の降る日が多くなってきました。旅するこねたものたちの行先も今日は雨。雨宿りをしながら進みます。

「雨奇晴好」という言葉があります。中国・北宋の詩人、蘇東坡という人物が詩の中に残した言葉で、「雨の日はいつもと変わった景色が、晴れの日は美しい景色が楽しめて、どちらも良いものだ」と歌っています。

我々は、晴れの日を「良い天気」、雨の日を「天気が悪い」と言ったりします。人間にとっては晴れている日のほうが何かと都合がいいものですから、直感的にこういった分別が生じてくるのは自然なことですが、直感的なだけに、第80回で紹介したような「良いものでなければ悪いもの」と言った二項対立の価値観に無意識のうちに巻き込まれ、「悪い〇〇」というイメージに引っ張られて、気分が滅入りマイナスな感情を持つことを心が優先してしまったりすることもあります。

雨の日に雨の日ならではの良さを感じ取っているこの言葉のように、「良いものでなければ悪いもの」という直感にとらわれず世の中を見渡してみることで、日常の中で「良い〇〇」に対して「悪い〇〇」と言われている物事の中にも、あなたの心を豊かにする良い部分を見つけることができるかもしれません。

■こむぎこをこねたもの、とは?

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。その後、「こむぎこをこねたもの その2」、「こむぎこをこねたもの その3」、「こむぎこをこねたもの その4」をリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。