紙とFAXはまだ仕事を止めている
業務アプリをkintoneで運用している方なら、申込書や依頼書、アンケートなど紙媒体のデータが一定割合で残っていることを実感しているはずです。紙が残ると、出社して突き合わせる・読みにくい手書きを判読する・入力ミスを恐れてダブルチェックするといった「目と手の作業」が延々と発生します。
今回紹介するATTAZoo AIOCRパックは、こうした「転記」のボトルネックをkintoneの中で解消するためのプラグインです。PDF取り込み→AI-OCR→結果確認→登録→CSV出力までの処理を、現場主導で回せるように設計されています。
また、セキュリティ(プライバシーマーク等の対外説明、外部診断)も配慮されており、社内で審査を受ける際も説明しやすいでしょう(AI活用の審査については第1回を参照)。
現場で「取り込みから確認まで」を完結
ATTAZoo AIOCRパックは、kintone向けのプラグイン群とテンプレートで構成されており、「開発なし・短期間・低コスト」での導入を掲げています。読み取った結果を一画面でPDF原票と並べて確認・修正でき、結果を保存するkintoneアプリも自動生成できます。読者の多くが抱える「紙の後始末」を、kintoneの操作だけで進められる点が最大の魅力です。
AI-OCRエンジンにはCogent Labsの「SmartRead」が採用され、手書きも含めて99.2%の高精度認識をうたっています。読み取り精度に加え、現場が自分で定義できるという「使い勝手」の面でも、導入しやすさが意識されています。 ATTAZoo AIOCRパック自体はOCR機能を持たず、「SmartRead」というAI OCRのクラウドサービスと連携します。ATTAZoo AIOCRパックの料金に、「SmartRead」の費用も含まれています。
ライセンス・料金の考え方:ポイント(読取項目数)が鍵
ATTAZoo AIOCRパックの料金は、「読取項目」=「ポイント」で見積もるのがポイントです。例えば、1枚に30項目(1項目=1ポイント)の読取欄がある帳票を月300枚処理する場合、エントリーにあたるプラン1(月額31,900円/税別、上限9万ポイント)が目安になります。処理量や項目数が増えるなら上位プランを選びます。
読み取り枚数ではなく、あくまで総読み取り項目数で計算することになりますため、この点には注意が必要です。
また、kintone自体の料金は含まれていません。あくまで、kintoneのユーザー向けのサービスです。またプラグインを使用するためには、kintoneの「スタンダード」以上の契約が必要です。
導入の手順
導入(インストール)の大まかな手順は以下の通りです。
(1)プラグインZIPをkintoneに読み込み、スペーステンプレートを適用する
(2)ライセンスキーをプラグイン設定で入力する
(3)SmartReadに読み込む帳票のテンプレートを作成する
(4)SmartReadやkintoneアプリの連携を設定する
(1)や(2)については、第2回を参考にしてください。問題は(3)と(4)です。一度設定してしまえばあとは簡単に利用できますが、最初の設定をする際に非常に手間がかかってわかりにくく感じるかもしれません。
「関連する各サービス、テンプレートの識別コードを抽出して、それぞれの識別コードを登録しながら連携設定を行う」ことを手作業で行う必要があります。
例えば、複数の事業所が連携して業務を行う際に、各事業所に電話番号を割り振り、各事業所に、あなたは何番の電話番号からかかってきたデータを受け取り、加工したら何番の電話番号の事業所に送ってくださいといったように、一つ一つ設定するような作業です。加えて、データの読み取り形式など、細かく設定する場面もあります。
もし、こうした作業に詳しいスタッフがいない場合は、ベンダーに依頼するか、あるいはサポートを受けながら設定したほうがいいでしょう。
運用の5つのステップ
導入後の運用は、次の5ステップに整理できます。
入力経路→OCR→確認→保存→出力
(1)入力経路
メール添付、監視フォルダ(QanatUniverse Agent)、オプションの専用スキャナ(別料金)を受け口にできます。
まずは書類をスキャンし、PDFファイルとしてメールでOCRに送信する「メール添付」から始めるのがいいでしょう。追加費用をかけることなく汎用的に使い始められます。
(2)OCR
SmartReadのテンプレートで「どこをどう読むか」を定義し、PDFからテキストを抽出します。
(3)確認
結果確認アプリでPDFとOCRの結果を横並びで突合し、その場で訂正します。
(4)保存
結果アプリが自動生成され、抽出データはkintoneに登録・一覧化されます。
(5)出力
高機能ダウンローダーで列名・並び・固定値まで整形し、後続システムへ取り込みやすいCSVとして出力できます。
実務で効くポイント
PDFと結果の「一画面突合」で、紙とPCの往復がなくなります。確認時間が短く、ミスの早期発見にもつながるでしょう。
結果アプリを自動生成してくれるので(データではなくアプリを生成します)、項目設計の手戻りが減り、現場主導の改善を回しやすくなります。
また、AI OCRを通して出来上がったデータは、そのままkintoneの他のアプリで使用することもできますし、パックに含まれる「高機能ダウンローダー」でCSVの最後の整形(列名変更、並び替え、固定値付与、保存先指定)を自動化して、他の業務システムに取り込むこともできます。
まとめ:まずは「小さく、早く」回してみる
ATTAZoo AIOCRパックは、kintoneに慣れている現場ほど効果が出やすい仕組みです。最初は「1枚=30項目×月300枚」といった規模から試し、1画面突合の楽さやCSV自動出力の時短成果を確認してから横展開すると、失敗コストを抑えた導入になります。
導入時の初期設定がエンドユーザー、アプリケーションユーザーには意外とハードルが高いというところが注意点です。ただし、ベンダーのサービスやサポートを活用することで初期設定を乗り越えれば、AIを活用した高い認識率で、手書きの書類もほぼそのまま電子データ化できる大きなメリットを実感できるでしょう。
次回も引き続きATTAZoo AIOCRパックについて紹介します。



