2023年3月22日、ユーグレナは、地産地消の宇宙食である「宇宙食3.0」への挑戦として、宇宙のように特殊で閉鎖的な環境下でも発育・栽培できる可能性を秘めた食材を活用した即席カップ麺の開発に向けて、クラウドファンディングを開始すると発表した。
このクラウドファンディングの支援者には、開発された「2040年サステナブルラーメン」を返礼品として送るという。では、ユーグレナが目指す宇宙食の未来とはどのようなものだろうか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。
ユーグレナが目指すのは宇宙での“地産地消”
近年、国際宇宙ステーション(ISS)での民間人の滞在やサブオービタル旅行への民間人搭乗など、宇宙旅行が徐々に身近になってきている。まだ価格自体は高額で富裕層向けの旅行先であることは間違いないが、そう遠くない未来には大衆化されているだろう。また、アルテミス計画などの月面有人探査計画も始動し、宇宙での長期滞在がますます現実味を帯びてきている。
その中で課題の1つとなるのは、やはり宇宙での食料確保だ。冒頭でも記載したが、宇宙食3.0の実現に向けた取り組みが始動している。
鋭い読者の方であれば、宇宙食1.0や2.0もあるとお察しだろう。その通り、地上で調理したものを宇宙空間に持っていく宇宙食1.0、地上から食材を運搬し宇宙空間で調理する宇宙食2.0がある。そして現在ユーグレナが取り組むのが、宇宙空間で食料を生産し自給する宇宙食3.0の開発だ。
同社は宇宙食3.0への挑戦として、自社研究の強みである微細藻類の石垣島ユーグレナを使った宇宙食素材を検討している。彼らによると、ユーグレナは、豊富な栄養素を含有している上、他の動物や植物と比べて単位面積あたりの生産性が高く、閉鎖的空間である宇宙での栽培に適しているのというのだ。
また同社は並行して、微細藻類「オーランチオキトリウム」の研究も進めている。オーランチオキトリウムは、細胞重量の20%近くをDHAが占めており、宇宙空間において不足する魚類含有の必須脂肪酸を効率的に供給できる素材だとしている。
そして今回ユーグレナは、クラウドファンディングのリターンとして、2040年サステナブルラーメンを開発したという。このラーメンはもちろん宇宙食3.0の開発の一環だ。
スープにはオーランチオキトリムが使われ、DHAを豊富に含む同素材の魚介系風味を活かした醤油ベースの味わいとのこと。麺の原料は、生命力が強く化学肥料や農薬に頼らず栽培できる「カムット小麦」を使用し、酵素技術によりもちもちした食感と食べ応えを実現したとする。さらにその上には、ネクストミーツが開発した代替肉に、宇宙でも培養可能なユーグレナを加えたチャーシューや、暑さや乾燥などの環境耐性があり、緑黄色野菜と果物の両方の栄養素を含んだスーパーフード「ウチワサボテン」の茎を使用した野菜がトッピングされるというのだ。
いかがだっただろうか。微細藻類を活用してさまざまな課題解決方法を発想するユーグレナの実行力や実現力には、いつも驚かされる。ぜひ読者のみなさんもクラウドファンディングに参加し、宇宙食3.0を実現するラーメンを楽しんでいただくとともに、ユーグレナを応援してみてはいかがだろうか。