ジェフベゾスが主催するThe MARS(Machine learning, Automation, Robotics, and Space)conferenceにおいて、MIT Media LabのディレクターであるDavaNewman氏が「3D KnitBioSuit」を発表した。

この3D KnitBioSuitは、有人宇宙活動において重要なものとなると考えられる。では、この3D KnitBioSuitとはどのようなものだろうか。今回はそんな話題について触れたいと思う。

3D KnitBioSuitとは?

DavaNewman氏が発表した3D KnitBioSuitとはどのようなものだろうか。

その前に、MITBioSuitから説明する必要がある。

3D KnitBioSuitを発表したDavaNewman氏は、これまで船外活動ユニット(EMU)を開発してきた。EMUはいわゆる船外活動用の宇宙服だ。

彼女は、EMUは動きづらいし、かさばるし、デザインもイケていない。しかも、EMUという名称もパッとしない、そう思っていたようだ。そのため開発したのがMITBioSuit。下のイメージ図をご覧いただきたい。

  • MITBioSuit

    MITBioSuitのイメージ(出典:MIT Media Lab)

とても先進的なデザインだ。このMITBioSuitは、機械的逆圧(MCP)という技術を使って、皮膚に均一な圧力を提供することができる。

しかも、見た目からは想像できないが、宇宙空間の真空からも人体を保護することができるのだ。

これまでの50年以上使用されてきたEMUのガス加圧の方式と比べて、桁違いにかさばらず、移動性が大幅に向上するように設計されているのだ。

また、MITBioSuitはEMUよりも安全性が高いという。EMUに微小隕石や宇宙ゴミが衝突し、貫通すると、急速に圧力が下がり、なすすべがない。しかしMITBioSuitであれば、次世代のダクトテープで修繕できる可能性があるという。

MITBioSuitの概要はお分かりいただけたと思うが、3D KnitBioSuitに話を戻そう。

3D KnitBioSuitは、MITBioSuitのスリーブ部分でプロトタイプと位置付けられている。

  • 3D KnitBioSuit

    3D KnitBioSuit(出典:MIT Media Lab)

その材料には、多機能ポリエチレン繊維が使われている。多機能ポリエチレン繊維は、柔軟で高靭性であり、皮膚圧調整、体温調節、部分的な放射線防護が可能だという。

そして、3D KnitBioSuitには、センシングファイバー、慣性測定ユニット、加速度計、ジャイロスコープ、およびオンボードの機械学習アルゴリズムを使用してリアルタイムセンサーで加えられた圧力と体の動きを監視するスマートセンシングが備えられており、スーツの圧力状態、パフォーマンス、および異常の検出を監視できるのだ。

インスタグラムに3D KnitBioSuitの動画がアップされている。一度見ていただけるとどのようなものなのか理解が進むと思う。ぜひご覧いただきたい。


■3D KnitBioSuitの動画

いかがだっただろうか。

動きやすさ、かさばらないとてもスタイリッシュな、SF映画で見られるようなEMU。いや、EMUでなく、BioSuitという表現の方がしっくりくる。見た目とは裏腹に、宇宙空間の真空や放射線、微小な隕石の影響までも対応可能というからすごい。