月のレゴリスから繊維を紡績する技術をもった企業がドイツに存在する。その名はMoonFibre。彼らは、玄武岩を主成分とする月のレゴリスから繊維を紡績し、さまざまな用途に活用するというビジネスを計画している。

ではMoonFibreとは、どのような企業なのか、月のレゴリスからどのように繊維を紡績するのか、今回はそんな話題について、紹介したいと思う。

月のレゴリスから紡績する技術とは?

ドイツのMoonFibreは、玄武岩を主成分とする月のレゴリスから繊維を紡績する技術を開発。この技術は、ドイツのアーヘン工科大学と共同で開発されたという。

では、月のレゴリスから繊維を紡績する技術とはどのような技術なのだろうか。まず以下の動画をご覧いただきたい。人類の月への好奇心から、月の居住などに関する課題、その解決策を短編で紹介している。

MoonFibreの月のレゴリスから繊維を紡績する装置

動画でも紹介されているが、以下の図に示されているのはiBlockという装置だ。

  • MoonFibreのiBlock

    MoonFibreのiBlock(出典:MoonFibre)

40cm角で重さ17kgというとてもコンパクトな装置。月での稼働を想定しており、月のレゴリスを熱で溶解し、その後引抜成形を実施し繊維を紡績する装置だ。

この装置で1時間に180kmもの長さの繊維を作ることができるというから驚きだ。そしてこのiBlockという装置は、インタフェースがしっかりと設計されていて、レゴのように積み上げて大型化することができる。

動画には、3個×3個×3個の27個のiBlockを積み上げている。これにより大規模な製造プラントに変貌させることも可能であるという。

MoonFibreが紡績した繊維の利活用シーンとは?

MoonFibreの紡績した繊維は、月のレゴリス由来という鉱物繊維としての特性を生かして以下の図に示すような利活用シーンを検討しているようだ。

まずは、断熱材だ。月での居住施設と外部との断熱に活用する。居住施設以外にも断熱材は多くの用途があるだろう。

他には、宇宙で植物を育てる際に使える土の代替を果たすミネラルウールだ。月をはじめとする植物工場では多用されることだろう。

そのほかにも、空気や水などを清浄するためのフィルターや宇宙服などのテキスタイル、Fibre ReinForced(繊維強化材)にも使われ、居住施設の外壁やもしかしたら月で製造される宇宙船や衛星などにも活用されるかもしれない。このように活用シーンはさまざまなものを検討しているようだ。

  • MoonFibreが紡績する繊維の活用シーン

    MoonFibreが紡績する繊維の活用シーン(出典:MoonFibre)

いかがだっただろうか。MoonFibreは、月のレゴリスから繊維を紡績する技術を月面で実装することの理由に地球からの輸送コストの高さを挙げている。

その膨大なコストが障壁となり、この課題の解決の重要性を紹介している。しかし、なぜか人類は、未知の領域への好奇心を持つ。そのため多くの企業が月や火星を目指していることも否定できない。

そのため、MoonFibreをはじめとし最近、地球ではなく、月などの宇宙でモノを直接生産することを計画する企業が増えてきた、そんな印象がある。今後、宇宙での活動はどのように変化していくのだろうか、MoonFibreの今後の取り組みに注目だ。