国分株式会社は、1712年の創業以来、300年以上にわたり食の流通に携わってきた食品卸である。
同社では新たな時代に対応するためにモバイル端末の導入を検討していた。だが、当時利用していたメールシステムではモバイルへの対応が難しかった。また、システム自体が古く使い勝手も悪かったため、この機会にメールシステムそのものを入れ替えることとなった。
そして現在、同社はメールシステムをGoogle Appsへと移行し、スマートフォンやタブレットなどの実験的利用を開始している。だが実は、当初の検討段階では「誰一人としてGoogle Appsを導入することになるとは思っていなかった」という。
本記事では、今回のシステム移行に際して中心的な役割を担った同社情報システム部の久保隆行氏と吉田尚起氏に、導入に至った経緯について話を聞いた。

会社概要

国分株式会社 創業: 1712(正徳2)年
事業内容: 酒類・食品・関連消費財にわたる卸売業及びそれらに関する資材の販売業、貿易業、パン粉の製造業、貸室業

日本橋1-1-1に構える本社ビル

オリジナル商品が揃うセレクトショップ"ROJI日本橋”

現行のシステムでは新しい技術に対応できないという危機感

国分株式会社 情報システム部 チームリーダー 久保隆行氏

国分株式会社では、オンプレミス型のメールシステムを約20年間利用していた。かなり古いシステムであるためメールサーバーの容量が厳しく、既読メールは3日、未読メールであっても14日で自動削除するという厳しい運用ルールが適用されていた。

その他にも、保管が必要な重要メールはユーザー自身が個別にバックアップを取る必要がある、検索機能がないために必要なメールを探す手間がかかる、社内ポータルからのシングルサインオン(SSO)ができないなど、使い勝手の悪さが目立っていた。もちろん、20年前のシステムがモバイル利用など想定しているはずもない。

「モバイル端末の展開を実施するためにも、メールシステム自体の入れ替えは必須でした」(久保氏)


選択の理由は「夢がある」から

国分株式会社 情報システム部 吉田尚起氏

新たなメールシステムを決めるに当たって、まずはいくつかの候補を選定した。そしてその中の一つとしてGoogle Appsがあった。だがその時は、久保氏も吉田氏も「Google Appsが選ばれるとことはないだろう」と考えていた。

「卸業界でクラウドサービスを利用している企業はほとんどありません。我々も、当初はオンプレミスを中心に考えていました。正直な話、Google Appsは『最近はこんなのもあります』程度の候補に過ぎませんでした」(久保氏)

ところが、それぞれの候補について検討を進めて行くうちに、久保氏も吉田氏もGoogle Appsの使いやすさや便利さが際立って感じられるようになってきた。

「最初は、"使えたらいいね"、くらいの感覚でしたが、検証を進めていくウチに"なんとしても使いたい"という気持ちに変わっていきました(笑)」(吉田氏)

導入システムを決める最後の社内プレゼンの日、久保氏はGoogle Appsの導入に向けて熱弁をふるった。投票の結果、2つのサービスが同点で並んだそうだ。最終決定は、投票権を持たなかった部門長に託された。

「Google Appsはメールやカレンダー機能の他にもさまざまな機能がある。何より世界標準だ。国分で初となるクラウドサービスの活用にチャレンジしよう」

部門長が語ったこの一言が決め手となり、Google Appsが導入されることになった。

Google Appsでは解決できない細かい課題をCloudGateで対応

Google Appsを導入すれば、同社が抱えていた課題の多くは解決できる。だが、Google Appsだけではどうしても解決できない重要な課題があった。

例えばセキュリティの問題だ。クラウドサービスであるGoogle Appsは、いつでもどこからでも接続が可能となる。モバイル運用に便利な反面、細かなアクセス制限の設定などセキュリティの対策が必要不可欠である。

また、システムの切り替えに際して発生するアカウントの移行も大きな課題の一つだった。

「私たちは5,500件ものアカウントを所有しています。システムの移行に際して、一つ一つを手作業で入力していては、時間と手間がかかり過ぎてしまいます。アカウントを管理するディレクトリサービスにアクセスして、アカウントの自動登録を行ってくれるLDAP連携は、どうしても必要な機能でした」(吉田氏)

これらの課題に対処するために選ばれたのが、株式会社インターナショナルシステムリサーチ(以下 ISR)が提供する「Cloud Gate Light」(以下 Cloud Gate)だった。

Cloud Gateでは安全なモバイル接続を実現するために、IPアドレス認証や端末のID認証など、柔軟なアクセス制限の設定が可能である。また、これまで別々だった社内ポータルとメールアプリケーションの同期が可能になり、社内ポータルからのメール利用が可能となった。

IPアドレス制限

LDAPの連携については、いくつかの調整が必要だったが「ISRさんの場合、SIとしても柔軟に対応していただけました。おかげでアカウントの登録が全自動となり、作業工数を大幅に削減することができました」(久保氏)

LDAP連携

「人々の暮らしを守るためにも、物流を決して止めない」食品卸の使命

300年以上の歴史を持つ同社は数多くの戦争や災害を体験してきた。だからこそ、「有事の際でも、物流を止めない」ことに対する意識が非常に高い。

「モバイル端末の利用を検討した理由の一つにBCP対策があります。現在、メールは連絡手段として欠かせないものとなっています。いざという時にメールシステムにアクセスができなければ、BCP対策としては不十分です。災害時におけるデータバックアップなどの観点からも、メールのクラウド化は非常に有効な手段であると言えるでしょう」(久保氏)

また、Cloud Gateも災害時には自動でクラウドに構築されたバックアップ環境に稼働が切り替わる、Cloud Gateリカバリーサービスを無償で提供している。

Google AppsとCloud Gateを用いたメールシステムは大きな問題もなく社内に浸透し、現在では誰も戸惑うことなく利用されているとのことだ。また、営業支援としてモバイル端末を100台配布し、試験運用も兼ねた利用が進んでいる。今後は、さらに導入台数を増やし活用を広げて行く予定とのことである。

「Cloud Gate」には、今回紹介した「IPアドレス制限」や「LDAP連携」以外にも、Google Appsを導入する企業にとって重要なセキュリティ機能や便利な管理機能が搭載されている。

ISRのHPには導入事例や無料で機能を試すことができるトライアルサイトなど、「Cloud Gate」の実力がよくわかる情報が満載となっている。興味のある方は、是非ご覧いただきたい。

お問い合わせ先

株式会社インターナショナルシステムリサーチ
(International Systems Research Co.)
営業部(Sales Div.)
E-Mail: sales@isr.co.jp HP: http://www.isr.co.jp
TEL: 03-5378-6011 FAX: 03-5378-6012