iPhoneのショートカット機能は日常業務を効率化するための強力なツールだ。そこで今回は、ビジネスシーンにおけるショートカット機能の具体的な活用方法、その設定・応用例を説明しよう。
「ショートカット」とは?
「ショートカット」はiPhoneに標準搭載されている自動化アプリだ。複数のアクションを一連の流れとして設定し、ワンタップや音声操作で実行できるツールとなっている。ニーズに応じてカスタマイズ可能であり、日常的な作業やビジネスでの定型業務を効率化するための支援を提供する。
例えば、アラームを止めた後にカレンダーアプリを開きタスクリストを表示する、といった流れを1つのショートカットにまとめることでスムーズな業務開始が可能になる。
このアプリのポイントはiPhone内のさまざまなアプリや機能を連携させ、複雑な操作を自動化できる点にある。ショートカットは「アクション」という単位で構成され、これを積み重ねることで多様なタスクを実現する。「ファイルをクラウドに保存する」「指定したメールアドレスに送信する」など、単独のアクションから複数の処理を組み合わせた高度なワークフローまで幅広く対応している。ショートカットはiPhoneを単なるスマートフォンから強力な業務効率化ツールへと変貌させる存在だ。
しかしながら、この機能を活用できているユーザーはそれほど多くない印象を受ける。一度使ってみればその便利さに気がつくはずだ。まだ試したことがなければ、本稿を通じて経験してもらえると嬉しい。
ショートカットが業務にもたらすメリット
ショートカット機能を活用する最大のメリットは、定型作業を自動化することで業務効率を向上させられる点にある。日々繰り返される単純な操作や手間のかかる手動作業をショートカットにまとめることで、作業時間を削減し、本来注力すべき重要なタスクに集中できる環境を整えることができる。
例えば、毎朝メールを確認してスケジュールを立てる作業をショートカットで一括処理することで、効率的な業務のスタートを切ることができる。
加えて、ショートカット機能はミスの削減にも寄与する。手動で行う操作にはミスがつきものだが、自動化されたプロセスは設定した通りに正確に実行されるため、ヒューマンエラーを防ぐ効果が期待できる。また、Siriとの連携を活用することで、手を使わずにタスクを実行できるため、移動中や他の業務に追われている最中でも効率的に作業を進められる。これにより業務全体の生産性が向上し、よりスムーズなワークフローを実現できる。
ショートカットの作成手順
ショートカットを作成するには、まずiPhoneの「ショートカット」アプリを開き、画面右上に表示される「+」ボタンをタップして新しいショートカットを作成する。アクションは「メッセージを送信」や「アプリを開く」、「ミュージックを再生」など多岐にわたる。目的に応じて適切なものを選択する。
次に、選択したアクションを順番に積み重ねてワークフローを構築する。カレンダーアプリを開き、スケジュールを確認し、必要な連絡先にリマインダーを送る流れを作りたい場合、それぞれの操作をアクションとして追加していく。アクション間の順序を入れ替えることも可能で、細かく調整できる。アクションには条件分岐やループ処理を加えることもでき、複雑なワークフローを実現することもできる。
ショートカットの作成が完了したら、名前を付けて保存する。保存されたショートカットは、タップするだけで実行できる。Siriに名前を登録すれば、音声操作で簡単にショートカットを起動することもできる。
作成したショートカットが意図通りに動作するか、テストを行うことも大切だ。動作確認を行い、不足しているアクションや設定のミスがないかを確認する。テスト後、必要に応じて改善を加え、実際の業務に投入する準備を整える。このように、手順をしっかりと踏むことで、効果的で実用的なショートカットを作り上げることができる。
サンプルシナリオ: 朝の業務開始時の自動化
作成手順がわかったところで、業務開始時に行うルーチンを自動化するショートカットを作ってみよう。出社時に業務をスムーズに開始するためのショートカットを作成することで、ルーチン作業を効率化し、時間を節約できる。
今回は出社後に行う一連の作業として、カレンダーでスケジュールを確認し、タスクリストを開き、必要な連絡を送るという流れを想定する。この作業をショートカットにまとめることで、これらをワンタップで実行可能となり、日々の負担を軽減できる。
まず、ショートカットを作成し、以下のアクションを順に追加する。最初に「カレンダーを開く」アクションを設定し、現在の日付の予定を即座に確認できるようにする。次に、「リマインダーを表示」アクションを追加し、当日のタスクリストを確認する。さらに、必要に応じて「メッセージを送信」アクションを組み込み、チームメンバーや上司に挨拶や進捗報告を自動的に送れるように設定する。
これらのアクションを連続して設定することで、朝の業務開始時のルーチンが効率化される。Siriとの連携を活用すれば、音声で「仕事始めタスク」と指示するだけでショートカットを実行できる。これにより、手を使わずにすべての作業を完了させることが可能であり、朝の時間をより有効に活用できる。
このショートカットのメリットは、必要な情報を漏れなく把握できるだけでなく、業務開始の流れを一定化できる点にある。日々の業務の入り口をスムーズにすることで、全体的な生産性アップできる。