iOSで提供されている「ショートカット」アプリを使えば、iPadで行うさまざまな業務を自動化してワンタップで実行できるようになる。前回は、「ギャラリー」としてあらかじめ用意されたショートカットを取得・使用する方法を紹介したが、ショーカットは自分で作成したり、既存のショートカットをカスタマイズしたりすることもできる。そこで今回は、自分なりのショートカットを作成する方法を説明しよう。
ショートカット自作のための基礎知識
ショートカットは「アクション」と呼ばれる小さな処理を複数組み合わせて作成する。アクションには、単に画面にテキストを表示したり、キーボードからの文字入力を受け取ったりするようなものから、アプリからデータを受け取ったり、逆にアプリにデータを渡したりするようなものまで、さまざまなものが用意されている。
それぞれのアクションは、実行結果として次のアクションに対してデータを受け渡すことができる。渡されるデータの内容はアクションによって異なるが、例えば生成されたテキストや日付、検索の結果、各アプリで使用している内部データなどがある。そうしてアクションからアクションへデータを受け渡して一連の処理を順番に実施するのが、ショートカットの基本的な動きになる。
単に順番にアクションを実行するだけではなく、複数の項目に対して順番に同じ処理を実行するような、繰り返し処理を実現することもできる。同様に、指定回数だけ同じ処理を繰り返すようなアクションもある。
条件を指定して、その条件を満たすか否かで処理を分けるようなこともできるようになっている。
一つ一つのアクションはシンプルなものが多いが、うまく組み合わせることで複雑な作業をすべて自動化することも可能である。なお、操作はすべて画面上のアイコンなどを操作するだけで良いため、プログラミングなどの専門的な知識がなくても問題ない。
「今日の予定をメールで送る」の作り方
それでは、実際に自分でショートカットを作ってみよう。ここでは、カレンダーに登録されている当日の予定をまとめて指定されたメールアドレス宛に送信する「今日の予定をメールで送る」というショートカットを例に挙げて、その作り方を解説する。
ショートカットを追加する
新規でショートカットを作る場合、ショートカットアプリの任意のフォルダで、上部にある[+]アイコンをタップする。
すると、次のようにショートカットの作成画面が表示される。
最初にショートカットの名称を決めてしまおう。デフォルトでは「新規ショートカット」となっているので、その右にあるアイコンをタップして詳細設定ダイアログを開く。
ここで、ショートカットの名称を変更することができる。そのほか、共有シートやApple Watchに表示するかどうかなどの設定も行える。
1つ目のアクションを追加する
さて、準備ができたらアクションを追加してショートカットを構築していこう。アクションは右のパネルから選ぶ。今回は、まずカレンダーから今日の予定を抽出したいので、「App」のカテゴリーを開いで、アプリの中から「カレンダー」をタップする。
カレンダーで提供されているアクションが表示されるので、この中から「カレンダーイベントを検索」を選択する。
すると、次のように左のエリアにアクションが追加される。「カレンダーイベントを検索」アクションでは、カレンダーに登録されたイベントを検索するための条件などを細かく指定することができる。今回は対象の日付(開始日)を「今日である」に、並び順序を「カレンダー」順に変更し、順序として「昇順」を選択しておく。
この設定で、カレンダーから今日の予定(イベント)を時間順に取得して、リストとして次のアクションに渡すことができるはずだ。
2つ目のアクションを追加する
次のアクションでは、取得したカレンダーイベントを使ってメール本文を作成したい。取得できたカレンダーイベントはリストとして渡されるはずなので、1件ずつ加工して文面を整えることにする。リストにある項目を1件ずつ順番に処理したい場合には、「スクリプティング」カテゴリーにある「各項目を繰り返す」というアクションを使用する。
このアクションは、「各項目を繰り返す」と「繰り返しの終了」の間に挟まれたアクションを、項目の数だけ繰り返し実行するというものである。