BASICのHello World
第15回は、古くから存在する、少々懐かしいプログラミング言語である、BASICを使ってみましょう。BASICは、インタプリタのもとで動作する言語です。BASICのインタプリタにはさまざまな種類が存在しますが、本稿では、「Yabasic」で公開されている、Yabasic(Yet another Basic)を使います。
このYabasicは、BASICのプログラムを、スクリプト言語の形式で記述できるのが特徴です。Yabasic(コマンド名yabasic)が/usr/local/binにインストールされている場合、スクリプトの1行目に「#!/usr/local/bin/yabasic」と書いて、そのファイルに実行属性を付ければ、BASICのプログラムをコマンドとして実行できます。
PRINT文を使う
BASICのHello Worldは、リスト1のように、PRINT文で文字列を画面に表示すればOKです。文字列はダブルクォートで囲みます。ここでは、スクリプトとして実行できるように、1行目にyabasicコマンドのフルパスを指定しています。
Yabasicでは、BASICの行番号は必ずしも必要ありません。また、プログラムは、小文字で記述しても構いません。しかし、ここではBASICの雰囲気を出すために、行番号はすべて付けて、プログラムは大文字で記述しています。プログラムの最後のEND文は省略可能ですが、これも省略せずに記述しています。
Yabasicのスクリプトは、前述のとおりchmodコマンドで実行属性を付ければ、コマンドとして実行することができます(実行例1)。
PRINT文の改行抑制を試す
BASICのPRINT文では、文字列の直後にセミコロン(;)を付けることによって、改行しないで文字列を表示することができます。リスト2は、この動作を試すため、文字列を前半と後半の2回に分けて出力している例です。
DATA文を使う
BASICでは、DATA文を使って固定データをプログラム中に持つことができます。リスト3は、DATA文で記述した文字列を、READ文で読み込んで表示している例です。文字列型変数は、C$のように、末尾に$を付けた変数名を使います。RESTORE文は、READ文が読み込むDATA文の開始位置を行番号で指定するものです。デフォルトでは、プログラム中に最初に現れるDATA文から読み込まれるため、このプログラムではRESTORE文を省略しても構いませんが、念のため記述しています。
FOR文を使う
ここで、もう少しプログラムらしくするために、FOR文によるループを使ってみましょう。DATA文で記述する文字列を、1文字ずつの複数の文字列とし、これをFORループでループしながら、1文字ずつ表示するようにしたのがリスト4です。FORループ中のPRINT文では、改行しないようにセミコロンを付け、FORループ終了後に文字列なしのPRINT文で、改行のみを出力します。
空文字列でループを終了する
FOR文でループ回数を固定にするのではなく、DATA文の中に空文字列が現れたらループを終了するという方式にすることもできます(リスト5)。BASICは構造化言語ではなく、このようなGOTO文を使ったループは今の感覚では抵抗がありますが、ここではなるべくループ構造がわかりやすいように、ループの開始点にダミーのREM文(コメント)を置き、ループ内をインデント(字下げ)するようにしています。
CHR$()関数を使う
CHR$()という関数を使うと、10進ASCIIコードを1文字に変換できます。たとえば、CHR$(65)は、"A"に変換されます。これを利用して、DATA文として10進ASCIIコードを記述するようにしたのがリスト6です。DATA文に書いてある数値は、"Hello World"の各文字を10進ASCIIコードに変換したものです。
ASCIIコード0でループを終了
DATA文に10進ASCIIコードを記述するなら、その0の値を終了コードとして利用することができます。さらに、改行の10進ASCIIコードは10なので、この10という値を改行としてDATA文に含めてしまえば、ループ終了後の改行のみのPRINT文は不要になります(リスト7)。
PRINT文を1回で済ませる
さらに、ループ1回につき1文字ずつPRINT文を実行するのではなく、各文字を文字列型変数に蓄えておき、ループを抜けてからまとめて1回だけPRINT文を実行するようにしたのがリスト8です。