会議や講義などの録画データは知識共有に有用だが、再生時間の制約や整理の手間から活用が進まない現状がある。NotebookLMはこの課題を解決し、YouTubeにアップロードした動画の字幕情報を解析して要約や論点整理を自動生成する。今回は、NotebookLMで映像を「検索・活用可能な知識」に変換する方法を紹介しよう。
録画データ活用の意義とNotebookLMの可能性
会議、講義、プレゼンテーションといった映像記録は、知識共有の観点から価値が高い。しかし、録画データをそのまま視聴して内容を整理する作業は、時間と労力を伴う。映像は再生時間が固定されており、必要な部分を探し出すのにも手間がかかるため、記録として残しても活用しきれないことが多いのが実情だ。
NotebookLMは、この「映像を再利用しづらい」という問題を解決する有力な手段となる。現状では動画ファイルを直接取り込むことはできないが、録画データをYouTubeにアップロードし、その動画URLをNotebookLMに指定することで、動画内の字幕やテキスト情報をもとに内容を解析できる。この方法を用いれば、映像を視聴しながら手作業でノートをまとめるといった非効率な作業から解放される。
さらに、NotebookLMは単なる要約生成にとどまらず、講義や発表の構成、論点の流れといった「情報の骨格」を抽出してくれる。そのため、動画視聴者でなくとも内容を即座に把握できるドキュメントを生成することが可能であり、組織内の知識共有や振り返りの質を大きく高める効果がある。
YouTube動画を活用したノート生成の手順
録画ビデオをNotebookLMで活用するには、まず対象の映像をYouTubeにアップロードすることから始める。限定公開の設定にしておけば、外部に共有せずに解析用の素材として利用できる。アップロード後に自動生成される字幕データがNotebookLMによる解析の基礎となるため、音声が明瞭であるほど、ノート化の精度も高くなる。
NotebookLMはGoogleのサービスだ。NotebookLMを使っている時点でGoogleアカウントはすでに持っている。YouTubeへの動画ファイルのアップロードは同じアカウントでログインして作業を行えばよい。動画ファイルはサイズの大きなデータの一つであり、そのままアップロードできるサービスはそれほど多くない。動画をYouTubeにアップロードし、それを利用するというのはロジカルな方法だ。
次に、NotebookLMのノート作成画面でYouTube動画のURLを入力する。
NotebookLMは動画の字幕やテキストデータを読み込み、内容を理解・要約したうえでノートを自動生成する。
重要なトピックやセクションごとに整理されたノートが生成されるため、動画全体の流れを俯瞰できるだけでなく、必要な部分だけを素早く参照することができる。
さらに、NotebookLMは生成されたノートに基づき、追加の要約や質問応答、論点整理なども行える。例えば「この講演で重要な定義を抜き出して」「スピーカーが提案した解決策をまとめて」などの指示を与えれば、目的に応じた情報抽出が可能だ。これにより、録画データを単なる記録ではなく、価値ある知識リソースとして再活用できるようになる。
マインドマップで得られる構造化の利点
前回も取り上げたが、NotebookLMが生成するノートはマインドマップとして視覚化することが可能だ。文字情報を階層構造で整理することで、講義や発表の構成、論理展開、概念の関連性などが一目で理解できるようになる。これは、長尺の動画や複雑な内容のプレゼンテーションほど効果を発揮し、全体像と細部の関係を直感的につかめる。
また、マインドマップは、情報の整理だけでなく「どの論点から深掘りすべきか」を示す思考の道筋としても機能する。NotebookLMは自動で主要トピックとその下位項目を抽出してマップ化するが、ユーザーが注目したいキーワードや領域を指定することで、カスタマイズされたマップを作成することもできる。これにより、たとえば「戦略提案部分の構造」だけを切り出すといった柔軟な分析が可能となる。
マインドマップはチーム内共有にも有効だ。動画全編を視聴しなくても、マップを見るだけで論点の関係性や重要なポイントが理解できるため、ミーティングの準備や意思決定のスピードが向上する。NotebookLMが提供するこの機能は、動画を『読む』ものへと変換し、組織の知識活用を次の段階へと引き上げる。
実用例:プレゼンテーション映像や講義の知識資産化
NotebookLMによるYouTube動画解析は、ビジネス・教育双方の現場で大きな力を発揮する。例えば、企業では社内研修やプロジェクト発表の録画を同様に活用できる。生成されたノートは議事録や報告書の叩き台となり、マインドマップはプレゼンテーションの構造や提案の整理を助ける。さらに、これらの成果物をナレッジベースとして蓄積することで、組織全体で知識を再利用しやすい環境が整う。
また、大学の講義録画を限定公開でアップロードし、NotebookLMで解析すれば、学生は講義の要点を簡潔なノートやマインドマップとして再確認できる。繰り返し動画を視聴する必要がなく、復習や試験対策が格段に効率化される。
このように、録画ビデオをYouTubeにアップロードしてNotebookLMに解析させるというアプローチは、「映像という重い情報」を「検索・活用可能な知識」へと変換する強力な手段だ。NotebookLMの活用により、動画は単なる記録から戦略的な知の資産へと進化する。









