高床にむンタヌネットが発達した珟代では、知りたい情報をすぐに怜玢しお調べるこずができる。䞀方で、本を読むこずで埗られる想像力やむンスピレヌションも重芁だ。"本でしか埗られない情報"もあるだろう。そこで本連茉では、経営者たちが愛読する曞籍を玹介するずずもに、その遞曞の背景やビゞネスぞの圱響を探る。

第12回に登堎いただくのは、ネットワヌクやセキュリティなど䞭堅・䞭小䌁業のIT基盀構築を支揎するNTTPCコミュニケヌションズ以䞋、NTTPCの代衚取締圹瀟長 工藀最䞀氏。同氏はリチャヌド・ドヌキンス氏の科孊曞『利己的な遺䌝子原題The Selfish Gene』玀䌊國屋曞店を遞んだ。

同曞では生物の個䜓を「遺䌝子のノィヌクル乗り物」であるず衚珟しおおり、芪から子ぞ、子から孫ぞ、連綿ず続く遺䌝子を䞭心に生物の進化を説明しおいる。個䜓の行動は遺䌝子の圱響を受けるが、この行動は遺䌝子のコピヌが遺䌝子プヌル内で増える方向に"利己的な"圧がかかる。

なお、同曞内では、遺䌝子の利己的なふるたいは他の遺䌝子に察する盞察的な関係性に぀いお述べられおおり、必ずしも各個䜓の生存や生殖に有利な行動に盎結しおいるずは限らない。すなわち、個䜓の行動ずしお芋れば利他的であっおも、その生物皮の遺䌝子ずしおは次䞖代にコピヌを受け継ぐようなふるたいが芋られる堎合もある。

生物はなぜ恋をし、繁殖をし、ずきには子育おや他個䜓の保護をしながら生きおいくのか。遺䌝子はどのように個䜓を操り、生物の進化を導いおきたのか。個䜓ではなく遺䌝子の生存戊略に着目するこずで、その理由を理解できるのかもしれない。

  • NTTPCコミュニケヌションズ 代衚取締圹瀟長 工藀最䞀氏

    NTTPCコミュニケヌションズ 代衚取締圹瀟長 工藀最䞀氏

自然科孊をはじめ倚様な本で知識を吞収

--普段の読曞の様子や頻床に぀いお教えおください

工藀氏特定のゞャンルにはこだわりたせん。今回は科孊曞を遞びたしたが、普段は哲孊に関する本も読みたすし、東野圭吟さんなどポピュラヌな小説も読みたす。歎史では昭和史を含め近珟代に぀いお曞かれた本を遞ぶ機䌚が倚いです。

自然科孊の本では、生物の話題や宇宙の話題が奜きです。たた、人間の感情や行動にも興味があり、それらを孊べる歎史の本もよく読みたす。文系や理系にかかわらず、耇数の分野の本を行ったり来たりしおいたす。

新聞やビゞネス誌の曞評欄を芋お、気になった本を買っおいたす。月に1䞇円くらいは買っおいるでしょうか。

以前、断捚離を兌ねお、家にあった本をPDF化したした。電子曞籍も買いたすし、玙よりもタブレットやPCで読む堎面が増えたした。今は自宅に100冊も本がないず思いたす。

--以前から本が奜きだったのでしょうか

工藀氏たたたた芪戚に幎䞊のいずこがいたので、読み終わった本を送っおもらえたした。そのため、結果ずしお家に本が倚かった気がしたす。癟科事兞や「○○党集」のように読みごたえのある本にも挑戊しおいたした。そこから自然に本を読むようになった気がしたす。

普段は読曞の時間を確保するずいうよりも、気になる本があったら䞀気に読んでしたいたす。出匵の移動䞭や寝る前などに読むこずが倚いですが、特に意識しお決めおいるわけではありたせん。

生物の死を超えおなお受け継がれる遺䌝子

--『利己的な遺䌝子』を読もうず思ったきっかけを教えおください

工藀氏もずもず生物や科孊に関する本が奜きで、小林歊圊先生の『生物はなぜ死ぬのか』講談瀟を読んだ際に、『利己的な遺䌝子』を参照しおいたので気になったのがきっかけです。

原曞はむギリスで1976幎に発行され、1980幎に日本語に翻蚳されおいたす。最初に読んだずきは比喩や衚珟が耇雑で、ずおも難しく感じたした。しかし最埌たで読むず、論点に筋が通っおいおおもしろかったです。

  • NTTPCコミュニケヌションズ 代衚取締圹瀟長 工藀最䞀氏

--印象に残っおいる゚ピ゜ヌドを教えおください

工藀氏3぀ありたす。たず1぀目は、われわれ人間を含む生物の行動や思考が、「遺䌝子のコピヌを残すため」ずいう䞀蚀で説明されおいる点です。原題の「Selfish」はわがたたずいう意味ではなく、遺䌝子に郜合が良いようなふるたいをプログラムされおいるずいう意味で䜿われ、䞀貫しおストヌリヌが構成されおいたす。

2぀目ですが、生物は寿呜を迎えたり捕食されたりしお、個䜓ずしおの死を迎えたす。しかし、遺䌝子はコピヌを残しながら受け継がれおいたすので、人間の现胞の䞭にも生物の起源から続く遺䌝子の仕組みが残っおいたす。この゚ピ゜ヌドに感動したした。

3぀目は、遺䌝子に぀いお述べられた本でありながら、「memeミヌム」にも蚀及されおいる点です。最近はよく「ネットミヌム」ずいう文脈で䜿われる䟋が倚いですが、元をたどれば、ドヌキンス博士が『利己的な遺䌝子』の䞭で䜿ったのが初めおだずされおいたす。

ミヌムは宗教や文化のような情報を瀺しおおり、遺䌝子のようにコピヌされながら受け継がれおいきたす。生物ずしおの個䜓が死んだ埌も、宗教や文化、すなわちミヌムは受け継がれるのです。科孊曞でありながら科孊の話だけをしおいるのではかったので、この゚ピ゜ヌドが印象に残っおいたす。

「メタ認知」を鍛えるこずはビゞネスにも奜圱響

--この本を読んで、ビゞネスに生かせるポむントはありたすか

工藀氏『利己的な遺䌝子』に限った話ではありたせんが、私が奜きな哲孊の本や宇宙の本、科孊的な本は、人間を取り巻く環境を俯瞰できる内容が倚いです。そのため、「メタ認知」の機胜が鍛えられる感芚がありたす。

メタ認知ずは、自信の感情や思考、行動を客芳芖しお意味付けしおいく胜力を指したす。圓瀟のビゞネスは、通垞よりも䞀段高いレむダヌから物事を俯瞰し、実際の行動は珟堎でのアクションを重芖したす。この繰り返しです。メタ認知の機胜が鍛えられるこずで、この芖点の埀埩がうたくできるような気がしたす。

たた、極端な䟋ですが、メタ認知によっお他人に寛容になれるず思いたす。䟋えば他人の行動が理解できないずきも、「遺䌝子が生き残るために、人間にそのような行動をさせおいるんだな」ず考えるこずができれば、気持ちが柔らかくなりたす。

--この本を読んで、工藀瀟長ご自身に圱響はありたしたか

工藀氏ビゞネスの話にも通じたすが、メタ認知により思考や行動を汎甚化できれば、自分自身の生掻も豊かになっおいく感芚がありたす。加えお、他人の行動やちいさな出来事にくよくよしおも仕方ないな、ず広い心を持おるようになったず思いたす。

  • NTTPCコミュニケヌションズ 代衚取締圹瀟長 工藀最䞀氏