地球上の生物は870万種と推定され、その9割が発見されていないのだそうです。ということは、100万種くらいは発見されているということですね。それにしても、発見されていないものがなんでわかるのかとか、生物の種とか、いろいろおもしろそうですねー。ということで、そのあたりのお話でございますー。

学生のころ、友人が新種の生物を発見しました。いーなー、これで、卒業は楽勝だよなーと、こちとら論文のための測定をヒーヒーいってやりながら思ったものです。ただその友人はしかし、研究の世界に進まなかったのですけどね。あ、それはこっちも同じか。

それはさておき、新種の発見ってのはニュースなのですが、実はあんがいそうでもないのかもー。というのは、地球上の生物の9割はまだ発見されていないと考えられているからなんですな。

とはいうものの、ほぼわかっているものだってございます。たとえば、最近、絶滅しそうと話題のウナギ。結構いろいろ種があって、Wikipediaによると…えっと18種ですね。では、大型哺乳類でも絶頂の人類はというと…ウナギなみの分け方だと、チンパンジー、ボノボ、それにヒトの3種って感じになるみたいです。70億人もいるヒトが1種なんですな。チンパンジーが人類というのはなっとくいかん! という方もいらっしゃると思いますが、生物学的分類ではそうなるのでございます。

この生物学的分類ですが、DNAだの遺伝子だのが知られていない時代、18世紀!に、基礎がつくられました。作ったのはスウェーデンのカール・リンネという科学者です。アルファベットだとCarl Linnaeusでございます。スウェーデン語の発音はリニーアスみたいですが、まあ、リンネさんで通っておりますなー。

さっき書いたように、DNAだの遺伝子だのが知られていない時代だったので、リンネさんの分類は、外形の特徴によるものでございます。母乳をあげるのが哺乳類とか、植物をおしべの数で分類するとか、そんな感じですね。リンネさんが偉いのは、種は違うけど、似たものを属というグループにし、そのグループ通しが似ているものを綱にまとめ、さらに、目をその上位に集めるという、階層を生物につかったことでございます。

また、それまでは、すごーく長ったらしかった生物名を、属・種と表す「二名法」を使いはじめたことです。ヒトなら、ホモ・サピエンス。チンパンジーなら、パン・トログロダイト。ボノボは、パン・パニスカスってな具合です。ちなみに、鳥のトキは、ニッポニア・ニッポンですな。ちなみに「欧米語の漢文」であるラテン語であらわすお約束になっております。ニッポンがラテン語なの? 固有名詞なのでいいんですねー。

さて、そんな生物の種ですが、リンネさんは見た目で分類しました。顕微鏡は発明されていたので、それも利用したでしょうね。植物をおしべの数で分類しましたが、いまでは意味がない分類ってことになっています。あとWikiでは、クジラを魚類と分類していたということだそうですが…ま、ご愛嬌でございます。ともあれ、これを基礎として、分類がされてきました。

最近では、DNA、それも細胞の核じゃなくて、ミトコンドリアのそれを読み取って分類を決めたりするのだそうです。遺伝子のパターンをとって分類ってのが日常的になっております。そして、分類もどんどん複雑になり、種、属、目、綱だったリンネさんの時代に比べて、いやーーーおぼえられないーーってくらいになっています。

種、属、科、目、綱、門、界、ドメインで、さらに亜属とか亜科なんてのが入ることがございます。英語だとなかなかおもしろくて、科はファミリー、綱はクラス、門はディビジョンってのはいいとして、界はキングダム(王国)でございます。ドメインは、スーパーキングダム(超王国)とかインペリアム、エンペラー(帝国)とかが使われることもあるようです。

――ちょっと脱線です(ここ、ややこしいので、読み飛ばしてください)

ドメインになると3つです。3帝国ってわけですな。

  1. 真核生物 帝国(ドメインといいなさい)
  2. 古細菌 帝国(だからドメインだって)
  3. 真正細菌 帝国(・・もうええわ)

です。3つしかないからねー。テストにでそうですな。別の分類方法では2つにしちゃえってのがあって、真核生物とそれ以外(原核生物)または、真核生物は古細菌にいれちゃう(えーー)ってのがございます。混乱していますな。まあ3帝国が普通みたいですけど。なお、真正細菌はバクテリアなどの、細胞核をもたない生き物です。そんなんがいるんですね、いや習ったかなー…。

界は5つです。五つの王国ってことですね。真核生物を

  1. 動物 王国(界でしょ・・もういいか)
  2. 植物 王国(コケはここにはいります)
  3. 菌 王国(カビの一部やキノコなど)
  4. 原生動物 王国(アメーバやゾウリムシ、ワカメなど)
  5. 原核動物 王国(モネラということもあります。納豆菌なんがそうなんですと!)

にわけるのですな。1~4が「真核生物」帝国傘下です。ただ、これだと帝国が違うはずの「古細菌」と「真正細菌」が同じ「原核動物」王国になっちゃうので、困ったもんだ、になってしまいますな。高校の生物の教科書では界は5つにしていたと思います。学術分野では、古細菌と真正細菌は明確にわけているようです。

――脱線終了でございます

ってわけで調べれば調べるほど、生物はややこしくなってくるのですが。ともかく種というところにおとせば、いいわけでございます。

が、これも調べるとややこしいですなー。

種ですが、古い考え方だと、子孫をずっと残せれば同じ種としました。トラとライオンの子供なんてのが見世物になった時代もありましたが、その子供は生まれません。つまりトラとライオンは違う種ってことになります。ところが、植物なんかだと、子孫をのこせちゃたりするケースが多いんですよねー。これが。

まして、雄と雌がない場合なんてどうなるのよ。ってな話をはじめると、キリがなくなっていきますね。そこで、いろいろな種の分け方があるのですが…・あー、とてもまとめられない!! まあ、生物学者も悩んで悩んで種を考えているでございますな。ようやるわと思います。

そんなこんなで、現在までに100万種以上の生物の種が、発見・登録されてまいりました。これはデータベースに登録されています。で、そのうち大半は動物界に所属し、ほとんどが昆虫です。

さらに、このデータベースを解析した研究者が、発見されている種の穴の開き方のパターンに注目し、全部で870万±130万種ってなことを発表しております

まあ、そういう研究もあるということでございます。この研究が正しいと9割が未発見ということになりますなー。9割…うん、なんか自分でも新種が発見できるような気がしてきましたー(無理無理)。

5界説のイメージ(画像は編集部作成)

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。