10月8日はすげー条件のいい皆既月食がございまして、次回はそのネタでございます。ですから、今回は宇宙じゃないと思ったのですが、これは今じゃないとアカンはなし。宇宙ネタ連投でございます。はい、シロウトが惑星に名前をつけられる、チャンスが到来したのでございます。ホントだよ。参加登録が必要で、12月中が〆切。やることいろいろありますので、チェックおば!

星に名前をつける。まあ、なんてシャレているんでしょう。オーストラリアのシドニー天文台(NSW州立です)では、Name A Starプログラムなんてのがございまして、だれでも、名前を付けられます。値段は300オーストラリアドルです。3万円弱ですな。全額、歴史建造物の保全のための寄付扱いになります。なかなか良心的。税金(10%)はとられません。ただし、それはシドニー天文台のローカルネーム。よそでは通用いたしません。ま、会員カードを作るようなものでございますね。そういえば、どこぞで、カワイイ区の区民登録なんてのがありました。あれと同じでございます。

だが、しかーし、本当に国際的に認められる名前を星につけたーい。という方もいらっしゃるでしょう。そのためには2つばかり方法があります。

1つは、彗星を発見すること。発見順に3人または3組織まで名前がつきます。たとえば、「へール・ボップ彗星」、「菅野・三枝・藤川彗星」ってな具合です。最近は「レモン山彗星」とか、「パンスターズ彗星」とか天文台名の彗星が多くなりました。これは、ロボット観測で自動的に彗星を発見しているからでございます。ロボット?? そうロボット。彗星を自動的に見つけるロボットに勝たないといけません。かなーりハードルが高そうなのがわかりますねー。

では、もう1つは、小惑星を発見し、追跡し、将来位置の予測ができるようにすることです。それに貢献した人には、名称の提案権が与えられます。たとえば、はやぶさ探査機が訪問した、小惑星イトカワは、アメリカのリンカーングループが発見、追跡した小惑星なんですが、日本の探査機が行くということで、日本人のロケット工学者、糸川英夫博士の名前を提案してくれたんですねー。となると、小惑星の発見者にお友達がいればいい。ってなことになりますな。といっても、いきなり思い立ってというわけにはいきませんねー。それに相応の命名理由が国際的に認められなければなりません。まあ、そのスキをついて「アスキー」とか「仮面ライダー」「たこ焼き」なんて小惑星があるんですが、もう無理でしょうねー。

他はないのー? というと、さらにハードルがあがります。恒星に関しては、もう天文学者じゃないと無理ですし、思いのままに名前をつけたりできません。銀河も同様です。惑星? 小惑星より発見困難ですよ。

ということで、普通は「できない」というのが答えなのです。天体の名前を登録する、唯一の組織、国際天文学連合(IAU)-加入資格は天文学を研究する博士以上-は、「星はだれのモノでもないのだから、自分が望むような名前をつけるのは違うよねー、まして名前を売り買いするなんてありえないっつーの」ってなことを言っております。

ところが、そのIAUがご乱心!? なんと現在までに発見された太陽系の外の惑星の名前を、募集しはじめたのです。これは、シロウトにも応募資格がございます。そしてそして、これ、重要なんですが応募には登録が必要なのですが、それは「2014年12月」までの間にやらねばならないのでございます!

では、惑星に名前をつけるプロセスについてご紹介いたしましょう。ちなみに登録から確定まで、1年間かかりますので、そこは気長に。再来月の恋人の誕生日…には間に合いませんのでそこんとこよろしく。来年ならいいですけれどー。

1:IAUのキャンペーンサイトをチェック!

IAUのキャンペーンサイト

英語かい・・という方は、日本語の支援サイトがございます。これを参考にしてください。

2:まずは登録してください(12月中!)

キャンペーンに登録できるのは、「天文クラブ」「非営利団体」に限られます。あ、あきらめないで「いまつくってもよい」のです。2人以上いればクラブにはなれます。適当な人と一緒に、クラブをはじめましょー。マイナビ星クラブとかでもいいでよ。ただし「非営利である」ことです。会社としての登録はダメでございます。

3:カタログにある305の星から、名前をつけたい星を選ぶ(登録終了後)

これはいずれも、ほぼ発見されたということが確定したものです。じっくりみて、こりゃええってのを選んでください。たとえば、太陽系に近いやつがいいとか、地球に似ているのがいいとか、はたまた発見が最初のがいいとか、クラブの設立記念日と同じなのがいいとか、まあ、いろいろ判断基準はございますよねー。ちなみに複数の星を選べるのですが、登録クラブが非常に多いと選べる数が減るらしいです。

4:名前を考える(上の星の選定後)

このとき重要なのが、命名基準でございます。今回は次の様になっております。

  1. アルファベット16文字以内であること
  2. 単独の言葉であること。たとえば新しいマイナビの星とかはダメです。
  3. バカ、アホ、クソみたいな侮蔑的な言葉はNG。国際的なので日本では問題なくても、海外でダメならダメでございますー。これ、ちょっと難しいかもですな。英語くらいはよくてもね。
  4. 他の天体名と違うこと、また紛らわしくないこと。他の太陽系の惑星に「地球」「土星」とかつけてはアカンということですね。ただ、いままでにものすごく沢山の天体に名前がつけられているので、データベースでチェックでございますなー。http://simbad.u-strasbg.fr/simbad/sim-fbasichttp://www.minorplanetcenter.net/db_searchが紹介されております。これ、適当な名前で検索すると、それだけでもおもしろいですよ。ちなみに軽井沢はよくて、屋久島や京都はすでに小惑星名なのでダメです。古い名前ってのも手かもですな。
  5. 現在生きている人はダメ。はい、恋人の名前却下。
  6. ペットの名前はダメ。ポチ、タマなどことごとく却下。
  7. 商標・商品名・会社名など宣伝を目的とする名前はダメ。マイナビも、マイナビニュースも不可。
  8. 政治的・軍事的・領土的な問題と関係する名前はダメ。軽井沢はいいんですよ。でも、尖閣とか択捉島とかだと、ダメってなりそうですな。安倍とかオバマなどいま生きている人はもとより、ヒトラーとかナポレオンとか吉田茂とかもダメですな。

5:応募された名前は、投票にかけられます。

これは世界中の人が応募理由などを見て、人気投票になりますな。名前がでそろった後になりますねー。投票は個人でも行えます。

6:そして7月に集計し、8月に結果発表でございます。

こんなチャンスは…まあ、惑星が追加発見されていますから、またあるかもしれませんが…いや、IAUがこんな気まぐれを起こすことなんてめったにございません。

さあ、すぐにクラブで登録だー!

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。