天文学は予想の科学からスタートしました。先日の木星と土星の接近予想なんかは、権力者の権威に関わるので必死に予想されたのですな。一方で「彗星のように現れる」突発事項も天文・宇宙の世界です。さらに人類は人工衛星や探査機など人工の星も作り、太陽系内とはいえ天体に直接行くようにもなっています。

ということで、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。2021年1~2月の分をば。

なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。ネットやアプリでもありますが、紙の本は一覧性と情報量が圧倒的で、ここでは書き切れない内容がいっぱい。手帳タイプの1000円くらいから月替わりのカレンダータイプ、そしてDVD・ソフトつきムックで3000円くらいまでですね。それぞれの特徴は、この記事の最後にまとめておきましたので、参考にしてくださいませー。

1−2月:冬の空は明るい星が多く、すごく見ごたえします。火星が加わっている様子は結構レア

冬の星については、前に書いたものがずっと通用します。オリオン座を中心に1等星が集中しているんですな。これは毎年同じなのです。冬は星がきれい。テッパンでございますなー。

さらに2021年は、以下の図のように、火星が加わります。10月の接近の時にくらべると明るさはやや穏やかですが、それでも冬の明るい星たちにヒケをとりません。

特にベテルギウス、アルデバラン、火星と3つも赤い星がならぶのはとても珍しい光景です。

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赤い星で明るいのは太陽の光を赤い大地が反射している火星を除いては、赤色巨星状態で、これは最晩年の星だけなんです。星の寿命は100万年から何兆年までさまざまですが、仮に100歳まで生きると99-100歳の1年間だけみたいなところです。激レアなのですな。ただ、この最後の時期は非常に明るくなるので目立ちやすいという特徴はありますが、それでも赤くて明るい星は珍しい。それに火星が加わっている光景は2年2か月に1度、へたすりゃ10年くらい間があいてしかみられない様子でございます。2年後の2023年、4年後の2025年は見られますが、その次はまあ2036年でございます。

木星と土星はどうした? さらに水星も加わるも観察はかなり難しい

12月の接近で楽しませてくれた木星と土星でございますが、1月には夕方の空の高度をさげ、1月下旬から2月中旬は太陽と重なり、2月下旬に夜明け前の空に姿を表します。

通常は「見頃じゃない」でおしまいなのですが、根性で超低空の1月は14日に夕方の南西の超低空、2月28日は明け方の南東の超低空で、水星と接近し、木星、土星、水星の3連星が接近というこれまたレアな様子が見えます…たぶん、観察できないでしょうけど、低すぎ、および周囲が明るすぎて。双眼鏡などでねらうともしかして。以下に図を示しますね。

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    1月14日の水星、木星、土星の接近。そばにほそーい月もならぶ(図では丸で示した)

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    2月28日明け方の空。木星、土星の間に水星がはさまるレアな光景

1月4日は、しぶんぎ座流星群だが月が邪魔で見えにくい

流れ星が集中して見られる流星群。その中で見応えがある「三大流星群」の1つがこの、「しぶんぎ座流星群」です。ただ、この流星群は、見頃が真夜中すぎから早朝なんでございます。さらに、ちょっと月がじゃまで見えにくい。早起きしたらちょっと気にするくらいでしょうか。

2月に火星探査機が相次いで火星に到着

2020年夏は火星探査機の打ち上げが3つありました。アメリカ、中国、アラブ首長国連邦ですな。これは火星の接近(10月でした)のちょい前をねらって打ち上げるのですが、到着は接近後になります。

まず、中国の探査機の天問1号が、2月10日ごろに到着します。中国初の火星ミッションですが、周回機と着陸ローバーを送り込むという意欲的な内容です。中国は先日、月のサンプルを地球に持ち帰るミッションに成功したばかりです。宇宙探査での存在感がますます大きくなっていますなー。

次に、アメリカのマーズ2020の着陸機、パーサヴィアランスが2月18日ごろに着陸します。大型の自動車型ロボットで、火星ヘリコプターも搭載しています。楽しみですなー。探査機の現在の飛行状態を示すサイトをNASAが提供していて、楽しめます。続報がでたらお知らせしますねー。

そして、アラブ首長国連邦のHOPE探査機です。公式では2021年に到着予定とだけですが、まあ2月に到着です。火星周回機が火星低層の大気を観測します。

火星は現在、地上にアメリカのキュリオシティ、上空にはアメリカ、ヨーロッパ、インドの5機の探査機が周回しており、日々火星のデータが増えているところです。

それにしても火星生命発見のレポートはまだかいなー。

ロケット&宇宙機関係

一方、宇宙開発関係はどんなもんでしょうか。ここでは宇宙や地球の研究に関係しそうなものを「SPACE FLIGHT NOW」からひろってみます。

あー、スペースX社のファルコンロケットが、スターリンク衛星ほか打ち上げまくりですな。もうニュース性がなくなるほど、宇宙が身近になっておりますね。有人のクルードラゴンも成功させたし、いよいよ元ZOZO社長の月一周旅行とか、マジに火星有人旅行とかに突っ走っています。世界トップクラスの金持ちになったスペースXのリーダーで、テスラ・モーターズのリーダーのイーロン・マスク。すげえ。でも、いまアメリカでも世界でも、資産家は宇宙投資を加速しているようでございます。

あ、1月には英・米のヴァージンオービットのランチャーワンも打ち上げですな。ジャンボジェットにのせてロケットを上空にもっていって、空中からロケット発射。これまた機動的に小型衛星を打ち上げます。またエレクトロンも予定しています。ものすごい勢いやわ。

えー、そのへんはマイナビニュースでもチョイチョイ記事が出ているので、たのしんでくださいませ。

1-3月のどこか、インドが新型のSSLVロケットをテスト

だそうです。これは小型の3段式ロケットです。小型ロケットで機動的に安く小型の衛星をあげるというのがますますトレンドですな。

ということで、来年も宇宙を楽しんでいきましょー。

以下は天文情報に特化した、年鑑類でございます。

書名 特徴 価格
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天体観測手帳 基本は手帳で、それに天体観測のためのデータとガイドが載っている。カラー図をたくさんという体裁。小型望遠鏡までで見やすい現象、トピックが紹介されている 1280円+税
太陽・月・星のこよみ 大判の月めくりのカレンダー。毎日の月の形や、天体現象などが記載。大手書店のカレンダーコーナーや科学博物館のショップなどにもあることあり 1500円+税