信頼性が低下していた従来システム

前回は架空の企業「マイナビ事務機」を例に、「Google Maps Coordinate」の活用方法を紹介した。前回は社内で業務管理を行うコーディネーター目線の活用がメインだったが、今回は実際に現場で活動する営業・保守業務担当者の使い勝手などを中心に見ていこう。

営業・保守業務担当者が業務報告を行う場合、従来のシステムではまず社内ポータルにアクセスし、営業・保守業務担当者用の進捗報告表に手入力で記載していた。しかし、時間を追うごとに予定や業務報告の入力忘れが発生。顧客との話が予想以上に長引いて、急いで次の訪問先へ向かわなければいけない時などは、特にこうした事態が多くなっていた。スケジュールが過密になるほど、より正確かつスピーディーな業務管理が求められるが、これではまったく意味がなくなってしまう。

また、こうしたことが重なると、進捗報告表自体の信頼性が低くなるのも問題だ。報告忘れではなく、たまたま顧客との話が盛り上がり長引いていたとしても、社内からはどちらか判断ができない。営業担当者が「次の予定まではまだ時間があるし、ここはもう少しプッシュして契約に結び付けよう」と奮闘しているのに、何度も社内から呼び出しの連絡がかかってくるのでは厄介だ。営業活動に集中できないばかりか、顧客に与える印象も気になるだろう。「営業が忙しいのは良いことですよ」とフォローしてくれる相手ならば良いが、機嫌を損ねて「お忙しそうだからまた次回で」となってしまっては目も当てられない。

アプリからワンタップでステータス変更

このように従来システムは、営業・保守業務の担当者にとっても決して使い勝手の良いものではなかったが、Google Maps Coordinateを導入してからは状況が一転した。

まず業務報告に関しては、従来のように文字入力で報告連絡を行うのではなく、アプリを起動後にボタンをタップするだけでステータス変更が行えるため、実に手早く報告できるのだ。

業務を確認したら「承認」、顧客を訪問する直前に「チェックイン」、業務完了後に「完了」と、それぞれワンタップするだけで済む。これは、限られた時間の中で業務をこなしている営業・保守業務の担当者としては嬉しい限りだろう。従来は、「次の予定まで時間がない → 文字入力が面倒だから後回し → そのまま忘れて次の顧客を訪問……」といったケースもあったが、Google Maps Coordinateは操作自体が簡単なので、習慣化してしまえばこのような報告忘れも抑制できる。

業務ステータスの変更もアプリで簡単に行える

仮に報告を忘れた場合でも、GPS機能で位置情報が取得できるので、コーディネーター側でフォローが可能だ。担当者のアイコンが地図上で顧客のところに表示されていれば話が長引いている、移動中なら報告忘れと判断して、必要に応じて連絡が取れるわけだ。連絡手段についても電話やメールに加えて、「Google+」の「ハングアウト」機能を使ったチャットやテレビ会議などが利用できる。

電話連絡やルート案内もスピーディーに

Google Maps Coordinateのアプリでは、業務内容に加えて、先方の連絡先などをまとめてチェックすることが可能だ。電話番号が入力されていれば「発信」をタップするだけで簡単に電話がかけられる。さらに、住所の横に表示された「ルート」をタップすると、現在いる場所からのルート案内をしてくれるのが大変便利だ。

新規訪問先の場合でも、アプリから簡単にルート検索が行える

営業・保守業務担当者はさまざまな顧客を訪問するが、中には分かりづらい場所に立地しているケースも少なくない。従来であれば、その度に進捗報告表から住所をコピーし、Googleマップやナビアプリで検索する必要があった。しかしGoogle Maps Coordinateなら、アプリからダイレクトにGoogleマップのルート案内機能を呼び出して、余計な手間をかけずに訪問先まで辿り着けるわけだ。

BYOD環境でも安心して使える就業時間設定

マイナビ事務機では、保守業務に関して試験的にBYODを採用しているが、Google Maps Coordinateで位置情報を取得するにあたり一部の担当者から不満の声が上がった。それも当然で、常に個人所有端末の位置情報を把握されていたらプライバシーの欠片もなくなってしまう。

しかしGoogle Maps Coordinateの場合、事前に就業時間を設定しておけば、それ以外の時間帯については位置情報の取得を行わないようにすることができる。BYOD(Bring Your Own Device)を採用している企業では、どうしても仕事とプライベートの切り分けが難しくなってくるが、このように社員の同意が得られ、安心して使える機能を備えているのも重要なポイントといえるだろう。

今回紹介したように、Google Maps Coordinateは業務を管理するコーディネーター側だけでなく、現場で動き回る担当者側にも大きなメリットをもたらしてくれる。営業・保守業務はもちろんのこと、さまざまな業界・業種での活用が可能だ。