本連載は英検1級&TOEIC 900を、仕事上とくに必要もないのに取得してしまった英語オタクの筆者が、ビジネスパーソンに向けてオンライン&フリーの教材や、それらを使った学習法を紹介する連載です。英会話学校に行くお金はないけど、将来に向けたスキルアップのため、なんとか使える英語を身につけたいというそこのアナタ、この連載が必見とは言わないけれど、上達のヒントを見つけられる可能性は大!…かもしれません。

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先日、「smart.fm」という英語学習サイトからニュースレターが届いた。内容は"TED Talks"が新たに教材として加わった、というもの。「マジ!?」と思い、さっそくsmart.fmにアクセス。TED Talks、おもしろすぎ。これを機にsmart.fmを使い始めてみたところ、これは英語学習に使える!と実感、というわけで記念すべき連載第1回ではsmart.fmを紹介しよう。

といっても、smart.fmもTED Talksも知らない人には何のことやら…???であろうから、これらの説明からはじめる。

smart.fm(スマート・エフエム)とは、セレゴ・ジャパンが運営する無料英語学習サイトだ(英語に限らず暗記モノなら何でもOK)。もともと「iKnow!(アイノウ)」と呼ばれていたが最近、改名したらしい。このサイトは主に、英単語の暗記をサポートしてくれる。アプリケーションが3つあり、単語の暗記をサポートする「iKnow!アプリケーション」、例文をディクテーションをサポートする「Dictation」、フラッシュカード的な単語クイズである「Brain Speed」である。このなかではiKnow!アプリケーションをメインに使っていくことになるだろう。

iKnow!での学習画面。脊髄反射でぱっぱっと答えていくと脳への定着率が高いです(たぶん)

旧名のiKnow!ができたときから私はメンバーになっていたが、最初、このサイトは英語初心者向けの教材しかないような印象を受け、そのままほったらかしていた。その後、iKnow!の機能拡張などが頻繁にニュースリリースされるのを見て、PR活動に熱心な企業だなーくらいの冷ややかな見方をしていたのが本当のところだ。

しかし、このたびTED Talksが教材として加わったというニュースは驚きだった。なぜならTED Talksとは、世界の一流の人々による質の高い講演だからだ。

TEDとはTechnology, Entertainment, Designを意味しており、1984年から会議を開催してきた。その会議では世界中から技術、エンターテインメント、デザインの分野の一流の人たちがスピーチを行う。そのビデオは一部が無料公開されており。TEDのサイトや、Podcast、YouTubeでも見ることができる。この無料動画配信プロジェクトをTED Talksというらしい。

どんな講演があるかのかと、テクノロジー系で探してみると以下のようなラインナップが。

  • Tim Berners-Lee on the next Web
  • Nicholas Negroponte on One Laptop per Child
  • Evan Williams on listening to Twitter users
  • Brian Cox on CERN's supercollider(映画「天使と悪魔」にも登場)
  • Chris Anderson of WIRED on tech's Long Tail

これらには完全なインタラクティブなスクリプトがついていて、とても使いやすい。たとえばTim Berners-Leeの講演でいうと、TEDのページの右にInteractive Transcriptというのがあり、ここにスクリプトがあるのだが、特定の文章をクリックすると、その部分の動画が再生されるという仕組みになっている。

TED Talksには超一流スピーカーによるコンテンツがずらり。かなり勉強になります!

英語を勉強するに際に、いわゆる作られた英語教材では飽き足らなくなった人は、ネイティブの講演や映画、テレビシリーズなどを教材とするのがよいといわれるが、TEDはその分野に興味のある人には最高の教材となる。ただ、生の講演では難しすぎて、なかなか手を出しにくいの実情だ。その点TEDでは上で書いたようなスクリプトがあるし、動画をiTunesにダウンロードもできるので、英語学習の観点からみても優れた教材といえる。

だから、英語中級者を自認する人はぜひTEDのサイトをのぞいてみて、興味あるスピーチで、英語のみならず、その講演内容からも何かを学んでほしい。

TEDに熱くなってしまったが、誌面に限りがあるのでsmart.fmの話に戻ろう。このたびsmart.fmがTEDを教材としてサポートするというニュースは、まさか!あのTEDをsmart.fmで学べるのか!という驚きをもって私に迎えられた。

今回はSir Ken Robinsonの「学校教育と創造性」というスピーチがsmart.fmで教材となっている。え? IT系じゃなくて教育?という声が聞こえてきそうだが、まあわがままは言わずに、こちらのサイトからアクセスし、smart.fmに入会してから、1週間、毎日学習してみてほしい。続きは次回ということで。

smart.fmでもTEDの教材が視聴できます。今回(次回)の教材はSir Ken Robinsonの「学校教育と創造性」

著者紹介

本多義則 (Yoshinori Honda)

日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる