完成した型を使用して、フィギュアのパーツを複製していきます。型の完成からキャストを流し込むまで、余裕があれば30分から1時間は、原形が接触していた部分を放置しておくと良いです。

しばらく放置してから、複製作業を開始します。最初に手首のパーツを複製したのですが、キャストが指先に回っていませんでした。

キャストがしっかりと流れずに、失敗

このようになってしまった場合は、型の♀型をやや強引に変形させて、指先のスペースをを広げます。そのスペースに少量キャストを流し込みます。

型は柔軟性があるので、このように変形させてキャストが流れ込みやすいようにする

さらに、♀型に色々な角度から力を加えて、先端までキャストを行き渡らせます。♀型の奥の方から気泡が出てきたら、それがキャストが先端まで充分に流れ込んだというサインです。

左が失敗した複製パーツ。右が♀型を変形させてキャストを流し込み複製したパーツ

このような作業を繰り返し複製パーツが完成

この複製方法には注意点があります。手軽に出来て楽な部分もあるのですが、今回の画像でお見せしたように、♀型に無理なストレスをかけるので、多くの複製品を作ることは出来ません。あくまでも量産向けの手法ではありません。

次回、この型を活用して、地肌部分のパーツを作っていきます。

安藤賢司
バンダイ『S.I.C』シリーズなど、多数のハイエンドな玩具の原型を担当。「原型師がマスプロダクツ製品のパッケージに名前を刻まれる」という偉業を成し遂げ、「玩具原型」の認識を「作品」のレベルまで高めた。『S.I.C』シリーズ最新作の原型を常に製作中。アニメ『TIGER & BUNNY』のデザインにも参加