生成AIの進化が止まりません。筆者自身も連日数時間以上活用しており、業務において不可欠な存在となっています。→過去の「柳谷智宣のAIトレンドインサイト」の回はこちらを参照。
一方、最近のガートナーのハイプサイクルでは生成AIが「幻滅期」に分類され、メディアでもそのネガティブな側面が注目を浴びるようになっています。私は生成AI推進派で、日本企業が積極的に活用すべきだというスタンスは変わりません。
しかし、生成AIが及ぼす負の影響を無視するのはフェアではないため、定期的にネガティブな側面を調査した論文にも目を通しています。そこで、今回は生成AIのダークサイドに着目した最新の研究を紹介します。
生成AIの社会浸透は止まらないし、止めるべきではありません。ただ、その負の影響を知り、正しく対処するための体制を整えておくことが重要です。原稿の最後に、この課題に対処する方法もまとめて紹介しているのでチェックしてください。
生成AIは思考を鈍らせるのか?
2025年4月に発表された論文「The Impact of Generative AI on Critical Thinking: Self-Reported Reductions in Cognitive Effort and Confidence Effects From a Survey of Knowledge Workers(生成AIが批判的思考に与える影響:知識労働者の調査から見る認知的努力の自己報告的減少と自信への影響)」では、生成AIが知識労働者の批判的思考に与える影響を調査しました。
マイクロソフトとカーネギーメロン大学の共同研究チームが、週1回以上生成AIを業務利用する知識労働者319人にアンケートを実施したのです。