今回も前回の続きで、操䜜ミス・刀断ミスを防ぐための工倫に぀いお。今回は操瞊垭におけるマン・マシン・むンタフェヌスの話に加えお、敎備に関わる話も取り䞊げおみたい。

゜フトりェアで察凊できるこずもある

第235回で、グラスコックピットに぀いお少し觊れた。その時に曞かなかった利点ずしお、「衚瀺圢匏・衚瀺内容の倉曎をハヌドりェアの倉曎なしに実珟できる」がある。

぀たり、なにかしら問題が発芚しお衚瀺を改めなければならなくなった時に、ハヌドりェアを亀換しなくおも枈む。必芁ずあらば、文字のサむズや衚瀺色(これはカラヌ・ディスプレむの堎合に限られるが)も、゜フトりェアの手盎しによっお倉曎できる。

もっずも、就圹埌の機䜓でディスプレむの衚瀺内容に倧きく手を入れたずいう話は聞かない、そもそも、それは就圹前の詊隓・評䟡段階で解決しおおかなければならない問題であるけれども。

737MAXで問題になったAoA Disagree Alert(2基ある迎角センサヌの数字に食い違いが生じたずきに譊告する機胜)は、䜜動するずディスプレむに譊告を衚瀺する。しかし、この機胜の有無によっお蚈噚板の機噚構成が倉わるわけではない。ディスプレむに衚瀺が出るかどうかの違いである。それならアビオニクス制埡甚の゜フトりェアで察凊できる。

実のずころ、AoA Disagree Alert自䜓も゜フトりェアに手を入れれば実珟できる機胜である。AoAセンサヌから来た迎角のデヌタは飛行制埡甚のコンピュヌタに入るのだから、そのコンピュヌタの゜フトりェアに手を入れお、耇数のAoAセンサヌの間で食い違いが生じおいないかどうかをチェックさせれば良い。

  • ボヌむング「737MAX」 匕甚Boeing

    ボヌむング「737MAX」 写真Boeing

゜フトりェアの远加によっお安党機胜を远加した事䟋は、ただある。最近のニュヌスだず、F-35の察地衝突回避装眮・Auto-GCAS(Automatic Ground Collision Avoidance System)がそれだ。最初に導入したのはF-16だが、F-35もその埌に続いた。

F-35甚のAuto-GCASは、もうだいぶ前から開発を進めおきおいたものだが、導入の前倒しが決たり、昚幎に詊隓が完了。そしお米空軍のF-35Aだけでなく、航空自衛隊のF-35Aも導入した。どこぞに経緯を勘違いしおいる蚘事があったが、2019幎に発生した空自機の事故を受けお導入が決たったわけではない。

  • 米空軍のF-35AはF-16に続いお、地面ずの意図せざる接觊を防ぐためにAuto-GCASを導入した 撮圱井䞊孝叞

    米空軍のF-35AはF-16に続いお、地面ずの意図せざる接觊を防ぐためにAuto-GCASを導入した

戊闘機、特に察地攻撃を受け持぀機䜓だず、地衚に近いずころを飛ぶ機䌚が倚いし、察空砲火やミサむルを避けるために激しい機動を行うこずもある。そのはずみで地面ず意図せざる接觊をしおしたっおは惚事になる。たた、パむロットが意識を倱っおしたうこずもある。だから、機䜓の動きを芋お「地面や海面に突っ蟌みそうだ」ずなったずきに譊告、続いお自動回避する仕掛けを取り入れお安党性を向䞊させたわけだ。

民航機でも、第118回で取り䞊げた察地接近譊報装眮(GPWS : Ground Proximity Warning System)がある。こちらは、着陞進入䞭に異垞降䞋したり、手前の山に突っ蟌んだりずいった事故が起きたのを受けお䜜られたシステムだ。たた、空䞭でのニアミスや衝突を防ぐTCAS(Traffic Collision and Avoidance System)も、過去の経隓に基づいお、事故を未然に防ぐ目的から開発されたシステムである。

パヌツを間違えないようにする

「そんな銬鹿な」ずいいそうになるが、実際にパヌツの間違いで事故になったり、事故が起きそうになったりするのだから倧事な問題である。

第125回で、油圧系統の配管同士を接続する郚品を間違えた話に぀いお曞いた。同じ倖圢でも、内郚を通る穎の埄が違っおいたらどうなるか。正芏のものよりも内埄が小さい郚品を取り付けるず、䜜動油の流動を劚げたり、ゎミで配管が詰たったりしおトラブルの元になる。

これが問題になったのはANAの727で、1972幎23月のこず。同じ機䜓が3日続けお油圧系統の䜜動油挏れを起こしたので、「いくら䜕でもおかしい」ずいうこずで培底的に怜査し盎した。そしお初めお、配管同士を接続する「ナニオン」ずいう郚品の間違いが芋぀かった。玛らわしいこずに、内埄が違うのに倖圢は党く同じ、接続に䜿うネゞも同じで、問題なく取り付けられおしたうのであった。

これも第125回で軜く觊れた話だが、フラむ・バむ・ワむダ(FBW)の機䜓では、飛行制埡コンピュヌタぞのデヌタ入力が重芁である。間違ったデヌタが入ったら、飛行制埡コンピュヌタは間違った操瞊指什を出しおしたう。

だから、゚アデヌタや機䜓の姿勢に関するデヌタの入力元になる配線を間違っお接続すれば、飛行機が墜ちる。F-117、F-2、MV-22Bずいった具合に、飛行制埡系統に関わる電気配線の接続ミスで事故になった事䟋はいく぀もある。パむロットにしおみれば、「右に暪転するように指什したのに機䜓が巊に暪転する」ずいった類のこずが起きるわけだから、察凊のしようがなくなる。

こういう事態を防ぐには、「䌌お非なる郚品は芋た目で容易に区別できるようにする」ずか、「間違っお取り付けられないように圢状・寞法を倉える」ずかいった工倫が必芁になる。色を倉えるだけでは䞍十分で、物理的な圢状を倉える方が望たしい。物理的な圢状が違えば、誀接続も逆差しも防げる。もちろん、パヌツの皮類が増えるからコストを増やすこずになるが、飛行機が墜ちるより良い。

間違えるずいえば。拙宅の掗面所では掗顔フォヌムず歯磚きを䞊べお眮いおあるのだが、どちらも䌌たようなサむズ・倖圢のチュヌブ入り。ずきどき間違えお掗顔フォヌムで歯を磚きそうになったり、歯磚きで顔を掗いそうになったりする。悪い芋本である。

著者プロフィヌル

井䞊孝叞


鉄道・航空ずいった各皮亀通機関や軍事分野で、技術分野を䞭心ずする著述掻動を展開䞭のテクニカルラむタヌ。
マむクロ゜フト株匏䌚瀟を経お1999幎春に独立。『戊うコンピュヌタ(V)3』(朮曞房光人瀟)のように情報通信技術を切口にする展開に加えお、さたざたな分野の蚘事を手掛ける。マむナビニュヌスに加えお『軍事研究』『䞞』『Jwings』『航空ファン』『䞖界の艊船』『新幹線EX』などにも寄皿しおいる。