「Vtuber」という存在を知っているだろうか。Vtuberとは、「Virtual Youtuber(バーチャル ユーチューバー)」の略で、仮想のキャラクターを利用して、人間の動きをモーションキャプチャで反映させた動画や配信映像をYouTubeに投稿している人のことを指す。

近年、盛り上がりを見せるVtuber業界だが、そこに企業の名前を背負い参入する「企業公式Vtuber」が登場している。

本連載では、会社の顔としてVtuberを導入している企業の担当者に話を伺い、その誕生秘話や担当者の想いに迫る。

第10回となる今回取り上げるのは、NTTデータ バリュー・エンジニアの公式Vtuber「七夜聖りあら」。担当者に話を聞いた。

  • ,七夜聖りあら

    七夜聖りあら

「七夜聖りあら」はどんなVtuber?

七夜聖りあらは、「データ活用の楽しさを広く知ってもらうこと」を目的として、2023年8月26日にデビューした新人データアナリストVtuberだ。

活用されないまま放棄されたデータの沼地である「データスワンプ」から誕生したVtuberで、自身と同じ境遇にあったデータを救うため、データマネジメントやデータ分析を学び、データを活用することの楽しさを世界に発信している。

「YouTubeでは、七夜聖りあらがデータマネジメントやデータ分析を学び、成長していく様子を発信しています。『データアナリストVtuberと言えば七夜聖りあら』と言われるくらい多くの方に知ってもらえるように、日々活動しています」

一人前のデータアナリストになることを目指して活動している七夜聖りあらだが、そのコンテンツも通常のVtuberと比べて一風変わったものとなっている。現在は「ITパスポートの取得」にフォーカスして、視聴者と一緒に学習する動画投稿を行っているのだ。

「【ITパスポート】2023年度版 試験概要/IT初心者におすすめの国家資格 合格率はどれくらい?」というタイトルで投稿された動画では、七夜聖りあらがITパスポートの試験概要や出題範囲について解説している。

【ITパスポート】2023年度版 試験概要/IT初心者におすすめの国家資格 合格率はどれくらい?

この動画の他にも、ITパスポート取得に向けた試験対策コンテンツを隔週で配信している。

七夜聖りあらが特徴的なのは、紹介しているだけでなく、本人もITパスポートの取得に向けて一緒に勉強しているという点だ。ITパスポートの資格取得に向けて、視聴者とオンライン上で一緒に勉強するという生配信も定期的に行っており、「一緒に勉強している感覚を味わえた」「頑張っている様子が見えて私も勉強が捗りました!」といったファンからの声も多く寄せられている。

【#勉強配信 】みんなで集中!作業・勉強配信(BGMあり)【#新人Vtuber/七夜聖りあら】

初学者としてユーザーと共に成長するVtuberへ

ここまで七夜聖りあらの情報を紹介してきたが、そもそもなぜ、NTTデータ バリュー・エンジニアはVtuberを活用したコンテンツの配信に乗り出したのだろうか。

「元々はお客さまのデータ活用を支援する部署で、社内のスキルアップを目的とした教育コンテンツを作っていました。それを社内だけでなく、社外の人にも公開することで、データを活用する楽しさを多くの人に伝えたいという想いから、YouTubeで配信することを考えはじめました」

その中で、視聴者に楽しんでもらうためには「親しみやすいキャラクター」が必要であるという考えからVtuberという案があがってきたという。

「しかしVtuberのマーケットを見てみると、すでに多くのVtuberが活躍しており、なかなか後発で参入するには難しいという現実がありました。そこで、専門分野に絞った専門系Vtuberというスタイルを取ることで、既存のマーケットに埋もれず唯一無二の存在になれるのではないか、と考えました」

そのような想いから専門色の強いVtuberの構想を練り始め、データ領域でNTTデータ バリュー・エンジニアの強みが活きるワードは何かということに検討した結果、データアナリストVtuberという存在が誕生したのだという。また、ターゲットをIT初学者や大学生といった狭い範囲に設定することで、初学者としてユーザーとともに成長するVtuberとしてのポジションも確立してきたそうだ。

このようなマーケティング戦略も上手く作用し、デビューから約3カ月で2,500人のYouTubeチャンネル登録者を獲得するに至ったという。またX(旧:Twitter)のフォロワーも日々増えてきているそうだ。

視聴者の皆さんには、コンテンツを通して七夜聖りあらと一緒にデータ活用の魅力を感じていただきたい、と担当者は語る。

「七夜聖りあらは、データ活用の魅力を1人でも多くの人に分かりやすく、楽しく伝える存在になることを目指しています。今後もデータ利活用に関する知識を習得し、コンテンツとして楽しく発信していく予定なので、彼女が成長する過程を見守っていただければ幸いです」