文字数の異なる単語を並べるときに、それぞれの幅を揃えて配置したい場合もあるだろう。このような場合は「文字の均等割り付け」を活用するとよい。この機能を使うと、4文字の単語を5文字分の幅で配置するなどの調整を行えるようになる。今回は「均等割り付け」の基本的な使い方と応用例について紹介していう。

  • 均等割り付けの応用

    均等割り付けの応用

段落の均等割り付け

「ホーム」タブには、段落の配置を指定する書式として「左揃え/中央揃え/右揃え/両端揃え/均等割り付け」といった5つのアイコンが用意されている。まずは、普通に「均等割り付け」を指定した例から紹介していこう。

以下の図は、段落全体を選択した状態で「均等割り付け」を指定した例だ。段落内の文字が「ページ幅全体に等間隔」で配置されるのを確認できるだろう。

  • 段落に「均等割り付け」を指定する操作

    段落に「均等割り付け」を指定する操作

  • 「均等割り付け」を指定した段落

    「均等割り付け」を指定した段落

これが段落の配置という視点から見た「均等割り付け」の機能となる。このほかにも「均等割り付け」には便利な機能が用意されている。それは“文字列の幅”を自由に指定できる機能だ。今回は、この機能の使い方や挙動について詳しく紹介していこう。

文字の均等割り付け

具体的な例を用いながら「均等割り付け」のもうひとつの機能を紹介していこう。たとえば、各店舗の電話番号を以下の図のような形で記載したとしよう。ここで少し問題となるのが、店舗名の文字数が異なることだ。「新宿本店」と「恵比寿店」は4文字、「千駄ヶ谷店」は5文字、「渋谷店」は3文字になるため、コロン(:)の位置が揃わなくなってしまう。

  • 文字数の異なる単語(店舗名)

    文字数の異なる単語(店舗名)

このような場合は、各店舗名の幅が同じになるように「均等割り付け」で配置を調整してあげるとよい。「新宿本店」の文字だけを選択して「均等割り付け」をクリックする。

  • 文字に「均等割り付け」を指定する操作

    文字に「均等割り付け」を指定する操作

すると以下の図のようなダイアログが表示され、選択した文字列の幅を自由に指定できるようになる。今回の例の場合、最も文字数が多いのは「千駄ヶ谷店」で、その文字数は5文字となる。よって、すべての店舗名の幅を「5字」に統一してやればよい。

  • 文字列の幅の指定

    文字列の幅の指定

「OK」ボタンをクリックすると「新宿本店」の文字の配置が自動調整され、5文字分の幅で配置されるようになる。

  • 指定した幅で配置された単語

    指定した幅で配置された単語

同様の手順で「渋谷店」と「恵比寿店」についても文字列の幅を「5字」に変更すると、コロン(:)の位置を揃えて文字を配置できるようになる。

  • 幅を5字に統一した配置

    幅を5字に統一した配置

このように、文字数が異なる単語を「指定した幅」に揃えて配置したい場合に「均等割り付け」が活用できる。便利な機能なので、ぜひ使い方を覚えておくとよいだろう。

なお、3文字表記の「渋谷店」は、間に全角スペースを挿入して「渋 谷 店」と表記することもできるが、この場合は「渋谷」で検索できなくなるなどの不具合が生じてしまう。よって、スペースの挿入で調整できる場合であっても「均等割り付け」で幅を変更した方がよい。

幅を文字数より小さく指定した場合は?

これまでに紹介した内容は、書籍やWebにもよく掲載されている話となる。これだけでは面白みに欠けるので、少し特殊な例についても実験してみよう。

まずは、実際の文字数よりも小さい幅を指定したときの挙動だ。たとえば、「千駄ヶ谷店」の文字数は5文字ある。これを「4字」の幅に自動調整してみよう。

  • 文字数より小さい幅を指定した場合

    文字数より小さい幅を指定した場合

結果は以下の図のとおり。5文字の単語が“4文字分の幅”に収まるように、各文字が縦長の文字(長体)に変形される。

  • 長体で配置された単語

    長体で配置された単語

このように実際の文字数よりも小さい幅を指定したときは、各文字を縦長に変形することで幅の調整が行われる。同様の手順で「渋谷店」の幅を「4字」に自動調整すると、すべての店舗名を4文字分の幅に統一できる。

このように幅を縮める方向で配置を調整する方法もある。あまり一般的ではないが、十分なスペースがない場合に活用できるテクニックなので、念のため覚えておくとよいだろう。

均等割り付けの解除

続いては、「均等割り付け」を解除するときの操作手順を紹介しておこう。「均等割り付け」を指定した文字を選択すると、文字の下に「青色の線」が表示される。この状態で「均等割り付け」をクリックし、「解除」ボタンをクリックする。

  • 均等割り付けの解除

    均等割り付けの解除

すると「均等割り付け」を解除され、通常の配置に戻る。指定した書式を解除する方法が分からない、という事態に陥らないように、こちらの操作手順もあわせて覚えておく必要があるだろう。

半角英数字に応用する場合は?

続いては、半角英数字の幅を揃える場合について検証していこう。以下の図は、製作スタッフの一覧をWordで記した例だ。「Producer」と「Director」はどちらも8文字の英単語になるが、半角文字は字形に応じて文字幅が変化するため、文字数が同じであっても幅が同じになるとは限らない。もちろん、文字数が異なる「Chief Editor」や「Editor」も、その幅は一定にはならない。

  • 半角で記述した英単語

    半角で記述した英単語

このような場合にも「均等割り付け」が活用できる。操作手順は先ほどと同じ。文字を選択した状態で「均等割り付け」をクリックする。続いて、自動調整後の幅を指定するが、この文字数は“全角文字の文字数”が基準となることに注意する必要がある。

  • 「均等割り付け」の指定

    「均等割り付け」の指定

今回の例では幅に「6字」を指定したので、全角6文字分の幅で「Producer」の文字が配置される。

  • 指定した幅で配置された英単語

    指定した幅で配置された英単語

同様に、他の英単語も全角6文字分の幅になるように自動調整すると、コロン(:)の位置を揃えて文字を配置できる。なお、最後の行は「全角スペース2文字」を6文字分の幅で配置するように指定しているが、この場合は幅の自動調整が行われない。どうやらスペースのみの場合は「均等割り付け」が正しく機能してくれないようだ。

  • 幅を揃えて配置した英単語

    幅を揃えて配置した英単語

それ以前の問題として、「英単語は間隔を空けすぎると可読性が悪くなる」という点も考慮しなければならない。よって、この方法はベストな解決策とはいえない。

このような場合は、「右揃え」のタブ位置を使って配置を調整するとよい。たとえば、以下の図のように配置を調整すると、英単語の読みやすさを維持したままコロン(:)の位置を揃えることが可能となる。

  • 「右揃え」のタブで配置した英単語

    「右揃え」のタブで配置した英単語

なお、タブ位置の使い方については、この連載で近いうちに紹介する予定なので、上図のように配置するテクニックについても、そのときに詳しく解説していこう。

均等割り付けの「1字」とは?

本連載の前回で紹介した「1字」の意味についても補足しておこう。以下の図は、それぞれの店舗名が「5字」の幅になるように「均等割り付け」を指定した例だ。ただし、各文字列の幅は一定になっていない。

  • 5字の幅を指定した「均等割り付け」

    5字の幅を指定した「均等割り付け」

このような結果になるのは、それぞれの文字サイズが異なることが原因だ。前回の連載で「Wordは1字=10.5ptと考えるのが基本」と紹介したが、「均等割り付け」は例外的な存在となる。ここで指定する文字数は、現在の文字サイズが基準になる。よって、同じ「5字」であっても、その幅は一定にならない。

文字サイズが異なる単語を揃えて配置したいときは、字数ではなく、ミリ単位で幅を指定するとよい。たとえば、幅に「25mm」という数値を指定すると、選択した文字を25mmの幅で配置できるようになる。

  • 文字列の幅をミリ単位で指定

    文字列の幅をミリ単位で指定

同様の手順で、他の店舗名についても幅を25mmに指定すると、店舗名を揃えて配置することが可能となる。

  • 25mmの幅を指定した「均等割り付け」

    25mmの幅を指定した「均等割り付け」

ただし、その後に続くコロン(:)の文字サイズが異なるため、電話番号の開始位置は揃わない。電話番号の開始位置を揃えるには、コロンも含めた形で幅を指定してあげる必要があるが、今度は「店舗名の幅が微妙にズレる」という問題が発生してしまう。

このように、文字サイズが異なる場合は非常に厄介な問題が生じてしまう。よって、ある程度は妥協しながら文字の配置方法を決定しなければならない。同じリスト内で文字サイズを変更することは滅多にないと思われるが、念のため、このような問題が生じることを認識しておく必要があるだろう。

均等割り付けを効率よく指定するテクニック

最後に、「均等割り付け」を効率よく指定するテクニックを紹介しておこう。「文字の均等割り付け」は「拡張書式」コマンドにも用意されている。こちらを使って“文字列の幅”を調整することも可能だ。

  • 「拡張書式」を使った「文字の均等割り付け」の指定

    「拡張書式」を使った「文字の均等割り付け」の指定

  • 指定した幅で配置された単語

    指定した幅で配置された単語

上記の手順で書式を指定した場合は、以降の処理を「F4」キーで済ませることが可能となる。Wordの「F4」キーには「直前と同じ操作を繰り返す」という機能が割り当てられている。このため、「渋谷店」の文字を選択して「F4」キーを押すだけで、前回と同じ処理(5字の幅に自動調整する処理)を実行できる。

  • 文字を選択して「F4」キーを押す

    文字を選択して「F4」キーを押す

同様に、「恵比寿店」の文字を選択して「F4」キーを押すと、すべての店舗名の幅を“5文字分の幅”に揃えることができる。このように操作すると、短時間で「均等割り付け」の指定を済ませることができる。

  • 「操作の繰り返し」で指定した「文字の均等割り付け」

    「操作の繰り返し」で指定した「文字の均等割り付け」

そのほか、「Ctrl」キーを使って複数の文字列を同時に選択しておくのも効果的な手法となる。この状態で「均等割り付け」を指定すると、1回の操作で書式指定を済ませることが可能となる。

  • 「Ctrl」キーを使った文字の同時選択

    「Ctrl」キーを使った文字の同時選択

ということで、今回は「均等割り付け」を使って文字の配置を調整する方法を紹介した。読みやすい文書を作成するための“ちょっとした工夫”として、その使い方を覚えておくと、きっと役に立つだろう。