「ドロップシャドウ」それは禁句ともいえた日々
今でこそInDesignやIllustratorで当たり前のように使用しているドロップシャドウや透明度のコントロール。しかし、従来のQuarkXPressでは、これらは禁句ともいえるほど面倒な作業だった。QuarkXPressでは、Photoshopでシャドウの画像を作り、それをQuarkXPressに張り込み、画像ボックスの位置決めをしなければならなかった。修正が入ると思わず怒りだしてしまいたくなるほど嫌な作業なのは、旧環境のユーザーなら誰もが体験している事だろう。
私個人としては、ドロップシャドウによるデザインワークはあまり好きではないが、クライアント受することが多く仕方なくつかっているケースも多い。そのドロップシャドウがQuarkXPress 8ではようやく簡単にできるようになったというのだ。
文字だけでなく、オブジェクトもOK
まず、図1を見てもらいたい。上は従来の方法で文字を2重に重ねてドロップシャドウ的な効果を作るテクニックだ。画像データを用意しないで良い分、作成は簡単だが、陰をぼかしたい等といったことはできなかった上に、文字の修正が入ると2カ所直さなくてはいけなかった。
図1 上が従来のごまかし式ドロップシャドウ。下が今回の機能を使用したドロップシャドウ。見栄えの違いは一目瞭然 |
図2 必要最低限の項目だが、うまく使いこなす事でいろいろなバリエーションを作成する事ができるのがダイアログからでもわかる |
下が今回から加わった「ドロップシャドウ」の機能を使って作ったオブジェクト。陰のぼかしも可能であり、文字という属性も変化していない。ちなみにダイアログ上では、ぼかし幅や縮小率のほかに、傾き、シャドウの色等が設定可能(図2)。ありきたりなドロップシャドウだけでなく、図3のような変化を付けたシャドウの作成も可能だ。
図3 シャドウの角度や色を変えてみた例。欲を言えばシャドウの左右のオフセットも変えられるとより便利だった |
図4 オブジェクト、文字、画像のすべてに透明度の設定が可能に。従来の環境ではかなり面倒だった作業が簡単にできるようになった |
また、通常のオブジェクトはもちろんの事、画像オフジェクトや文字にも透明度の設定が可能となる(図4)。
これらのオブジェクトは当然出力時には分割され安全に出力可能であるという同社の実験データもあるようで、InDesignユーザーなら当たり前だが、未だに旧環境のユーザーには夢のような話であろう。
バージョン7をスキップして8を売り出すという日本語環境に対する遅れは否めないが、それを取り戻そうとする意欲的な機能を搭載しようとしているのが理解できる。
これでもあなたはまだ、旧環境にとらわれたままで仕事を続けますか?