タイピングした文字を「カタカナ」や「アルファベット」に変換するときは、ファンクションキーを利用するのが一般的だ。また、これと同じ操作をショートカットキーでも行える。今回は、これらのキー操作と「文字の種類と文字セット」について紹介していこう。

  • ファンクションキーとカタカナ変換、英字変換

    ファンクションキーとカタカナ変換、英字変換

各ファンクションキーの機能を覚える

Microsoft IMEには、タイピングした文字をそのまま「カタカナ」や「アルファベット」に変換できる機能が装備されている。「F7」キーでカタカナに変換する、などの操作をすでに利用している方も多いだろう。

ほかにも「ひらがな/カタカナ/アルファベット」に変換する方法として、以下に示したようなキー操作が用意されている。

  • ファンクションキー(ショートカットキー)の機能一覧

    ファンクションキー(ショートカットキー)の機能一覧

各ファンクションキーの変換機能については、すでにご存じの方も多いかもしれない。これと同様の操作は、「Ctrl」を使ったショートカットキーでも代用できる。特にノートパソコンの場合、「Fn」キーを押さないとファンクションキーが機能してくれない機種もある。こういった場合に備えて、ショートカットキーで操作する方法も覚えておくとよい。

  • 各キーの位置

    各キーの位置

ファンクションキーが普通に機能する場合でも、可能であればショートカットキーを利用したほうがよい。というのも、ファンクションキーはホームポジションから離れているため、いちど画面から目を離さないとタイピングできないケースが多いからだ。

上図に示したように、同じ操作を実現するショートカットキーはホームポジションのひとつ上の段に配置されている。このため、タッチタイピングできる方なら画面を見たまま操作できると思われる。そのぶん文字入力も速くなる、と期待できる。はじめは戸惑うかもしれないが、少しずつ慣れていくように努力してみるとよいだろう。

念のため、各キーを押したときの挙動についても紹介しておこう。タイピングした文字をそのまま“ひらがな”として入力する場合は、「F6」キーまたは「Ctrl」+「U」キーを押す。何も変換しない操作になるため、そのまま「Enter」キーで確定してもよい。

  • F6(Ctrl+U)を押した場合

    F6(Ctrl+U)を押した場合

全角カタカナに変換するときは「F7」キーを押す。こちらは有名なキー操作なので、すでに利用している方が多いだろう。同じ操作をショートカットキーで実現する「Ctrl」+「I」キーを使えるようになると、少しだけ文字入力が速くなるはずだ。

  • F7(Ctrl+I)を押した場合

    F7(Ctrl+I)を押した場合

「F8」キーと「Ctrl」+「O」キーは、半角カタカナに変換する操作となる。とはいえ、実際に利用する機会は滅多にないため、重要度は低いと考えられる。

  • F8(Ctrl+O)を押した場合

    F8(Ctrl+O)を押した場合

「F9」キーと「Ctrl」+「P」キーは、全角英数字に変換する操作となる。こちらも利用機会はあまり多くないため、必須というほどではない。

  • F9(Ctrl+P)を押した場合

    F9(Ctrl+P)を押した場合

「F10」キーと「Ctrl」+「T」キーは、半角英数字に変換する操作となる。IMEオン(全角入力モード)のまま半角アルファベットを入力するときに重宝する機能なので、必ず覚えておきたい。

  • F10(Ctrl+T)を押した場合

    F10(Ctrl+T)を押した場合

一般的な利用頻度から考えると、「F7」キーと「F10」キーが必ず覚えておくべき操作といえる。ショートカットキーで操作するなら「Ctrl」+「I」キーと「Ctrl」+「T」キーが同じ操作に該当する。

ファンクションキーを何回も押した場合は?

続いては、先ほど紹介したファンクションキーを何回も押したときの挙動について紹介していこう。「Ctrl」+「I」などのショートカットキーで操作した場合も同じ結果になるが、ここでは便宜上、ファンクションキーの記述で解説を進めていこう。

以下の図は、「ほんねなのかも」とタイピングした文字を「F7」キーでカタカナに変換した例だ。

  • 「F7」キー押した直後

    「F7」キー押した直後

この状態から、さらに「F7」キーを連打していくと、最後から1文字ずつ“ひらがな”に戻っていく。たとえば、カタカナに変換した後、さらに「F7」キーを4回押すと、最後の4文字を“ひらがな”に戻せる。

  • さらに「F7」キーを4回押した様子

    さらに「F7」キーを4回押した様子

この手法は、漢字で書く単語をあえてカタカナ表記にする場合などに活用できる。もちろん、「ホンネ」と「なのかも」を個別に入力しても構わない。各自が使いやすいと思うほうを採用すればよいだろう。

続いて紹介するのは、「F9」キーや「F10」キーを使って英字に変換するときに活用できるテクニックだ。以下の図は、「t」→「o」→「k」→「y」→「o」とタイピングして「F10」キーで半角英数字に変換した例だ。

  • 「F10」キー押した直後

    「F10」キー押した直後

この状態から、さらに「F10」キーを押すと、すべての文字を大文字表記に変更できる。

  • さらに「F10」キーを押した様子(すべて大文字)

    さらに「F10」キーを押した様子(すべて大文字)

さらに「F10」キーを押すと、先頭だけを大文字にした表記に変更できる。

  • さらに「F10」キーを押した様子(先頭のみ大文字)

    さらに「F10」キーを押した様子(先頭のみ大文字)

このように「F10」キーの連打により大文字/小文字を切り替える方法もある。よって、タイピング時に「Shift」キーを押さなくても、「先頭のみ大文字」や「すべて大文字」のアルファベットを入力できる。ここでは「F10」キーを例に紹介したが、全角英数字に変換する「F9」キーでも同様の結果を得られる。こういった操作方法も覚えておくと役に立つだろう。

変換候補に含める文字の種類

Microsoft IMEの設定を変更して、変換候補に「半角カタカナ」や「アルファベット」を追加することもできる。あとは普通に「Space」キーを押していくだけ。これで目的の文字に変換できるようになる。その手順を紹介しておこう。

(1)タスクバーの右端に表示されている「あ」または「A」のアイコンを右クリックし、「設定」を選択する。

  • 「Microsoft IME」の設定画面の呼び出し

    「Microsoft IME」の設定画面の呼び出し

(2)「Microsoft IME」の設定画面が表示されるので「全般」を選択する。

  • 「Microsoft IME」の設定画面

    「Microsoft IME」の設定画面

(3)画面を下にスクロールすると、以下の図のような設定項目が表示される。ここで変換候補として表示したい文字にチェックを入れる。

  • 文字の種類の設定

    文字の種類の設定

ちなみに、この設定項目は「ひらがな」と「全角カタカナ」だけがオンに初期設定されている。具体的な例を紹介しておこう。以下の図は「なかやま」とタイピングして「Space」キーを押したときの変換候補だ。変換候補に「ひらがな」と「全角カタカナ」が含まれていることを確認できるだろう。

  • 設定変更前の変換候補

    設定変更前の変換候補

次は「半角カタカナ」と「ローマ字」もオンに設定変更した場合の例だ。先ほどの変換候補に半角カタカナとアルファベット(ローマ字)が追加されているのを確認できるだろう。なお、画面には表示されていないが、この後(2ページ目)に半角アルファベットも変換候補として用意されている。

  • 「半角カタカナ」と「ローマ字」をチェックした場合

    「半角カタカナ」と「ローマ字」をチェックした場合

このように、変換候補に表示する「文字の種類」をカスタマイズすることで、「Space」キーだけで目的の文字に変換する方法もある。ただし、何回も「Space」キーを押す必要があるため、「文字入力の高速化につながるか?」には疑問が残る。

むしろ、初期設定されていた「ひらがな」と「全角カタカナ」をオフにしてしまい、変換候補の一覧をコンパクトにしたほうが効果的かもしれない。「ひらがな」や「カタカナ」に変換するときはファンクションキー(ショートカットキー)を利用する、とルール化しておけば、変換候補に表示されていなくても特に困らないはずだ。

変換候補に表示する「文字の種類」は、各自の好みに合わせて設定するとよいだろう。ここでは「変換候補に表示する文字の種類もカスタマイズできる」ということを覚えておけば十分だ。

変換候補に含める文字セット

先ほど紹介した設定項目のすぐ下には、「文字セット」を指定するための設定項目も用意されている。こちらは「どのレベルまで変換候補に表示するか?」をラジオボタンで指定する仕組みになっている。

  • 文字セットの設定

    文字セットの設定

この項目の初期値は「IVSを除く」に設定されている。IVSとは、Ideographic Variation Sequence(異体字シーケンス)の略で、漢字の異体字を表現するための技術となる。最初は「IVSを除く」に初期設定されているため、変換候補に異体字は表示されない。

具体的な例を紹介しておこう。以下の図は、「つじ」とタイピングして変換候補の一覧を表示した例だ。「辻」の漢字は“左上の点がふたつある字体”だけが表示されている。

  • 文字セットが「IVSを除く」の場合(初期値)

    文字セットが「IVSを除く」の場合(初期値)

一方、以下の図は、文字セットの設定を「すべて」に変更した例となる。この場合は異体字も表示されるため、左上の点がひとつの「辻」も変換候補に表示されるようになる。

  • 文字セットを「すべて」に変更した場合

    文字セットを「すべて」に変更した場合

氏名を入力する機会が多い方は、文字セットの設定を「すべて」に変更しておいてもよいだろう。ただし、フォントによっては異体字が正しく表示されないケースがあることに注意しなければならない。

また、環境に依存する使い方になるので、パソコン以外のデータベース(サーバー)などと連携して利用するときは、管理者と相談しながら使用していく必要がある。

ということで、今回は「カタカナ」や「アルファベット」に変換する方法を中心に、キー操作とIME設定について解説した。これらの知識が文字入力の高速化につながるヒントとなれば幸いである。