顔文字や絵文字の入力、日付・時刻への変換、計算機能など、「Google 日本語入力」には文字入力を補佐してくれる機能がいくつか用意されている。似たような機能は「Microsoft IME」にも装備されている場合が多いので、両者を比較しながら各種機能の使い方を紹介していこう。
顔文字・絵文字の入力
「Google 日本語入力」の各種機能を紹介するページを見ると、その筆頭に「絵文字に変換」や「顔文字に変換」といった機能が掲載されている。そこで、これらの機能の比較・検証から行っていこう。
以下の図は、IMEに「Google 日本語入力」を選択し、「にこにこ」とタイピングして「Space」キーを押した様子だ。変換候補には「\(^o^)/」や「(^o^)」などの顔文字が並んでいる。さらに「Space」キー押して2ページ目を表示すると、数多くの顔文字が用意されていることを確認できる。
このように「Google 日本語入力」には“感情を表す文字”を顔文字に変換する機能が用意されている。とはいえ、これは「Google 日本語入力」に限った話ではなく、「Microsoft IME」にも同様の機能が用意されている。
以下の図は、IMEに「Microsoft IME」を選択し、「にこにこ」とタイピングして「Space」キーを押した例だ。その後「Tab」キーを押して、変換候補を36個まで表示した様子を掲載してある。
「Google 日本語入力」と同様に、数多くの顔文字が変換候補に並んでいることを確認できるだろう。「しくしく」を漢字変換した例も紹介しておこう。1枚目の画像は「Google 日本語入力」で漢字変換した様子、2枚目の画像は「Microsoft IME」で漢字変換した様子となる。
このように両者とも「顔文字に変換する操作」は問題なく行える。「Google 日本語入力」のほうが顔文字のバリエーションが多いような気もするが、変換候補を最大36個まで表示できる「Microsoft IME」のほうが使い勝手は良いかもしれない。
同様の手順で絵文字に変換することも可能だ。以下の図は「めーる」の読みを漢字変換した様子だ。左側が「Microsoft IME」、右側が「Google 日本語入力」の画面キャプチャとなる。
ビジネスシーンで絵文字や顔文字を使用する機会は滅多にないが、状況によっては「社内のビジネスチャットで顔文字や絵文字を使いたい」と思うこともあるかもしれない。そういった場合に、これらの機能が活用できる。ただし、「Microsoft IME」と「Google 日本語入力」に決定的な差がある訳ではない。
日付・時刻の入力
続いては「日付の入力を補佐する機能」を検証していこう。この機能の利点は、いちいちカレンダーを調べなくても“今日の日付”などを即座に入力できること。便利な機能なので、ぜひ使い方を覚えておくとよい。
以下の図は、「きょう」とタイピングした時点で表示される予測候補を比較した例だ。左側が「Microsoft IME」、右側が「Google 日本語入力」の画面キャプチャとなる。Microsoft IMEは予測候補に“今日の日付”が含まれている。一方、Google 日本語入力は「きょうで始まる単語」しか表示されていない。
「Tab」キーを押して予測候補の数を増やした例も紹介しておこう。Microsoft IMEでは「令和X年X月X日」や「X月X日(曜日)」といった予測候補も表示されるようになる。一方、Google 日本語入力は「きょうで始まる単語」が増えるだけで、やはり“今日の日付”は表示されない。
この結果だけを見ると、Google 日本語入力は“今日の日付”の入力に対応していないと思うかもしれないが、実はそうではない。Google 日本語入力で“今日の日付”を入力するときは、「Space」キーを押して漢字変換を行う必要がある。すると、以下の図のように「4種類の日付」と「曜日のみ」の変換候補が表示される。
このように、Google 日本語入力にも「日付の入力を補佐する機能」は用意されているが、Microsoft IMEとは操作手順が異なる。「きのう」や「あした」、「あさって」などの日付についても同様だ。そのほか、「げつようび」とタイピングして、直近に訪れる“月曜日の日付”を入力する、といった操作にも両者とも対応している。
それぞれのIMEで「日付の候補が表示される場所」が異なることを覚えておけば、問題なく日付の入力を行えるだろう。
◆日付の候補が表示される場所
- Microsoft IME:予測候補
- Google 日本語入力:変換候補
同様に、「いま」とタイピングして“現在の時刻”を入力するときも、Google 日本語入力は変換候補を利用することになる。
なお、「Google 日本語入力」ならではの機能として、2〜4桁の数値を時刻に変換する機能も用意されている。以下の図は「1638」とタイピングして漢字変換した様子だ。「Space」キーを連打して変換候補の2ページ目を表示すると、「16:38」や「16時38分」といった候補が並んでいるのを確認できるだろう。
この機能を活用して時刻を素早く入力することも可能である。こちらは「Microsoft IME」には用意されていない機能となる。
矢印記号などの入力
「←」や「↓」などの記号入力を補佐する機能も用意されている。こちらも「Google 日本語入力」ならではの機能となる。
以下の図は、Google 日本語入力で「zh」とタイピングしたときの様子だ。予測候補として「←」の記号が表示されている。さらに「Space」キーを押して漢字変換を行うと、何種類もの矢印記号が変換候補に表示される。
こちらはGoogle 日本語入力の「ローマ字テーブル」に初期設定されている入力方法(ショートカット)を利用した機能となる。
ほかにも、「ZJ」で下向き、「ZK」で上向き、「ZL」で右向きの矢印記号といった具合に、よく使う記号を素早く入力するためのショートカットが初期設定されている。
◆初期設定されているショートカットの例
- ZH:←(左矢印)
- ZJ:↓(下矢印)
- ZK:↑(上矢印)
- ZL:→(右矢印)
- Z,:‥(二点リーダー)
- Z.:…(三点リーダー)
- Z-:〜(波ダッシュ)
- Z/:・(中点、中黒)
- Z[:『(二重かぎ括弧)
- Z]:』(二重かぎ括弧閉じ)
タイピングする文字を暗記しておく必要があるが、慣れてしまえば便利に活用できる機能になるだろう。ローマ字テーブルを編集して自分だけのショートカットを作成することも可能となっている。
計算機能(電卓機能、2進数/8進数/16進数への変換)
「Google 日本語入力」には、数式の計算結果を自動算出してくれる機能も用意されている。こちらも「Google 日本語入力」ならではの機能となる。
この機能を利用するときは、数式の後に「=」(イコール)の記号をタイピングすればよい。すると、予測候補に計算結果が表示される。もちろん、この候補を選択して“数式の計算結果”を入力することも可能だ。
「Space」キーを押して漢字変換を行うと、以下の図のような候補が一覧表示される。ここには「数式=計算結果」という形の変換候補も用意されている。
このように、IMEを電卓としても使えるのが「Google 日本語入力」ならではの特長といえる。IMEに必須の機能ではないが、「あれば便利に活用できる機能」といえるだろう。
そのほか、数値を16進数/8進数/2進数に換算する機能も用意されている。使い方は、数値をタイピングして「Space」キーを押すだけ。すると、16進数/8進数/2進数に換算した数値が変換候補として表示される。
色を16進数表記で示す場合などに便利に活用できるので、必要な方は覚えておくとよいだろう。
単語の登録
最後に、ユーザー辞書に単語を登録する方法を紹介しておこう。よく使う単語(フレーズ)を“短縮よみ”で登録しておくと、日本語入力を高速化できるはずだ。
ここでは「BtoBマーケティング」という単語を“短縮よみ”で登録する場合を例に操作手順を紹介していこう。適当なアプリに「BtoBマーケティング」と入力して文字を選択する(または「Ctrl+C」キーでコピーする)。
タスクバーに表示されている「あ」または「A」のアイコンを右クリックし、「単語登録」を選択する。なお、このメニューにある「辞書ツール」は、登録した単語を管理するときに選択する項目となる。
単語の登録画面が表示されるので、その単語に変換するための「よみ」を指定する。その後、「品詞」を選択してから「OK」ボタンをクリックする。
これで単語の登録作業は完了。以降は、指定した「よみ」をタイピングするだけで、登録した単語を素早く入力できるようになる。以下の図は、左側が予測候補、右側が変換候補を表示したときの様子だ。
同様の手順で、よく使用する文章(フレーズ)をユーザー辞書に登録することも可能だ。ただし、改行は無視されてしまうことに注意しなければならない。よって、以下に示した例では、改行する場所に「★」の記号を挿入した形で文章の登録作業を行っている。
これで登録した文章を“短縮よみ”で入力できるようになる。その後、「★」の記号を改行に変更すると、数文字のタイピングで文章の入力を済ませることが可能となり、日本語入力の高速化にかなり貢献してくれる。
もちろん、「Microsoft IME」も単語(文章)の登録には対応している(詳しくは本連載の第3回を参照)。ただし、その文字数は最大60文字に制限されていることに注意しなければならない。一方、「Google 日本語入力」は最大100文字まで登録できるようになっている。60文字と100文字の差は意外と大きいので、IMEをスニペットツールとしても活用したい方は「Google 日本語入力のほうが向いている」といえるだろう。
なお、連載第3回で「Google 日本語入力を使用した場合は全角100文字(半角300文字)まで辞書に登録できるようだ。」と紹介していたが、実際に検証してみたところ、半角も100文字までしか登録できなかった。公式サイトに正式な情報は公開されていないが、「登録可能な文字数は全角/半角に関係なく最大100文字まで」と考えておくべきだろう。
念のため、登録した単語(文章)を管理するときの操作手順も紹介しておこう。この場合は、「あ」または「A」のアイコンを右クリックして「辞書ツール」を選択すればよい。すると、以下の図のような管理画面が表示される。ここで各項目を右クリックし、「この単語を削除」を選択すると、その単語をユーザー辞書から削除できる。
「よみ」や「単語」の表記を修正したいときは、その項目をダブルクリックすればよい。すると、ダブルクリックした項目の文字を自由に編集できるようになる。
以上が、「Google 日本語入力」に用意されている各種機能となる。そのほか、郵便番号を住所に変換する機能などもあるが、この機能は基本的に「Microsoft IME」と同じである。よって、説明を割愛している。
IMEは実際に使ってみないと確認できない部分も多々あるが、今回の記事がIMEを選択するときの一助となれば幸いだ。























