今回は、拡張機能を効率よく管理する方法の後編として、「拡張機能マネージャー」の使い方を「Extensity」と比較しながら紹介していこう。どちらも似たような機能を提供してくれる拡張機能だが、ユーザーインタフェースに差があるため、各自の好みに応じて好きな方を選択するとよい。

  • 「Extensity」vs「拡張機能マネージャー」

拡張機能マネージャーを使った有効/無効の切り替え

前回はExtensityという拡張機能の使い方を紹介した。これと似たような機能を提供してくれるのが拡張機能マネージャーだ。今回は、この拡張機能マネージャーの使い方を紹介していこう。

拡張機能の追加手順はいつもと同じ。拡張機能マネージャーの紹介ページを開き、「Chromeに追加」ボタンをクリックする。続いて、「拡張機能を追加」ボタンをクリックするとインストールが完了する。

  • 拡張機能マネージャーの紹介ページ

拡張機能を追加できたら、すぐに拡張機能マネージャーを呼び出せるようにツールバーに固定しておこう。「拡張機能」のアイコンをクリックし、拡張機能マネージャーのピンをONにする。

  • 拡張機能マネージャーをツールバーに固定する操作

拡張機能マネージャーのアイコンが右端に追加される。ただし、アイコンの数に対してウィンドウ幅が狭すぎると、右端の方にあるアイコン表示が省略されてしまう。このままでは都合が悪いので、拡張機能マネージャーが常に表示されるようにアイコンの並び順を調整しておこう。ウィンドウの幅を大きくし、拡張機能マネージャーのアイコンを左端へドラッグする。

  • アイコンの並べ替え

これで準備は完了。さっそく、使い方を紹介していこう。拡張機能マネージャーのアイコンに表示されている数字(バッジ)は、「有効になっている拡張機能の数」を示している。以下の図に示した例の場合、24個の拡張機能が有効になっている、ということを示している。

  • 有効になっている拡張機能の数

ただし、この数値は拡張機能マネージャーを除いた値になるので、実際にはプラス1した25個の拡張機能が有効になっている。

拡張機能マネージャーのアイコンをクリックすると、Chromeに追加されている拡張機能が一覧表示される。上部に表示されているものが「有効な拡張機能」、下部にグレーアウトして表示されているものが「無効化されている拡張機能」となる。拡張機能の有効/無効は、各アイコンのクリックで切り替えられる。

  • 拡張機能の有効/無効の切り替え

前回の記事で紹介したExtensityは拡張機能をリスト形式で一覧表示していたが、拡張機能マネージャーではアイコンだけの表示になっている。拡張機能名は表示されていないが、マウスをアイコンに重ねると「拡張機能名」または「拡張機能の説明」が表示されるので、これを目安に「どの拡張機能か?」を判別できる。よって、どちらを選んでも特に困ることはないと思われる。

拡張機能をすべて無効化(リセット)する機能も用意されている。この場合は、以下の図に示したボタンをクリックすればよい。

  • 拡張機能をすべて無効化する操作

ただし、後述する「グループ」を設定した後は、グループの設定に戻すボタンとして機能する。よって、拡張機能の有効/無効をリセットするボタンと覚えておくのが基本だ。

各アイコンにマウスを重ねたときに表示されるメニューについても紹介しておこう。ここに表示されるメニューには、それぞれ以下の操作が割り当てられている。

  • ロッキング:すべて無効化しても、有効のまま維持するようにロックする
  • オプション:拡張機能の設定画面を表示する
  • 卸売:拡張機能を削除(アンインストール)する
  • ホーム:拡張機能のWebページ(またはChromeウェブストアの紹介ページ)を開く
  • ホバー時に表示されるメニュー

このように拡張機能マネージャーを導入すると、クリックひとつで拡張機能の有効/無効を切り替えられるようになる。前回の記事で紹介したExtensityと比べると、アイコン表示/リスト表示の違いはあるものの、基本的な機能は同じといえるだろう。

グループ機能を使った一括切り替え

有効/無効を個別に指定するのではなく、拡張機能をグループ化して一括指定する方法も用意されている。こちらはExtensityの「プロファイル」に相当する機能と考えられる。

まずは、グループの作成手順から紹介していこう。「デフォルト」をクリックし、「歯車」のアイコンをクリックする。

  • グループの管理画面の呼び出し

グループの管理画面が表示される。新しいグループを作成するときは、この画面にある「+」タブをクリックすればよい。

  • 新しいグループの作成

「New Group」という名前のグループが作成されるので、グループ名を適当な名前に変更する。「鉛筆」のアイコンをクリックしてグループ名を入力する。

  • グループ名の変更(1)

  • グループ名の変更(2)

グループ名を変更できたら、そのグループを選択したときに有効にする拡張機能を指定していく。ちなみに、この画面で指定した内容は、その場で自動保存される仕組みになっている。

  • グループの設定

同様の手順を繰り返して、用途別に複数のグループを作成することも可能だ。なお、初めから用意されている「デフォルト」のグループには、通常時によく使う拡張機能を指定しておけばよい。

以上でグループの作成は完了。拡張機能マネージャーを開いて「デフォルト」をクリックすると、作成済みのグループ名が一覧表示されるので、この中からグループ名を選択する。これで、そのグループに登録されている拡張機能の有効/無効をまとめて反映できるようになる。

  • グループの切り替え(1)

  • グループの切り替え(2)

このように、拡張機能をグループ化して管理することも可能となっている。常に有効にする拡張機能を指定する「固定」も用意されているので、大枠だけを見れば「Extensityと同様の機能が備えられている」といえるだろう。

拡張機能の一覧の表示モード

拡張機能マネージャーの画面にある「+」ボタンは、一覧の表示モードを切り替えるときに利用する。一番上のボタンは、通常/ダークモードを切り替えるボタンとなる。

  • ダークモードで表示した例

2番目のボタンは、アイコン表示/リスト表示を切り替えるボタンとなる。このボタンをクリックすると、拡張機能をリスト形式で一覧表示できるようになる。

  • 拡張機能をリスト表示に変更した例

その下にある「…」ボタンは、拡張機能マネージャーの設定画面を呼び出すボタンとなる。この設定画面で一覧の表示方法をカスタマイズすることも可能だ。続いては、拡張機能マネージャーの設定画面について紹介していこう。

  • 設定画面の呼び出し

拡張機能マネージャーの設定画面

拡張機能マネージャーの設定画面は、以下の図に示したような構成になっている。「一般」のカテゴリには、アイコンの列数/サイズ/自動並べ替え/メニュー表示モードなど、アイコン表示のレイアウトに関連する設定項目が並んでいる。

  • 「一般」に用意されている設定項目

この画面にある「グリッドモードで拡張機能名を表示する」をONにすると、各アイコンの下に拡張機能名を表示できる。アイコンだけでは拡張機能を判別しづらい場合に活用するとよいだろう。

  • 拡張機能名を表示した例

ただし、表示できる拡張機能名は8文字までに制限されているので、必ずしも正しい名称が表示されるとは限らない。この対策として、アイコンの下に表示される拡張機能名を自由にカスタマイズできる「名前設定」というカテゴリも用意されている。

  • 拡張機能名の変更

その下にある「ルール」は、閲覧しているWebページのURLに応じて、拡張機能を自動的に有効化させる機能となる。基本的には「URL」と「有効化する拡張機能」を指定することで設定できるが、同じドメイン内にある他のページにも適用させるには、URLの最後に「*」(ワイルドカード)の記述が必要となる。この記述を忘れると、指定したURL(トップページ)でしか自動切り替えが機能しなくってしまう。

たとえば、YouTubeの閲覧時に有効化する拡張機能を指定するときは、URLを「https://www.youtube.com*」と入力しなければならない。

  • ルールの作成例

以下の図は、ルールを設定した後にYouTubeのWebサイトを閲覧した例だ。アイコンの右上に「黄色の丸印」が表示されている拡張機能が「自動的に有効化された拡張機能」となる。「デフォルト」グループに登録されている拡張機能に加えて、先ほど指定した拡張機能が有効化されているのを確認できるだろう。

  • ルールにより自動的に有効化された拡張機能

なお、「VisiOS」は「デフォルト」グループに初めから登録されている拡張機能となるので、右上に「青色の丸印」が表示されている。

Extensityと拡張機能マネージャーの比較

最後に、Extensityと拡張機能マネージャーの使い勝手を比較・検証しておこう。両者ともクリックひとつで拡張機能の有効/無効を切り替えることが可能で、拡張機能をグループ(プロファイル)に分類して管理する機能も装備されている。よって、基本的な機能に大差はない。どちらを選択しても「効率よく拡張機能を管理できる」といえるだろう。

両者が大きく異なる部分は、拡張機能の一覧の表示方法となる。Extensityは「リスト表示」、拡張機能マネージャーは「アイコン表示」が基本になっている。筆者の感想としては拡張機能マネージャーの方が使いやすかった気もするが、これについては各自の好みによるので決定的な差とはいえない。

唯一、決定的な差といえるのは「ルール」の有無だ。URLに応じて自動的に拡張機能を有効化したい場合は拡張機能マネージャーを選択すべきである。Extensityでは自動切り替えに対応できない、

ほかにも些細な違いはあるものの、以上が大雑把な結論になると思われる。どちらを選択しても通常のChromeよりは格段に効率よく拡張機能を管理できるので、最終的には見た目(インタフェース)で判断してもよいかもしれない。

というこうとで、本連載は今回が最終回となる。拡張機能は次々と新しいものが登場してくるため、今後、もっとユニークな拡張機能が見つかるかもしれない。その一方で、何らかの理由により使用不可になってしまう拡張機能もある。さらには、セキュリティ上の問題が含まれている拡張機能も存在するようだ。

よって、ある程度は注意しながら、追加する拡張機能を選別していく必要がある。Chromeウェブストアで拡張機能を探すときは、「おすすめ」や「定評のあるパブリッシャー」なども参考にしながら、自分に最適な拡張機能を見つけ出していくとよいだろう。

拡張機能ひとつでブラウザの使い勝手が大幅に向上するケースもあるので、仕事の効率を改善するためにも、各自で色々と研究してみてほしい。