日本商工会議所と東京商工会議所は、「多様な人材の活躍等に関する調査」の集計結果を公表した。人手不足と回答した企業は60.0%で、そのうち48.2%が事業運営に影響・支障が生じる深刻な状況にあると答えた。従業員20人以下で人手不足と回答した企業では、8.2%が廃業の恐れや事業継続への懸念を示した。
人手不足への対策「採用活動の強化」が75.7%で最多
人手不足の状況を従業員規模別に見ると、21人以上の企業では約7割が人手不足と回答した。一方、20人以下の企業では49.1%と全体を下回ったものの、人手不足と回答した企業のうち54.9%が深刻な状況にあると答えた。
両会議所は、小規模企業では人手不足が発生すると、事業継続に影響するほど深刻化しやすい傾向がうかがえるとしている。業種別では、建設業(77.4%)、運輸業(72.2%)、介護・看護業(70.5%)で人手不足の割合が7割を超えた。
人手不足への対策では、「採用活動の強化」が75.7%で最も多く、「デジタル・機械・AI等による省力化」が40.2%で続いた。省力化に取り組む割合は企業規模が小さいほど低く、従業員20人以下の企業では25.3%にとどまった。一方、同規模の企業では「事業の縮小、見直し、外注化」で対応する割合が31.6%に上り、21人以上の企業を上回った。
外国人材を受け入れている企業は25.1%
外国人材を受け入れている企業は25.1%で、業種別では宿泊・飲食業(42.9%)、製造業(40.1%)、介護・看護業(36.4%)で割合が高かった。新たな受け入れが困難になった場合、事業運営に支障が生じるという回答は受け入れ企業の65.9%を占めた。特に介護・看護業では93.8%に達し、運輸業(73.7%)、製造業(73.1%)でも7割を超えた。
外国人材の受け入れに関する国の方針については、「受入れを拡大すべき」(18.0%)と「人手不足の業種・地域に限って受入れを拡大すべき」(37.6%)との回答が、合わせて55.6%を占めた。また、日本への適応性が高く、技能・知識を有する外国人材について、在留期限がなく家族帯同が可能な受け入れを「増やすべき」とした企業は51.7%だった。一方、国や自治体に求める支援策では、「不適切な在留に対する取り締まりの徹底、罰則の強化」が60.6%で最多となった。
障害者雇用では、法定雇用義務の対象となる従業員37.5人以上の企業のうち、法定雇用率を達成した企業は42.7%だった。従業員37.5人以上50人以下の企業では、46.0%が「雇用しておらず、募集・採用に向けた取り組みを行っていない」と回答。雇用が困難な理由としては、「障害特性を踏まえた業務切り出し、設定が困難」(51.7%)、「就労・教育をサポートする人的な余裕がない」(50.9%)がそれぞれ約半数を占めた。
育児・介護などで就労上の配慮が必要な従業員や休業者がいる企業は58.0%だった。要因別では育児が46.2%で最も多く、従業員自身の治療が23.5%、介護が20.9%となった。仕事と家庭の両立支援に取り組むうえでの課題では、「両立に取り組む従業員の仕事のカバーが難しい」が42.8%で最も多かった。
女性従業員のキャリアアップに関する課題では、「ライフイベント(育児・介護等)によるキャリアの停滞」が29.0%で最多。「長時間労働や責任の重さ等により、本人が活躍を望みづらい」(27.5%)、「ロールモデルが不足」(26.7%)が続いた。
シニア人材については、60歳以上の従業員が全体の3割以上を占める企業が24.4%に上り、従業員20人以下の企業では31.2%だった。また、従業員のリスキリングについては、66.1%が「必要性を感じるが、取り組みが十分に進んでいない」と回答した。
なお、この調査は2026年7月21日~8月21日、全国47都道府県の商工会議所の会員企業を対象に、各地の商工会議所を通じてWebフォームなどで実施したもの。283商工会議所を通じて2654社から回答を得た。



