【株価はどう動く?】イラン攻撃後の株価がたどるシナリオは?今後も「波高き相場」が続く

 「極論」が出てくると 天井を打つ可能性も

 高市政権発足から、市場は強気一色になっていました。やや弱気の見通しを出していた大手証券会社も年末の株価見通しを上方修正してきたのです。一部には日経平均10万円、20万円もあるという人まで出てきました。こうした「極論」が出てくる時には天井を打つ可能性があるというのが経験法則です。

 案の定、暴落がやってきたわけですが、そのきっかけが2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃です。これを受けたホルムズ海峡封鎖によって、原油価格が急騰しました。

 原油のほとんどをホルムズ海峡経由で輸入している日本は「売り」だということで、株価は3月9日にザラ場で一時、4200円ほど下落しました。

 こうした局面で大事なのは、下がっている最中に株を買ってはいけないということです。ウォール街の格言に「落ちてくるナイフは掴むな」というものがあります。

 下落途中で買うと、さらに損が膨らむということです。ナイフが床に刺さるのを見極めてから買い出動することが大事になります。ただ、これはなかなか簡単ではありません。

 株価は下落した後、当面の底を打ってから、新たな上昇が始まる前に戻り相場があります。もう一度、下落局面があるかもしれませんから、ここで買うのも正解ではありません。むしろ、戻り売りの一手です。

 では当面の底はどこになるか。これはファンダメンタルズではわからず、相場の波動から予測する必要があります。

 直近の株価の動きを波動から見ると、2月26日の5万9332円が当面の史上最高値です。その前に2月12日に5万8015円という高値があり、ダブルトップになっています。その後に急落したという流れです。

 今回の短期波動の出発点は昨年11月19日の4万8235円と、12月18日の4万8643円というダブルボトムを入れたところで、そこから上がってきています。それが2月26日の5万9332円で一相場が終わったわけです。

 この間、株価は1万689円上げたわけですが、普通はこの半値押し程度での下げ止まりが想定されますが、それは5万4000円であり、これはすでに下回っています。

 今年に入ってからの安値はどこかというと、1月21日の5万2194円です。3月9日の暴落の日の安値はザラ場で5万1407円、引け値は5万2000円台でしたが、今年の安値近辺でダブルボトムが入って底値を形成し、日柄十分となれば次の上昇相場が始まるという展開がAシナリオです。

 次に、イラン戦争が長期化して終わらず、さらなる安値があるという場合は、今回の短期波動の出発点である4万8000円近辺まで下落するというのがBシナリオです。

 また、中長期波動の出発点、2025年4月7日のトランプ関税ショックによる3万792円から上昇したわけですが、この間の上げ幅が2万8540円です。この3分の1押しはどこかというと5万円近辺です。これがCシナリオです。

 最後に最も悲観シナリオがDシナリオです。中長期波動の出発点、3万792円から、直近の高値5万9332円までの上げ幅、2万8540円の半値押しはどこかというと4万5000円です。これはイラン戦争の動向次第ですが、ベトナム戦争のように長期化すれば、Dシナリオの可能性も出てきます。

 今後、イラン戦争がどうなるかという見通しに関する情報を見ながら、A、B、C、Dのどのコースをたどるかを判断することになります。

 トランプ大統領は早期の収束を望んでいると思います。なぜなら、原油価格高騰を受けてガソリン価格が上昇していますが、これは明らかに中間選挙に向けてトランプ大統領の支持率にとってマイナスです。

 テロリストを支援し、米国と敵対、核兵器を持とうとしているイランを排除して、世界を平和にした、というのがトランプ大統領の立場です。その意味で、私は短期でこの戦闘を終わらせるのではないかと見ており、その場合はAシナリオ、または悪くてもBシナリオが有力になります。

 相場のリズムからいうと、相場は急落の後には急反騰の可能性があります。

 もし、底入れして再び上昇相場があるならば、防衛、資源関連から上がってくることが予想されます。また、一部半導体関連の上昇もあり得ます。相場が戻った時に、特に強く戻った銘柄が、次の注目銘柄となります。

 トランプ大統領は、市場の動きを非常に気にしながら動いています。イラン戦争を早期に終わらせると言及したのも、株価が下がり過ぎ、原油が上がり過ぎたことを受けてのことだと思われます。若い頃から株式、不動産の投資をしてきていますから、相場に敏感なのだと思います。

 振り返れば、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻したわけですが、直近は米国・イスラエルがイランを攻撃しました。なぜ、こうした事態が起きているかについて、ウォール街の著名投資家・レイ・ダリオは「米国という国家が衰退期に入っている」からだと指摘しています。

 第二次大戦後、「パックス・アメリカーナ」(米国による平和)で米国主導の覇権、秩序で世界を支配していたわけですが、足元でそれが揺らいでいるということです。前出のロシアによるウクライナ侵攻は、その揺らぎに付け込んだものです。

 これは戦後構築された金融、政治、軍事、外交の旧体制が音を立てて崩壊していると言ってもいい状態です。今は戦後の価値観が総崩れになろうとしている中から、新しい価値観、新しい覇権が出てくるのかという端境期、踊り場です。

 ですから今後、今回のイラン攻撃にとどまらず、他の地域でも戦争、紛争が頻発しかねない国際情勢です。

 地政学リスクでマーケット、株価が暴落しても、世界経済は成長しています。ですから株価は再び上がってきます。「戦争で売り」、「経済成長で買い」で大きな振幅のある「波高き相場」が続くことになります。