本田技研工業(Honda)は、同社の新事業創出プログラム「IGNITION」発のスタートアップとして、砂漠の砂を活用した人工骨材の開発新会社「PathAhead」が設立されたことを発表した。
近年アフリカ地域の国々では、急速な人口増加に伴って経済発展が進む一方で、道路などのインフラ整備が十分に進んでおらず、経済成長の障壁となっている。特に現在のアフリカ地域における道路舗装率は約20%と低水準で、舗装済み道路の劣化も進んでいることから、物流コスト上昇などの経済損失が引き起こされている。また道路舗装に用いられる骨材は、砂や砕石など比較的安価な天然資源を原材料とするため、産地や地層によって強度にばらつきが生じやすく、舗装材として必要な品質を安定的に確保するのが難しいという課題が残されていた。
同社はこの素材を道路舗装やコンクリート、路盤材などのさまざまな用途に活用することで、道路修繕の実施頻度を低減し、ライフサイクルコストを大きく低減できるとする。さらに、砂漠の砂や薬剤など現地調達可能な資源を原材料とすることで、天然骨材と同等の価格での提供を目指すとしており、世界的に深刻化する砂や砕石などといった天然資源の枯渇に対する持続可能な代替材料として、道路舗装用途にとどまらず、幅広い建設分野でのニーズに応え得るとした。
PathAheadは今回の新会社設立を皮切りに、事業化に向けた最初のステップとして、2027年にケニアで、その後タンザニア、南アフリカの順で焼く3年間にわたる道路舗装に関する実証実験を行うとのこと。現地の気候や交通条件を踏まえ、施工性や耐久性、品質の再現性などを検証するとともに、量産に向けて道路舗装の各種要件を満たす仕様の確立を目指すという。
またこれらの実証で得られた結果を踏まえ、2028年にはケニアにて自社工場を設立予定だとする。そして同拠点でのRising Sand量産を開始し、現地調達・現地生産による安定供給体制の構築に取り組むとしている。
砂漠の砂を活用した道路素材「Rising Sand」概要映像(出所:Honda YouTubeチャンネル)
編集部メモ
Hondaの新事業創出プログラム「IGNITION」は、2017年より同社従業員を対象として始まったプログラム。2020年より早期社会実装を実現するため“起業”の選択肢が追加され、2023年には対象が社外にまで拡大された。このプログラムではこれまで、コンパクトな機器を靴に取り付けることで目的地まで案内するデバイス「あしらせ」を開発するASHIRASEや、自立し安定した走行が実現された1人乗り電動三輪モビリティを開発するStriemoなど、PathAheadを含め5つの事業化事例が誕生している。

