【 農林水産省 】原油価格高騰で経営不安 大臣は「補填金制度運用へ」

2月28日に米国とイスラエルがイランへ攻撃、イランが原油輸送の要衝ホルムズ海峡を封鎖するなど、イラン情勢が緊迫化し、農林水産業の関係者の間で不安が広がっている。

 鈴木憲和農水相は3月10日の記者会見で、現地の事業者からの聞き取り調査として、船会社が新規の注文を停止しており、当面の在庫は確保しているものの「現在の状況が続いた場合、在庫が足りなくなることを懸念している声を伺っている」と述べた。

 農林水産省によると、中東地域では人口増加を背景にハラール市場が拡大しているという。アラブ首長国連邦(UAE)では、清涼飲料水と牛肉を中心に多くの農林水産物・食品で日本からの輸出が増加傾向にある。

 2025年の輸出額は119億円(前年比18%増)となり、過去10年で最も多かった。中東では唯一ドバイに輸出支援のプラットフォームを設置しており、現地事業者への聞き取りを続けると共に「輸出先の多角化に向けた市場調査や販路開拓など、必要な支援を行っていく」(鈴木農水相)としている。

 輸入品はどうか。農業生産に欠かせない肥料のうち、尿素はマレーシア、リン酸アンモニウムは中国、塩化カリウムはカナダが主な輸入相手国となっている。配合飼料の主原料となるトウモロコシは米国とブラジルに依存しており、肥料や飼料への影響は今のところ限定的とみられる。

 一方、養殖魚などの餌に使われる魚粉の一部は、ホルムズ海峡周辺国のオマーンから約1割を輸入しているという。

 深刻なのはエネルギーだ。原油価格が足元で高騰する中、戦闘が長期化すれば供給が抑制されて上昇圧力はさらに強まるとの見方がある。

 農水省では、経営費に占める燃料費の割合が高い施設園芸農家に対して、経営への影響を緩和するための補填金交付制度がある。漁業経営に占める燃油代の割合も平均2割弱といい、同様の制度がある。

 原油価格の動向を注視しつつ、「制度が円滑に運用されるよう準備する」(鈴木農水相)としている。

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