鳥貴族などを展開するエターナルホスピタリティグループは、DX戦略説明会を開催し、AI活用を中核とした全社的な変革方針を明らかにした。
エターナルホスピタリティグループ 執行役員 CDIO(Chief Digital Information Officer)の中林章氏は、外食業界を取り巻く環境について「インフレや人材不足、人口減少といった課題が複合的に影響している」と指摘。こうした状況を背景に、従来の“人に依存した運営”からの脱却が不可欠だとした。
AIを活用して人依存を脱却
エターナルホスピタリティグループ 執行役員 CDIO(Chief Digital Information Officer)の中林章氏は、同社を取り巻く外食DX推進における課題について、インフレや人材不足、人口減少といった外部環境からくる要因が大きく関わっていると説明した。
同グループでは、全社DX戦略として「Global YAKITORI Family+DX」で世界の外食市場挑戦を加速させることを掲げている。具体的には、投資を実施するほか、「AIマーケティング」「AIタッチパネル」「AIアナリティクス」をはじめとするAIを徹底的に活用し、顧客価値・企業価値・社員生産性の最大化を図っている。
さらに、中林氏は「AI成熟戦略」として、人依存から脱却し、AIを活用して高収益・高付加価値の経営への取り組みを進めていくと述べた。
これは顧客・店舗・業務・企画/数値管理を提供先として、デジタル化・AI化を進める取り組みで、顧客体験やオペレーション、マネジメントなどがデジタル化・AI化の対象となる。
AIで何を変えるのか 6つの重点施策
全社DX戦略におけるAI活用の主要テーマとしては、「最高のホスピタリティ実践」「フロントエンド業務の進化」「グローバルビジネスモデル構築」「バックエンド業務の標準化」「コミュニケーション基盤強化」「デジタル技術の活用」の6つがある。
6つのテーマにおける具体的な取り組みは以下の通り。
最高のホスピタリティ実践
- デジタルタッチポイントの強化
- カスタマージャーニーの統合デジタル化
「フロントエンド業務の進化」
- 自動発注プロセスの構築
- 商品開発プロセスの強化
「グローバルビジネスモデル構築」
- グローバル経営管理の構築
- ビジネスプロセスの統合デジタル化
「バックエンド業務の標準化」
- 月次決算の早期化
- バックオフィスプロセスの統合デジタル化
「コミュニケーション基盤強化」
- 顧客対応力向上
- グローバルコミュニケーションの強化
「デジタル技術の活用」
- サイバーセキュリティ対策
- データ&AIプラットフォームの構築
現場はどう変わった?AI導入の具体事例
これらの取り組みから、中林氏は「コミュニケーション基盤強化」の事例を紹介した。
インシデントの把握率100%を達成
「顧客対応力向上」としては、インシデント対応を仕組み化し、AIで解決力を強化している。AIでプロセスの自動化や解決支援を行っているほか、対応履歴や進捗分析なども活用することで、インシデントの把握率100%を達成。現場対応の状況をリアルに可視化することを実現したという。
この取り組みは2026年3月から国内開始し、同年8月からは海外での展開も予定されている。
全社員がAIにアクセス 情報共有を双方向化
また「グローバルコミュニケーション基盤」としては、あらゆる社員が情報・AIにリアルタイムでアクセスできるようになった。
これまでは、部門発信や会議資料などが一方的に社員に届くだけだったが、2025年11月に機能を拡張したことで、あらゆる情報が双方向にやりとりできる仕組みを構築できたという。
売上1%投資で10%成長へ 40億円増のシナリオ
同社は今回のDX戦略において、「売上の1%を投資し、10%の成長を実現する」ことを目標に掲げる。
2025年7月期の売上をベースにすると、約40億円の増収に相当する。
その内訳は、予約機能の強化による来店客数の増加(約9.5%)と、レコメンド機能の高度化による追加注文の促進(約0.5%)としている。
デジタル技術によってフロント業務の高度化とバックエンドの標準化を同時に進めることで、収益構造の改善を図る考えだ。
国内で磨き、海外へ 外食DXのモデル構築へ
中林氏は「外部環境の変化に対してDXで課題を解決していく。国内で培った取り組みを海外にも展開したい」と述べ、今後のグローバル展開にも意欲を示した。
人手不足が深刻化する外食業界において、AIを軸にした経営変革がどこまで成果を上げるかが注目される。




