製品のサポート終了(EOL)は、企業にとってシステム刷新の大きな契機となる。しかし、会計システムの移行は正確性が求められるだけに、担当者にとっては負担も大きい。

建設・物流・介護向けなどの総合レンタル事業を展開する日建レンタコムグループは、長年利用してきたクラウド対応ERPパッケージ「Biz∫会計」の旧バージョンのEOLを機に、NTTデータビジネスシステムズのサポートのもとで新バージョンへのシステム更改を実施した。

約20年にわたるパートナーシップを土台に、現場の負担を最小限に抑えながらスムーズな移行を実現した同グループの取り組みを紹介する。

  • (写真)日建レンタコム・NTTデータビジネスシステムズ 集合写真

    右から
    日建レンタコム株式会社 管理本部 経理部 部長 池田衛氏
    同社 IT推進本部 基幹システム部 部長 西森竜次氏
    同社 管理本部 経理部 課長 佐藤克也氏
    同社 IT推進本部 基幹システム部 開発4課 課長代理 長澤卓朗氏
    株式会社NTTデータビジネスシステムズ 第一システム事業本部 デジタルエンタープライズ事業部 SREソリューション部 課長代理 山田浩平氏
    同社 第一システム事業本部 デジタルエンタープライズ事業部 SREソリューション部 課長代理 小島恵氏

グループ2300名を支える基幹システムの「運用はそのままで」という決断

日建レンタコムは、総合リース・レンタル事業を展開する日建レンタコムグループのホールディングカンパニーだ。グループの中核事業会社である日建リース工業は、建設用仮設資材、ハウス・備品、物流機器、介護用品の4事業を軸に、全国約130カ所の拠点ネットワークと約2,300人の従業員を擁する。これらをつなぐ基幹システムの安定稼働は、同社のビジネスの生命線といえる。

同グループが会計システムを自社開発からパッケージ製品へ切り替えたのが約20年前のこと。以来、NTTデータビジネスシステムズのサポートのもとで運用を続けてきたが、旧バージョンのEOLが迫るなか、対応を迫られることになった。日建レンタコム IT推進本部 基幹システム部で部長を務める西森竜次氏は、当時の状況をこう振り返る。

「会計システムは一度確立すると、入力する側の操作はほとんど変わりません。もし違う仕組みに入れ替えれば運用が変わり、現場への説明や教育コストが本社側にも重くのしかかります。そうした負荷を避け、これまでのデータをスムーズに継承しつつレスポンスを向上させる。それが今回のミッションでした」(西森氏)

経理部門にとっても、安定性は譲れない条件だった。管理本部 経理部で部長を務める池田衛氏は、東京・仙台合わせて約20名の経理チームを率いる立場から、こう語る。

「業務が集中する決算期にシステム移行の負荷が重なるのは避けたい。操作が変わることで入力の正確性に影響が出ることも懸念していました。いかに今の業務を止めずに移行するかが、我々にとっての最大のポイントでした」(池田氏)

  • (写真)日建レンタコム株式会社 管理本部 経理部 部長 池田衛氏

    日建レンタコム株式会社 管理本部 経理部 部長 池田衛氏

加えて、旧バージョンではデータ蓄積によるレスポンス低下も課題となっていた。約2,300名のユーザーが日々利用するなかで、数千万件規模の仕訳データが蓄積され、大量データの出力や帳票作成に時間がかかるケースが発生していた。西森氏は「データは溜まる一方なので、レスポンスへの影響は大きかった。システム更改による処理速度の改善には相当期待していました」と話す。

他社検討を経て再確認した、20年の信頼という資産

EOLに伴い、社内では他社ERP製品の情報収集も行われたという。しかし、比較検討の末に選ばれたのは、やはりNTTデータビジネスシステムズによるBiz∫会計のシステム更改という選択肢であった。池田氏のもとで会計実務を担当する佐藤克也氏は、その経緯をこう説明する。

「機能面でBiz∫会計に不足はありません。会計は正確性が命です。新規システム導入に伴う要件定義や教育コストのリスクを考えると、使い慣れた仕組みをそのまま使い続けられるシステム更改がやはり最適解でした」(佐藤氏)

  • (写真)日建レンタコム株式会社 管理本部 経理部 課長 佐藤克也氏

    日建レンタコム株式会社 管理本部 経理部 課長 佐藤克也氏

佐藤氏は、Biz∫会計の前身「SCAW」の時代から約20年にわたって築かれたNTTデータビジネスシステムズとの信頼関係にも言及。「今の私たちを一番わかってくれているパートナーにお願いするのがベストだという結論に至りました」と語る。

IT推進本部 課長代理の長澤卓朗氏も「会計システムのシステム更改は今回で3回目になります。過去の付き合いを通じて、考慮すべき点をすべて指摘していただける、お任せできる安心感が一番大きかったですね」と同様の見解を示す。

NTTデータビジネスシステムズ側でプロジェクトマネージャーを務めた山田浩平氏は、自社の強みをこう語る。

「我々は多くのBiz∫会計のバージョンアップ実績があり、手順やツールが確立されています。日建レンタコム様の業務を知り尽くしている我々だからこそ、リスクのない確実な移行を約束できると自負しておりました」(山田氏)

「何もしなくて済んだ」──静かに完了したシステム移行

比較検討から運用開始に至るまでのプロセスで、日建レンタコム側が最も評価したのは「自社側の負担がほとんどなかった」という点だ。長澤氏は「NTTデータビジネスシステムズが非常にスムーズに進めてくれました。基本的に当社側で手をかける作業がなかった。これが一番良かった点です」と振り返る。

西森氏も「言い方を変えれば『何もしなくてもできた』ということです。長い付き合いで当社の仕組みを知っているからこそ実現できたことです。もし別の支援会社を選んでいたら、人の動きやコミュニケーションにかかるコストは相当なものになっていたはずです。その工数からも、他社に乗り換える理由はありませんでした」と振り返る。

これを受けて山田氏は「新バージョンではシステム基盤領域が強化されていますが、UIに大きな変更がありません。導入側の作業効率が上がる一方、お客さまには違和感なく使っていただける。加えて、日建レンタコム様固有のカスタマイズ機能である賃貸資産管理もそのまま移行できたので、技術的なリスクも低く抑えられました」と補足する。

  • (写真)株式会社NTTデータビジネスシステムズ 第一システム事業本部 デジタルエンタープライズ事業部 SREソリューション部 課長代理 山田浩平氏

    株式会社NTTデータビジネスシステムズ 第一システム事業本部 デジタルエンタープライズ事業部 SREソリューション部 課長代理 山田浩平氏

操作感はそのまま、レスポンスは確実に向上

新バージョンへの移行により、システム基盤が刷新され、課題であったレスポンス速度が向上した。特に、大量データの出力や帳票作成のスピードアップは、実務担当者にとって大きな恩恵となった。

「これまでは『重いのは仕方ない』と諦めていた処理も、システム基盤が新しくなったことで改善されました。期待していたとおり、大量データの出力スピードは体感できるレベルで速くなりました」(西森氏)

  • (写真)日建レンタコム株式会社 IT推進本部 基幹システム部 部長 西森竜次氏

    日建レンタコム株式会社 IT推進本部 基幹システム部 部長 西森竜次氏

佐藤氏は現場の反応をこう伝える。

「画面の見た目や操作感は旧バージョンを踏襲しているため、他の利用者からの問い合わせは一切ありませんでした。それは想定どおりです。一方で、貸借反転仕訳のボタンや、承認後の伝票の摘要だけを変更できるボタンなど、新機能も追加されていて、現場は興味を示しています。今まで取り消して再入力していた作業がボタン1つで済むようになるので、今後の決算期に向けて使いこなしていきたいですね」(佐藤氏)

取材時点では本番運用は開始されているものの、システム更改後の初回決算はまだこれからという段階だ。決算処理での実力が問われるのはまさにこれからであり、レスポンス改善の真価が発揮される場面として、現場の期待は大きい。

問い合わせる前に連絡が来る──先回りの保守サポート

システム更改後も継続してシステム運用を支えるのが、NTTデータビジネスシステムズが提供する共通保守サービス「imforce Customer Support」だ。多数の顧客企業の保守情報を一元管理し、ナレッジを横断的に活用するこのサービスに対し、日建レンタコムからは高い評価が寄せられている。

長澤氏は「問い合わせに対して基本的に当日中に一報をいただけるのは非常に助かっている」と語ったうえで、サービス品質の向上にも言及する。

  • (写真)日建レンタコム株式会社 IT推進本部 基幹システム部 開発4課 課長代理 長澤卓朗氏

    日建レンタコム株式会社 IT推進本部 基幹システム部 開発4課 課長代理 長澤卓朗氏

「回答の品質が高く、回答をもらった後も、作業が正常に完了したか確認してくれるなどのフォロー体制があり助かっています。さらに、統合運用管理ソフトHinemosによるシステム監視で、こちらが問い合わせる前に『アラートが発生していましたが問題ありませんか』と先回りで連絡いただけることもある。他ではなかなかないサポートだと思います」(長澤氏)

imforce Customer Supportを担当する小島恵氏は、こうした対応の背景を説明する。

「多くのお客さまの保守情報を一元管理しているため、問い合わせへの横断的な対応や、過去に同様の事象が発生した際の素早い回答が可能です。さらに、お客さまからいただいた要望や課題はシステム更改の開発チームと連携して改修に反映しています。日建レンタコム様からは現場目線の率直なフィードバックをいただいており、サービス全体の品質向上に役立てています」(小島氏)

  • (写真)株式会社NTTデータビジネスシステムズ 第一システム事業本部 デジタルエンタープライズ事業部 SREソリューション部 課長代理 小島恵氏

    株式会社NTTデータビジネスシステムズ 第一システム事業本部 デジタルエンタープライズ事業部 SREソリューション部 課長代理 小島恵氏

「集計する経理」から「経営の参謀」へ。生成AI活用の先に描く未来

システム更改という足元の課題をクリアした今、日建レンタコムは次のステージを見据えている。それは、ITシステムやAIを活用した経理業務の変革だ。

これまでの経理部門は、決算書や申告書を正確に作成することが主たる業務であった。しかし今後は、そうした定型業務をシステムやAIに任せ、空いたリソースでより高付加価値な業務へシフトしていく方針だ。

「これからの経理部門の課題は、人材不足の解消と属人化の脱却です。私たちが目指すのは、定型業務を自動化し空いたリソースを使って『どうすれば企業価値が上がるか』を考えること。つまり、単なる集計屋ではなく、経営の参謀として会社をデザインできる組織になりたいのです。会計システムのなかで、管理会計や業績予測の機能が充実すれば、もっと未来に向けた動きができると期待しています」(池田氏)

このビジョンを実現するため、NTTデータビジネスシステムズも新たな技術開発を進めている。

「まさに今、我々も社内で生成AIを活用した業務効率化や、タスク状況の可視化についての検証を進めています。Biz∫会計本体への反映はまだこれからですが、AIエージェントを活用したより高品質で迅速な保守サービスの提供にも取り組んでいます。日建レンタコムの『経営の参謀になりたい』というビジョンを実現するために、保守・開発の両面から引き続きサポートさせていただきます」(山田氏)

約20年の信頼関係を土台に、システム更改を実現した日建レンタコムグループとNTTデータビジネスシステムズ。両社のパートナーシップは、守りのシステム更改を終え、生成AI活用や経営支援という次のステージへと歩みを進めている。

関連URL

日建レンタコム株式会社
株式会社NTTデータビジネスシステムズ
imforce(imforce特設サイト)|株式会社NTTデータビジネスシステムズ

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