警察庁は2025年12月、詐欺電話による被害を防ぐため、特殊詐欺などの被害防止に有効なアプリの利用を国民に推奨する「警察庁推奨制度」を導入した。
2026年3月5日、NTTタウンページとトビラシステムズのアプリ「詐欺対策 by NTTタウンページ」とトレンドマイクロの「トレンドマイクロ詐欺バスターLite」について、警察庁推奨アプリ認定式が行われた。
詐欺対策アプリを警察庁が初認定
警察庁生活安全企画課は2025年12月11日、特殊詐欺の増加を踏まえ、防止に有効な携帯電話用アプリを「警察庁推奨アプリ」として認定する制度を発表した。認定したアプリの利用を国民に推奨し、特殊詐欺などの被害防止につなげるのが狙いだ。
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警察庁推奨アプリ(公式Webサイト)
今回、推奨アプリとして、NTTタウンページとトビラシステムズが開発したアプリ「詐欺対策 by NTTタウンページ」とトレンドマイクロのアプリ「トレンドマイクロ詐欺バスターLite」が初の「警察庁推奨アプリ」として認定された。今回認定された「詐欺対策 by NTTタウンページ」は、着信時に詐欺に利用された番号を自動で警告・遮断する機能を備えるスマートフォンアプリだ。
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NTTタウンページ、トビラシステムズ「詐欺対策 by NTTタウンページ」(公式Webサイト)
いずれも無料で提供され、特殊詐欺などの犯行に利用された番号の発着信ブロック、警察庁から特殊詐欺に関する防犯情報の告知などの機能を提供する。
認定式では警察庁長官の楠芳伸氏より、NTTタウンページ 代表取締役社長 村田 和也氏とトビラシステムズ 代表取締役社長 明田 篤氏、トレンドマイクロ Chief Consumer Business Officer Frank Kuo氏に直接認定証が手渡された。
警察庁が制度創設、背景に特殊詐欺の急増
授賞式後に、楠氏が警察庁推奨制度の意義について説明を行った。同氏は「令和7年中の特殊詐欺の被害額は約1414億円で、前年の2倍に急増し、過去最悪」と、現在が極めて危機的な状況であると強調した。
加えて、被害は20代や30代など若い世代にも拡大していると指摘。犯人と接点を持つだけで詐欺の被害に遭う可能性がある現状について危機感を示した。
同氏は、この事態について社会全体で被害防止対策を講じる必要があると訴えた。
同氏は最近の傾向として、偽警察詐欺において携帯電話が利用される割合が約7割を占めている点を指摘。「警察庁推奨アプリ」で国を挙げて推奨することで、これらの事態に対応していく考えを示した。
次いで、「詐欺対策 by NTTタウンページ」を開発したNTTタウンページの代表取締役社長 村田 和也氏が登壇し、同アプリを使うことで詐欺の被害の抑止と安心して電話を受けられる環境づくりに寄与できると説明した。
トビラシステムズ 代表取締役社長 明田篤氏は、約15年前から詐欺対策サービスを提供している実績から最新の手口に対応したデータベースを提供できると述べた。加えて、詐欺被害が減らない現状について、「自分は大丈夫と思っている方こそ、このアプリをダウンロードいただきたい」と語った。
固定電話に加えて、携帯電話でも詐欺電話が横行し、その認知件数が日々増加していることは、今年2月に発表された警察庁のレポート「特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」(https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/sagi.html)で報告されている。
このような状況で、一般人ができる対策は「不審な電話には出ない」もしくは「迷惑電話や詐欺対策サービスを展開する企業の有料サービスを活用する」ほかなかったとされる。今回、2つの詐欺被害対策アプリが無料で利用できるようになったことで、安心して電話を受けることが可能になる。
「詐欺対策 by NTTタウンページ」の特長
続いて、NTTタウンページ、トビラシステムズが開発したアプリ「詐欺対策 by NTTタウンページ」を紹介する。
同アプリの最大の特長は、着信時に発信元の電話番号が要注意番号リストに登録されている場合、リアルタイムで遮断もしくは警告表示することに加えて、着信時だけでなく発信時にも、要注意番号を警告してくれることだ。
その際、警察庁などが把握する「特殊詐欺等に使用された電話番号情報」に加え、トビラシステムズが独自に構築・運用する迷惑情報データベースの中から、危険番号に該当するものを活用する。トビラシステムズのデータベースは、利用者からの申告情報や独自の調査などをもとに日々更新されており、新たな詐欺手口や番号にも迅速に対応できる。
加えて、iタウンページに登録されている約500万件(2025年10月時点)の企業情報をもとに、企業からの着信時には発信元の企業名称をリアルタイムで表示してくれる便利な機能も有している。
iタウンページに掲載された事業者の電話番号情報は、Myタウンページを通じて、カスタマーセルフ型で自社で簡単に登録・更新できるが、登録後に同社が確認を行っている。官公庁・自治体・複数回線を保有する事業者には直接個別対応で確認を取っているという。
アプリはApp StoreまたはGoogle Playから無償でダウンロードできる。対応OSはそれぞれ、iOS 15以上、Android 10以上となっている。
「詐欺対策 by NTTタウンページ」開発の経緯
「詐欺対策 by NTTタウンページ」は、NTTタウンページとトビラシステムズが共同で開発を行っている。その背景について、NTTタウンページ デジタルマーケティング本部サービス開発部・iタウンページ部門長の宇都宮満氏より話を聞くことができた。
NTTタウンページは130年以上にわたって提供してきた紙のタウンページが2026年3月末で終了することに合わせて、蓄積してきたデータベースを活用した新しいビジネスを検討。さらなる活用法を模索しているところ、被害が増加している電話詐欺に着目し、NTT東日本グループとして関わりがあった詐欺対策のパイオニア企業であるトビラシステムズに打診し、共同開発に至ったという。
一方トビラシステムズは、長年にわたり、警察庁と詐欺の手口や対抗策に関する情報交換を実施し、常日頃より、詐欺撲滅のための有効手段を両者で模索していた。
宇都宮氏は、NTTタウンページのデータは信頼性があるホワイトリストとして、フェイク情報があふれているインターネットにおいて大きな価値を持っていると自信をのぞかせた。
藤井氏もまた、同社が長年迷惑電話のデータベースの構築に力を入れてきた実績をもとに、アプリを通して詐欺被害が少しでも減るように貢献したいと語った。
「警察庁推奨アプリ」認定のメリット
「警察庁推奨」を受けることで、アプリ内で警察庁のロゴやエンブレムを使用することが可能になる。また、警察庁において各種媒体を活用した推奨キャンペーンなどが受けられ、警察庁ホームページにおいて特殊詐欺などの被害防止に寄与した客観的・合理的な機能実績の公表が行われる。これらにより、企業ブランドのイメージ向上が図られる。
宇都宮氏は、社会問題の解決に貢献することで企業ブランドの向上を図るだけでなく、電話に関する事業を営む企業にとって問題となっている「利用者が知らない番号や登録外電話には出られない」というビジネス上の問題を積極的に解決したいと訴えた。
また警察庁からは、ブラックリストに強いトビラシステムズとホワイトリストに強いNTTタウンページの協業ということで「黒と白ですごくおもしろい」と評価をいただいたそうだ。
現在、一般回線電話や携帯電話の双方において迷惑・詐欺電話が日常化している。今回、警察庁推奨アプリが初めて認定されたことは民間技術による犯罪グループへの対抗の第一歩ともいえ、同アプリのさらなる活躍に期待したいところだ。











