
EBITのうちの3割へ
「地政学リスクは恒常的に続く。コロナ禍で学んだことを踏まえ、(2035年度までの)中長期経営計画における利益拡大の大きなドライバーがマイル事業だ」─。日本航空(JAL)社長の鳥取三津子氏は強調する。
鳥取三津子・日本航空社長
ウクライナ戦争に加え、米国とイスラエルによるイランへの攻撃など国際情勢が大きな影響を与える中、同社もANAホールディングスも中期経営計画では国際線の事業規模を1.3倍に拡大させる点では共通する。
一方で国内線はオンライン会議の普及などで高単価なビジネス客がコロナ禍前に戻ることはなく、円安に伴う外貨建ての燃料費や整備費などが膨らんで収益は共に厳しい状況が続く。
勝負所は「非航空事業」。代表例がマイルだ。JALは「JALマイルライフ構想」と銘打ち、マイルを貯めて使えるプリペイド決済の「JALPay」の利用促進プログラムの導入や新たな体験特典の拡充などに注力。25年度の本業の儲けを示すEBIT(利払・税引き前利益)の約7割はJALブランドが占めるが、35年度には非航空事業を現状の2.3倍に当たる1000億円以上にし、その比率も現在の2割から約3割に引き上げる。
「マイルも航空券だけに引き換えるものではなく、生活者に響く日常の買い物や体験にどれだけ手軽に引き換えることができるかどうかだ」(アナリスト)
その中でJALを後押しするのは「JALカード」。小売りやIT企業が発行するクレジットカードよりも富裕層が多く、1人当たりの年間平均決済額も100万円を超すからだ。
紛争や感染症で苦境に陥るリスクのある航空事業に対し、非航空事業の比率をどこまで高めることができるかで、会社の〝背骨の太さ〟が決まる。
