【国土交通省】JR東で輸送トラブル多発 「二軸経営」に打撃

JR東日本の管内で年明けから続いた輸送トラブルが深刻だ。1月16日に山手線と京浜東北線で起こった停電に伴う長時間の運転見合わせから始まり、30日に常磐線でまた停電。2月2日には京葉線八丁堀駅のエスカレーターで火災が発生、8日には架線断線により宇都宮線で停電事故が起こった。

 事態を重く見た同社は、修繕費増額や技術系社員の採用増といった再発防止策を打ち出したが、乗客から「安心」「安全」という信頼を取り戻すのは容易ではない。

 喜㔟陽一社長は、2月10日の記者会見で「我々の輸送業務に対する信頼、信用、安全が大きく損なわれてしまった。重く真摯に受け止めなければいけない」と述べ、謝罪した。

 同社はトラブルの原因は事故ごとに異なり、関連性はないと説明するが、利用者が額面通り受け止めるかは疑問が残る。JR東はグループ経営ビジョンで「モビリティと生活ソリューションによる二軸経営」を掲げ、鉄道事業に加えて、決済アプリ「モバイルSuica」を通じたビジネス拡大、豊富な不動産を活用した都市開発を強化している。収益拡大を重視する中、本業の輸送業務がおろそかになっているのではないか、と見る向きもある。

 こういった指摘に対して喜勢氏は「決して生活ソリューションだけに経営の軸を置いているわけではない」と否定する。安全性を高める取り組みとして、コロナ禍で800億円程度抑制した修繕費の増額や、27年度から技術系社員の採用を計画から約150人増やすといった対応策を表明した。コロナ禍で求められた経費抑制のマインドを現場の社員から払拭することも重視するとした。

 一連のトラブルを受け、国土交通省はJR東に行政指導を行った。金子恭之国土交通相は2月13日の会見で「輸送の安全確保は最も基本的かつ最も重要な使命。改めて公共交通機関としての自覚を持って安全・安定輸送の確保に万全を期してもらいたい」と重ねて苦言を呈した。

    

    金子恭之・国土交通相

 JR東には、より高いレベルで安全に向き合う姿勢と対応策が求められている。

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