NTTドコモビジネス、NTTドコモ、Specteeの3社は3月16日、総務省が実施する「インターネット上の偽・誤情報等への対策技術の開発・実証事業」の一環として、情報の真正性を可視化する国際的な技術標準規格であるC2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)技術を活用した偽・誤情報対策に関する実証実験を実施したことを発表した。
今回の実証により、コンテンツの真正性を可視化することで、報道・防災分野におけるファクトチェック業務の効率化、および偽・誤情報の検知精度が向上することを確認したという。実証にあたっては、テレビ朝日より報道現場の実務に即した観点から実証への協力を得ている。
実証の背景
近年、インターネット上ではフェイクニュースやフェイクコンテンツなど精巧な偽・誤情報を容易に作成して拡散されるリスクが高まっている。これに伴い、報道機関や防災情報を取り扱う企業では、災害発生時や選挙報道など、偽・誤情報が社会的影響を及ぼしやすい場面において、インターネット上で流通する画像や動画の真偽を迅速に確認し正確な情報発信を行うことが求められている。
一方で、撮影場所や撮影時刻の特定などの裏取り作業には多大な時間とコストを要し、迅速な情報発信との両立が課題となっている。
そこで、今回の実証では、撮影時点における「いつ・どこで・どのデバイスで」撮影したかといった情報の真正性を担保し、真偽確認を行う検証者を支援する技術の開発に取り組んだ。
これと合わせて、実際の報道業務や防災業務を想定した有効性検証を行うことで、インターネット上における偽・誤情報対策への貢献を目指した。
実証の活用技術
実証ではコンテンツ生成時における予防的対処を行うことを目的として、3つの偽・誤情報対策技術を開発して活用した。「メタデータの真正性チェック技術」は、スマートフォンのGPS情報だけでなく、複数の情報源を組み合わせて検証を行い、撮影された場所と時間、撮影されたデバイスの真正性を確認する技術。
「C2PA準拠の署名付与技術」はC2PAに準拠し真正性が確認されたメタデータを、改ざんの検知が可能な署名形式でコンテンツに付与する技術。これにより、コンテンツの来歴を追跡できるようになる。
「真正性検証ツール」は、付与された署名やメタデータを検証者が視覚的かつ効率的に確認できるツール。真偽確認を行う負担の軽減を支援する。
実証実験の概要
今回の実証では報道・防災分野での業務における活用を想定し、特に選挙報道や災害発生時といった偽・誤情報が社会的影響を及ぼしやすい場面を対象とし、検証を行った。
C2PA技術を用いて撮影時点からコンテンツの来歴情報を付与・管理し、その真正性を報道・防災業務担当者が容易に確認できる環境を構築。これらの想定に基づき複数のシナリオを設定し、コンテンツ検証プロセスの有効性を確認した。
コンテンツの真正性確認における作業プロセスの検証では、疑似的な選挙演説を想定したシナリオにおいて、撮影時点から真正性が担保された素材と、AIなどにより改変された素材を混在させ、検証ツールを用いてコンテンツの真偽を検証した。
災害発生時における真正性確認フローの検証では、土砂崩れなどの疑似的な自然災害を想定して撮影した素材を対象に、SNSなどでの流通を想定した検証を行い、災害発生時の情報確認フローを検証した。
実証の成果
実証の結果、ファクトチェック業務の効率化において、コンテンツに付与されたメタデータの真正性が可視化されたことで、撮影場所や撮影時刻などに関する裏取り調査に要する時間が15%以上短縮された。
偽・誤情報の検知精度向上においては、目視では判別が困難な精巧な加工や改ざんが施されたコンテンツについても、真正性検証技術を活用することで正確に識別できる割合が85%を超えた。
これらの結果から、災害発生時など限られた時間の中で誤りのない情報提供が求められる場面においても、迅速かつ正確な情報発信を支援できる可能性が示唆されたとのことだ。