英国発の女性役員比率向上を目指す団体「30% Club Japan」は3月6日、第3期(2026年5月~2028年4月)の運営体制と活動方針を決定し、NEC 代表取締役社長 兼 CEOである森田隆之氏を新しいChairに選出したことを発表した。

それに伴い、新Chairである森田氏のNEC本社にて、3月6日に「30% Club Japan 次期活動方針 記者発表会」が開催された。本稿では、30% Club Japanの第2期の活動の成果、第3期の活動方針を紹介する。

説明会には、30% Club Japan 現 Chairおよび次期 Vice Chairである永山晴子氏(デロイト トーマツ グループ および トーマツ ボード議長)、30% Club Japan 現 TOPIX 社長会 Chairである小路明善氏(アサヒグループホールディングス 会長)、30% Club Japan 次期 Chair 兼 TOPIX 社長会 Chairである森田隆之氏(NEC 取締役 代表執行役社長 兼 CEO)が登壇した。

  • 左から小路氏、森田氏、永山氏

    左から小路氏、森田氏、永山氏

「30% Club」とは

「30% Club」とは、2010年に英国で創設された、役員に占める女性割合の向上を目的とした取り組みをさまざまなアプローチから推進する活動。

2019年に日本で発足した「30% Club Japan」はグローバルで14番目にローンチされ、現在では100人/団体以上の企業・機関投資家・政府・メディア・プロフェッショナルファーム・大学などが協働するプラットフォームとなっている。

  • 「30% Club」のロゴ

    「30% Club」のロゴ

30% Club Japanは、ミッションとして「D&Iの促進により、日本企業の持続的成長と発展を実現する」「男女が平等に参画する、活き活きした、豊かな日本の社会を作ることに貢献する」という2点を掲げている。

加えて、女性役員の割合の向上に向けて、以下4つのビジョンの実現を目指している。

  • 上場日本企業の100社をメンバーとし、経営者が主体的に活動に取り組むコミュニティの構築
  • これら100社において、取締役はもちろん、取締役候補となる執行役員のパイプライン強化
  • 日本企業の現状、独自風土に応じたD&I環境の実現
  • 企業の枠を超え、政治など他の組織団体への波及を図り、日本のジェンダー・ギャップの解消を目指す

第2期の活動成果

第2期の活動の成果として、TOPIX100の取締役会の女性比率が2025年9月時点で25.3%であるのに対し、TOPIX社長会では27.3%に達している点が挙げられる。

TOPIX社長会とは、社長自身が参加、議論し、活動の目的・内容・実行耐性などについて方向性を決定する「TOPIXトップ会議」と女性役員を中心とする担当役員などで構成され、社長会で協議・意思決定する提案を準備する「PMチーム」で構成された組織。統合的アプローチとして、インベスターグループ・大学グループ・経団連/各省庁などと連携している。

小路氏によると、第2期からTOPIX社長会に新たに6社が加わり、34社(14業種)に加盟企業が拡大、第2期のTOPIX社長会は計13回開催され、トップ同士が本音で議論を行ったという。

  • 第2期の活動の成果を語る小路氏

    第2期の活動の成果を語る小路氏

第2期は「女性のキャリア成長を阻む3つの壁」に対してアプローチする、「ライフイベント前の若手女性社員のキャリア意識醸成」「育児期のブランク最小化策」「トップによるクロスメンタリングでマインドセット」という3つのQuick Win Actionが計画・実行された。

一方、「2030年を目途にTOPIX100の取締役会の女性割合を30%以上」が第3期に向けての継続課題として残されており、「意思決定層における女性比率の向上」「多様性を企業価値につなぐ企業文化形成」といった日本企業の変革と成長のため解決すべき本質課題の解決に挑んでいきたいという。

第3期の活動方針と目標

続いて登壇した森田氏は、第3期の活動方針を説明した。まず第2期の時点で34社だったTOPIX社長会については、トヨタ自動車が新たに加わる予定で、35社(15業種)に拡大が見込まれているという。第3期の全体目標については「TOPIX社長会参加企業における取締役会に占める女性割合を2027年度(第3期終了時点)までに30%以上とする」ことを掲げている。

  • 第3期の活動方針を語る森田氏

    第3期の活動方針を語る森田氏

また個社目標としては「執行責任者(執行役員またはそれに準ずる役職者および上級幹部職)への登用を加速させるために各社において2030年度までの5ヵ年のロードマップと達成目標値(採用・登用)を設定する」を設定する。

さらに、30% Club Japanにおける目標である「取締役会に占める女性割合を30%」にすでに到達している企業においては、取締役の内部登用・P/L責任を負ったポジション経験の意図的付与などの追加の目標を設定するという。

加えて、森田氏は第3期の活動方針として、以下の4つを挙げた。

パイプライン強化と次世代女性リーダー育成

継続課題である「執行責任層の女性比率の低さ」と「社内登用の遅れ」に対処。取締役会につながる次期候補の育成・登用を強化。

企業文化改革と男性意識改革

「アンコンシャス・バイアス」などの固定的な価値観に対処。トップのコミットメントを起点に、任用・育成の意思決定まで変える取り組みを強化。

企業価値を高める情報開示の在り方

企業価値向上に向けて、インベスターグループと連携し、有価証券報告書などにおける情報開示の高度化や投資家との対話の質向上を推進

キャリアの多様性を実現するジェンダー・ギャップ是正

学生期から多様なキャリアを描ける状態をつくるため、大学グループと連携して、学び直しや役割転換も含めた多様なキャリア形成を支える

  • 4つの第3期の活動方針

    4つの第3期の活動方針

新たにChairに就任する森田氏に対し、永山氏は以下のように期待感を述べた。

「これまでさまざまな企業から話を聞く中で、多く技術系の企業で『なかなか女性の役員を選出することが難しい』という声が聞かれていました。そうした中、日本を代表するテクノロジー系の企業であるNECの森田さんにChairに就任いただくことで、日本の多くのテクノロジー企業に勇気を与えてくれることを期待しています」(永山氏)

  • 森田氏への期待感を語る永山氏

    森田氏への期待感を語る永山氏